第七二話 大和国でのスカウト
皆様、スカウト予想、ありがとうございました!
たくさんの感想、嬉しいです。
知らない武将もいて、勉強になりました!
▽一五七〇年十月、澄隆(十五歳)まだ大和国
続いてやることは、領内で目ぼしい人材の発掘だ。
俺は、大和国内に大々的に仕官を募ることを伝え、降伏した人物に会ったり、在野にいる名士に声をかけた。
ここで、秘めたる右手の鑑定能力の出番だ。
ステータスを確認しながら、スカウトをする。
お楽しみの時間だ!
握手会をしている中で、まず、南北朝時代の楠木正成の末裔だという楠木正虎をスカウトした。
書家として有名で、見た目、ちょび髭をした書道の先生みたいな雰囲気で、『くわっくわっくわっ』という笑い方が独特だった。
俺の代わりに書状などを書いてもらう右筆としてスカウトした。
【ステータス機能】
[名前:楠木正虎]
[年齢:50]
[状態:良好]
[職種:右筆]
[称号:無し]
[戦巧者:10(18迄)]
[政巧者:31(42迄)]
[稀代者:参]
[風雲氣:参]
[天運氣:肆]
~武適正~
歩士術:弐
騎士術:壱
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:参
策士術:肆
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
次に、公家の接待役をしていたこともあるという楊本範尭をスカウトした。
以前は、城持ちだったが、松永久秀に攻められて落城し、今は流浪の身だった男だ。
この大和国は、公家や皇族の荘園などが多数存在していた。
今は、その多くが騒乱で失われている。
俺が大和国を支配すると、公家などから、『助けてくれ』『荘園を返してくれ』などという陳情が多数寄せられた。
公家とは、ある程度、良好な関係を築きたいと思っているが、正直、陳情の内容が本当かどうかよく分からん。
そこで、楊本範尭をスカウトして、その対応に当たらせることにした。
公家には、土地を渡す訳にはいかないが、銭なら多少融通しても良いと考えている。
その楊本範尭だが、能力はほどほどだが、風雲氣だけが突出して高い。
……少し気になるから、風魔一族に見張らせよう。
【ステータス機能】
[名前:楊本範尭]
[年齢:45]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:15(25迄)]
[政巧者:27(38迄)]
[稀代者:弐]
[風雲氣:捌]
[天運氣:弐]
~武適正~
歩士術:参
騎士術:弐
弓士術:弐
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:弐
策士術:参
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
また、松永久秀に仕えていたという奥田忠高をスカウトした。
久秀に力を認められ、松永家の中で頭角を現していたが、久秀が亡くなったことで、喪に服すために隠棲していたらしい。
ステータスを確認すると、政巧者の数値が高く、領内統治に役立ちそうだ。
両端がはね上がった八の字形の立派な口髭が特徴的で、俺が立派だと褒めたら、嬉しそうに頷きながら、『儂の力を活用くだされ』と言っていた。
【ステータス機能】
[名前:奥田忠高]
[年齢:48]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:31(48迄)]
[政巧者:35(57迄)]
[稀代者:伍]
[風雲氣:参]
[天運氣:肆]
~武適正~
歩士術:伍
騎士術:伍
弓士術:伍
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:肆
策士術:伍
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
そして、今回の一押しの人材、柳生宗厳だ!
柳生新陰流の開祖となる人物で、今の段階でも兵法者としての名声が高かったが、数年前に落馬して重体になり、傷が癒えても片足を引きずっていることで仕官できず、生活に苦労していた。
俺は、柳生宗厳に声をかけて、ステータスを確認したら、予想通り、戦巧者の数値が高かった。
見た目も風格のある武人という印象だ。
それで鼻息荒く、高い給金で九鬼家にスカウトしたら、宗厳の息子たちも一緒に仕官してくれることになった。
【ステータス機能】
[名前:柳生宗厳]
[年齢:43]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:59(78迄)]
[政巧者:35(65迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:陸]
[天運氣:参]
~武適正~
歩士術:捌
騎士術:陸
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:陸
策士術:漆
忍士術:参
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
続いて、この宗厳の嫡男、厳勝だ。
前世の記憶だと確か、今からだいたい一年後に、戦で怪我をして半身不随になるはずだ。
俺の小性として採用して、その運命を変えてあげたい。
なんと、握手したら、戦巧者の数値が80こえだ!
