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第67話 異変

 オレとエマニエルが来たことに気付いたグスタフは、驚きで目を大きく見開いた。その様子を目にしたカネキは、ニヤニヤ笑ったままこちらの方を見た。機械兵達の一部も赤く光る目をこちらに向けた。


「お前達、何をしにここに来た。俺のことはいいから、早く逃げろ。マリーナ、マキナ。お前達も、ここは俺に任せて、先に逃げ――うっ、ゲホッ、ゲホッ!」


 グスタフは最後まで言葉を続けられず、途中で血反吐を吐いた。マリーナが泣きながらグスタフに駆け寄ろうとして、マキナがそれを抱き止めた。カネキはそっと右手を上げ、機械兵達に冷酷な命令を下す。


「ジジイを殺して、ガキ共をこっちに連れて来い。あそこの二人もついでだ。口封じに殺せ」


 機械兵達はカネキの命令に従って動き出す。グスタフは必死に抵抗し、オレとエマニエルも何とか助太刀しようとしたが、圧倒的な数の力の前ではどうしようもなかった。


 そして、マキナとマリーナが機械兵によって、カネキの前に押し倒された。痛みに耐えて立ち上がろうとする二人の姿を、カネキは楽しそうに見下ろしながら短剣を鞘から抜いてこう言った。


「『永遠の炉火』の起動権限を解放する、専用カードキーがある場所を言え。さもないと、そこの小娘の命はないものと思え」


 カネキは短剣の先でマリーナを差した。表面上だけでも紳士的だった態度を一変させ、高圧的な物言いでマキナに迫った。しかし、マキナは顔色一つ変えず、何も言うことなく、ただカネキの顔を睨んだ。


 カネキはその反応を見て、即座に短剣でマリーナの胸を突き刺しにいった。だが、短剣が突き刺さったのはマリーナの胸ではなく、マキナの背中だった。鮮血が地面を赤く染める。悲鳴を上げたマリーナを落ち着かせようと、マキナが弱々しく微笑んだ――その時だった。


 突然、マキナの目が強く輝き出した。顔から感情が消え、首から上だけがカネキの方を向いた。何か危険を察知したのか、カネキは短剣を引き抜くと、素早く後退して、正面を機械兵に守らせた。


 マキナの背中の傷口から流れ出る血が、地面に落ちて赤い水たまりを作っていた。が、マキナが立ち上がると同時に、その傷口が瞬く間に塞がった。そして、彼女はゆっくりとカネキに近付いていった。


「くそっ、邪魔をするな。そこをどけ!」


 オレは目の前の人型に『疾風突き』を発動し、機能を停止させた後、急いでマキナのところに向かおうとしたが、すぐに別の人型が目の前に立ち塞がった。エマニエルもオレの背後で、オレに守られているしかないようだ。


 焦るオレ達を置き去りにして、状況は進む。非戦闘用の機械人形であるマキナが、機械兵と戦ったらどうなるか。そんなことは考えるまでもない。無力感を味わいながらオレは、人型の剣がマキナに振り下ろされるのを見ているしかなかった。


 しかし、マキナは振り下ろされてくる剣を、あろうことか素手でつかんで握り砕いてみせたのだ。砕いた剣の欠片を無造作に捨て、彼女は淡々と宣告する。


「許容量を大幅に超えるダメージを検知。規定により、『自己防衛モード』を起動。『永遠の炉火』への遠隔アクセスを開始。――全て完了。これより、周囲に存在する全ての脅威を殲滅します」


次回は7月28日に公開予定です。

ツイッターもよろしくお願いします!

https://twitter.com/nakamurayuta26


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