第155話 死神の呼び声
「あらま、『プラントキラー』じゃないの。やっぱりこの洞窟、普通じゃなかったわね。いえ、正確には巣穴ね。ここまで会わなかったのは、『星の円卓』がほとんど倒したからでしょうね。それ以前に、神殿のエルフ達がこっそりと駆除していたのもあるだろうけど」
キャロラインが冷静に分析しながら、クロスボウでプラントキラーBを倒した。それを皮切りに、エルフ達とプラントキラーの群れの一部が戦い始めた。残りのプラントキラーの注意も、キャロライン達の方へと向かった。同時に、先へと進む道が開けた。
「先に行きなさい。早く!」
キャロラインの言葉に背を押され、先を行くジャックの背を必死に追った。背後の戦闘音が遠ざかるほど、心臓の鼓動がはっきりと聞こえてくる。プラントキラーの襲撃のせいか、それとも、ある種の因縁と向き合う時が近いせいか。
理由がはっきりとしないままオレはチームと共に、上がって、曲がって、蛇行して、遂に辿り着いた。そこはまたもや吹き抜けのある広い空間だった。しかし、人工的に整備されていた。しかも、ごく最近にされたようだ。
広い空間の奥には古びた石碑があった。他よりもはるかに多い光を放つ苔が、石碑の正体を明確にしていた。かつて一度世界を滅ぼした邪神の呪い、その数多ある発生源のうちの一つだった。石碑は不気味な黒いオーラを放ちつつ、低く唸っている。
唸り声。そう、石碑から声が聞こえてくるのだ。生ある者を死の世界へ引きずり込もうとする、死神の声だ。ベルンブルクの白銀の塔にあったものと、形も大きさもほぼ同じなのに、どうしてこうも雰囲気が違うのか。
「諸君、よくぞここまで来た。褒めてやろう。だが、一足遅かったな。私がミッドヘイムの神として君臨する計画は、すでに最終段階に入っている。もう誰であろうと、私を止めることは不可能だ」
「引き立て役のみんな、オードリーちゃんだよ。今日はここまで来てくれてありがとう。宇宙一カワイイ魔法少女アイドル誕生の瞬間、ちゃんとその目に焼き付けてね!」
驚きと困惑で立ち尽くすオレ達の前に、アーサーとオードリーは勝ち誇ったような笑みを浮かべて、その身に石碑と同じ黒いオーラをまといつつ現れた。今さらこいつらが何をしていようが驚くつもりはない。
「――お前たちは、『星の円卓』はずっと前から、キャロラインさんが言っていた『神殿のエルフが秘密裏にプラントキラーを駆除していた』ことを、何らかの手段で知っていた。そして、計画やら実験やらを始動した時、その事実を使って脅迫したんだ」
だが、今はとにかく何が何でも、体力を少しでも回復させる時間を稼がなければ。オレの言葉に、オードリーはしかめ面をして前に出ようとしたが、アーサーはそれを手で制した。アーサーは余裕の笑みでオレに続きを促した。
「北東開拓拠点で使われた『スマホ』、実用性が確認出来たのと同時に、それを使って情報をやりとりしていたな。あのテストは二月になる前に終わった。それからすぐに弱みを探って、上層部を言いなりにしたんだ。時期的にもつじつまが合う」
このことを裏付ける物的証拠はない。あくまで推測だ。確かな証拠を手に入れるあてはあるにはあるが、その機会を待っていたら時間がかかり過ぎる。アーサーもそれを理解しているのだろう。憎たらしいほど余裕だった。
次回は2月8日に公開予定です。
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