また、戦担当が増えて嬉しい。
ただ、天運氣は壱だ……。
【ステータス機能】
[名前:柳生厳勝]
[年齢:19]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:41(80迄)]
[政巧者:10(21迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:漆]
[天運氣:壱]
~武適正~
歩士術:捌
騎士術:弐
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:壱
策士術:弐
忍士術:弐
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
あと、宗厳の次男の柳生久斎と三男の柳生徳斎、四男の柳生宗章だ。
次男は十七歳、三男は十歳、四男は四歳で、次男と三男は柳生の生活が苦しいので、寺に出家をしていたそうだ。
俺は、宗厳にお願いして、次男と三男も九鬼家に仕官してもらうことにした。
四男は、四歳だから仕官は数年後だな。
それで、三人のステータスはこうだった。
【ステータス機能】
[名前:柳生久斎]
[年齢:17]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:18(56迄)]
[政巧者:28(69迄)]
[稀代者:陸]
[風雲氣:壱]
[天運氣:参]
~武適正~
歩士術:伍
騎士術:陸
弓士術:参
銃士術:壱
船士術:肆
築士術:伍
策士術:陸
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
【ステータス機能】
[名前:柳生徳斎]
[年齢:10]
[状態:良好]
[職種:無し]
[称号:無し]
[戦巧者:11(49迄)]
[政巧者:19(70迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:壱]
[天運氣:漆]
~武適正~
歩士術:伍
騎士術:肆
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:弐
築士術:陸
策士術:漆
忍士術:弐
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
【ステータス機能】
[名前:柳生宗章]
[年齢:4]
[状態:良好]
[職種:無し]
[称号:無し]
[戦巧者:4(83迄)]
[政巧者:2(9迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:漆]
[天運氣:弐]
~武適正~
歩士術:捌
騎士術:壱
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:壱
策士術:壱
忍士術:漆
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
あとは、宗厳の息子に、史実で超有名人の柳生宗矩がいるが、まだ、生まれていない。
生まれたら、必ず採用するぞ。
また、面白い人材として中井正吉がいた。
宮大工をしていて、これも前世のうろ覚えだが、大阪城の築城に携わった人物だ。
【ステータス機能】
[名前:中井正吉]
[年齢:37]
[状態:良好]
[職種:木匠]
[称号:無し]
[戦巧者:23(44迄)]
[政巧者:33(48迄)]
[稀代者:参]
[風雲氣:伍]
[天運氣:伍]
~武適正~
歩士術:参
騎士術:弐
弓士術:弐
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:捌
策士術:弐
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
なお、それ以外に、偉そうにふんぞり返って、自信満々な顔で挨拶にきた名士たちがたくさんいたが、軒並み、低いステータスだった。
自慢話を延々と聞かされたが、能力が低いのは分かっているので、適当に話を合わせて、帰ってもらった。
働き手が足りないから、俺に反抗しないなら、ある程度、給金は出して雇っても良いが、抜擢はしないぞ。
………………
続いて、九鬼家の働き手を増やすための人集めだ。
大和国は、刀の産地として有名な五箇伝(大和、山城、備前、美濃、相模)の一つで、鍛冶職人がたくさんいた。
そこで、給金を弾み、志摩に来てもらうことにした。
辻右衛門と宗介の下に付けて、武器や鎧づくりに励んでもらおう。
そして、大和国の荒れ地に行って、人集めを実施した。
大和国は戦乱が続いて、身寄りのない子供たちが溢れていて、結局、二千人をこえる子供たちを九鬼家で育てることになった。
身寄りのない子供を引き取っていると、新しく家臣となった柳生宗厳が、高取城で俺を待っていた。
宗厳は、ナマハゲのように目が大きく、ギョロ目をしているのが特徴だ。
外見は目力があって怖い。
それで、スカウトした時に、刃を潰した刀を使って、俺の怪我に響かない範囲で軽く立ち合ってみた。
結局、俺の胸が痛くなって途中で止めたが、立ち合い中、宗厳のギョロ目の動きが素速く、俺が振った刀の動きを予測するように刀を合わされて、次々と打ち返された。
宗厳は足を引きずっているのに、剣さばきが上手で、俺の刀をコントロールされ、俺の構えを崩してきた。
一分の隙もない。
兵法者として名高いのが分かる腕前だった。
その宗厳からは、俺の剣筋は、珍しいほど洗練されていて素晴らしいと褒められた。
澄隆に憑依して以来、鍛え続けたから、身体がさらに軽く強く感じるようにはなっているが、剣筋が洗練されているのは、前世でずっと剣道を習い、剣道大会個人戦で日本一になる程、うち込んだおかげだろう。
剣道は、数百年の歴史がある。
歴史を経て、剣道は、徐々に剣筋が洗練されたのだと思う。
宗厳には、上段正眼からさらに刀が上がった型を教えて貰った。
『疾雷刀』と呼んでいて、上段からどこに落ちるか分からないから、そう名付けているのだそう。
超有名な柳生新陰流の剣術を直接習えるなんて、この時代にいなければできない経験だ。
楽しくて仕方がない。
怪我が完治したら、寝る間を惜しんで、全力でこの型稽古をしていこう。
早くものにしたい。
ちなみに、嫡男の厳勝も同じ顔で、ギョロ目だった。
それで、大和国の荒れ地から戻った俺を待っていた宗厳は頭を下げて、話しかけてきた。
「澄隆様、お疲れ様でございます。今回の救済はいかがでしたか?」
別に、救済じゃないのだけどな。
単純に人集めだ。
「ああ、今回も、いっぱい集まったぞ。それで、今日はどうした?」
宗厳は、ギョロ目をキラキラと輝かせて答える。
「澄隆様の浮浪児を助けようとする尊い行い、拙者、聞いたときは感動が止まりませんでした……。大和国のために澄隆様が動いて頂いたことに感謝したく、僭越ながら、まかり越しました」
「……俺がしたことなんて、子供たちに握り飯を渡して、働きたい子供に働く機会を作っただけだ。大したことはしていない」
宗厳は、首をブンブンと振る。
剣客だからか、宗厳の首振りにはキレがあるな。
「澄隆様は火縄銃で撃たれ、奇跡的に助かったと人づてに聞きました……。撃たれてすぐ、他人のために動けるお方は、そうそう、おりませんぞ」
宗厳は、感極まった様子で言葉をもらす。
「澄隆様は、鬼神様と呼ばれておるとのこと……。実際に会って、澄隆様の崇高な振る舞いから、拙者、良く分かり申した。微力ではありますが、拙者は澄隆様に絶対の忠誠を誓いますぞ」
宗厳は深々と頭を下げる。
「…………」
ダメだな、これは。
誤解を受け過ぎて、何も反論できなくなった俺は、話を強引に変える。
「俺は、もうすぐ志摩国に帰る。その時は、息子と一緒に付いてきてくれ」
神様を見るような眼差しで、俺を仰ぎ見ながら頷く宗厳。
早く、誤解が解けてほしい。
………………
それで、大和国で集めた二千人の子供たちは、風魔一族に命じて、道中の安全を確保した上で、百人ぐらいずつに分けて、志摩国に送った。
その後、九鬼家と興福寺との大和国の領地の境界が無事に決まり、大和国でのやることが一通り落ち着くと、鳥羽城に戻ることにした。
▽
う〜痛い……。
胸の鈍い痛みに耐えながら、歩いていると、鳥羽城が見えてきた。
やっと帰ってきたと嬉しくなる。
戻ることを事前に鳥羽城に伝えておいたからか、奈々と妙が城の外で待っていた。
俺が火縄銃で撃たれたこと、一時、意識不明の重体だったことを聞いていたようで、俺に会うと、緊張の糸が解けたのか、奈々は涙ぐみ、妙にはワンワンと泣かれてしまった。
ごめん、奈々、妙。
俺は、心が温かく、そして、キュッと苦しくなった。
異性からこんなに心配された経験はなかった。
憑依している身分で感じてはいけないのかもしれないが、この心が満たされる気持ちは、なんとも嬉しい感覚だった。
俺は、奈々に鎧のおかげで命拾いをしたお礼を伝えた。
俺が微笑みかけると、強張っていた奈々と妙の顔が安堵に緩み、とびきりの笑顔で頷いてくれた。
俺の体がフラつき倒れそうになるところを二人に受け止められる。
は、早く横になって休もう。
……それで、これからは、もっと、自分の言動に気を付けないとな。
変な死亡フラグを立てないようにしよう。
▽
俺は、鳥羽城で少し休むと、今回の論功行賞を行った。
まずは、興福寺を味方に引き入れ、領地配分を仕切った光隆叔父を勲功第一位とし、大和国の高取城の城主を任せることにした。
大和国は平地が多く、穀倉地帯となっているため、光隆叔父には俺の農業チートを伝えて、富国強兵に励んでもらう。
新しく開墾する領地には、現代のような正方形の水田作りをするように指示をした。
そして、光隆叔父の補佐は、大谷吉継を抜擢した。
吉継には、勉強を兼ねて、楊本範尭の公家対応も手伝ってもらうことにしよう。
あと、光隆叔父には、主だった家臣がいないことから、大和国のことが詳しい大仏供政忠と奥田忠高を補佐につけることにした。
それ以外の皆にも、その手柄に応じて、褒美として給金を増やし、ボーナスを渡していく。
例えば、高取城攻略を頑張った行長と紺には、それぞれ二百貫のボーナスを渡した。
紺は、『いりません~』と言って断ったが、それなら風魔一族で使えと強引に押し付けた。
家臣たちが皆、ホクホク顔の中、宴会を開くことにした。
もちろん、近郷のヌードは厳禁だ。
宴会では、澄み酒や、干しシイタケを使った料理を並べ、皆の努力をねぎらった。
家臣たちは笑顔で、騒いでいる。
笑い声が絶えない。
俺の両隣には奈々と妙が座り、俺が負傷しているからと、甲斐甲斐しく、俺に料理を食べさせてくれる。
宴会中、俺は、ほとんど手を使っていない。
あーんと口を開けて食べさせてもらうのは、家臣たちの目線がある中とても恥ずかしいが、二人を心配させた償いもあって、無の境地で食べ続けた……。
▽
宴会を終えた次の日、俺は一人で禁秘ノ部屋にいる。
俺の支配する領地は、大和国の八割以上を取ったことで、総数六十万石をこえた。
領土が広がったことで、俺はあることで悩み、うんうんと唸っていた。
それは…………分国法を九鬼家で制定するかどうかだ。
分国法は、戦国大名が家臣や領民を対象に作った法律で、自分の領内に限られる法だ。
現代でいえば、分国法は地方自治体の条例のようなものだろう。
分国法があれば、領内で何か問題が起こった際、効率的に決裁できるようになるし、家臣や領民が法に従い行動しやすくなる。
領地が今以上に増えても、分国法があれば、混乱せず、統治しやすくもなるだろう。
分国法は、メリットしかないように見える。
ただ………………。
前世の知識では、分国法を作った大名はほとんど滅び、分国法を作らなかった大名が生き残っているんだよね。
織田信長なんて、分国法なんて作らず、気に入らない家臣を追放したり、切腹させたり、好き勝手に、いっぱい理不尽なことをやった。
その代わり、逆に気に入った家臣は、この時代では非常識な抜擢や褒美を与え、モチベーション向上に繋げたりと、うまく飴と鞭を使い分けていた。
色々考えてみると、分国法がある国は、行動の予測がしやすいかもしれない。
弱点にも繋がりそうだ。
うーん……結局、『俺が法律だ! どやぁ!』と、法に縛られない大名の方が、勝ち残れるのかもしれない。
俺は、背伸びをして、凝った肩をほぐしながら決めた。
よし!
分国法の制定はやめやめ。
……だけど、俺は小心者。
信長ほど、理不尽な対応は、できそうもない。
俺の中では、ある程度の指針は、決めておいた方が良いよな。
俺は、自分のために、前世の知識を使って、誰にも見せる予定のない自分法を作っておくことにした。
………………
自分法を考えること、数刻。
外を見ると、夕焼けで景色がオレンジ色になっている。
時間の経つのは早いな……。
自分法は、思い付くまま書いたら、三十条をこえた。
まだまだ、書き足りない。
あ、それと、徳川家康が江戸幕府を作った際に制定した、日本全国の大名に対する決まり事『武家諸法度』や、天皇や公家に対する決まり事『禁中並公家諸法度』も、自分法の参考になるから、覚えている限り、書き出しておくことにした。
徳川家を支えたエリート官僚たちが、苦労に苦労を重ねた末に作り上げた『諸法度』。
完全なるパクリであるが、自分法に生かしていこう。
あとは、もし、俺が討ち死にしたり、憑依が解けたりして、いなくなっても、残された人達が困らないように、遺書でも書いておくか。
遺書には、皆への感謝や、九鬼家の今後の方針を残しておこう。
それで……。
これまでの内政チートの成果を整理したもの、そして書き出した自分法と諸法度、遺書、これらをまとめた書物の表紙に『戦国鬼録』と書いた。
中二病っぽい名前だが、九鬼の記録だから、鬼録にした。
これからもルーチンワークで、『戦国鬼録』作りを続けていこう。
―――――――status―――――――
[名前:楠木正虎]
[年齢:50]
[状態:良好]
[職種:右筆]
[称号:無し]
[戦巧者:10(18迄)]
[政巧者:31(42迄)]
[稀代者:参]
[風雲氣:参]
[天運氣:肆]
~武適正~
歩士術:弐
騎士術:壱
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:参
策士術:肆
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
楠正成の末裔。
九鬼家の右筆(書記官)を担当。
見た目はちょび髭をした胡散臭いおっさん。
『くわっくわっくわっ』という変な笑い方が特徴。
―――――――――――――――――
【ステータス機能】
[名前:楊本範尭]
[年齢:45]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:15(25迄)]
[政巧者:27(38迄)]
[稀代者:弐]
[風雲氣:捌]
[天運氣:弐]
~武適正~
歩士術:参
騎士術:弐
弓士術:弐
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:弐
策士術:参
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
松永久秀に城を奪われたが、領主に返り咲きたいと策謀中に、澄隆にスカウトされた。
九鬼家に仕えることにはしたが、裏では、興福寺の筒井順慶にも支援を依頼している。
―――――――――――――――――
【ステータス機能】
[名前:奥田忠高]
[年齢:48]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:31(48迄)]
[政巧者:35(57迄)]
[稀代者:伍]
[風雲氣:参]
[天運氣:肆]
~武適正~
歩士術:伍
騎士術:伍
弓士術:伍
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:肆
策士術:伍
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
松永久秀の元家臣。
久秀が亡くなったことで、松永家から離れ、隠棲していた。
八の字形の口髭がトレードマーク。
口髭に相当の思い入れがあり、口髭を褒められるのが、一番嬉しい。
―――――――――――――――――
[名前:柳生宗厳]
[年齢:43]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:59(78迄)]
[政巧者:35(65迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:陸]
[天運氣:参]
~武適正~
歩士術:捌
騎士術:陸
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:陸
策士術:漆
忍士術:参
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
柳生新陰流の開祖。
落馬して重体になって以来、左足が少し麻痺し、隠遁生活をしていた。
ナマハゲみたいなギョロ目をしていて、子供からは怖がられるが、本当は子供が大好き。
世が乱れ、弱き女子供が泣く現状に憂い、己の力不足を嘆いていた。
慎重な性格で、何事も石橋を壊すほど叩いて渡るのが信条。
―――――――――――――――――
【ステータス機能】
[名前:柳生厳勝]
[年齢:19]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:41(80迄)]
[政巧者:10(21迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:漆]
[天運氣:壱]
~武適正~
歩士術:捌
騎士術:弐
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:壱
策士術:弐
忍士術:弐
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
宗厳の嫡男。
将来は立派なナマハゲになりそうな顔をしている。
慎重な父親と真逆な性格で、無理無茶無謀なことが大好き。
アドレナリン出まくりの危険な環境にいつも飛び込んでいる。
―――――――――――――――――
【ステータス機能】
[名前:柳生久斎]
[年齢:17]
[状態:良好]
[職種:歩侍]
[称号:無し]
[戦巧者:18(56迄)]
[政巧者:28(69迄)]
[稀代者:陸]
[風雲氣:壱]
[天運氣:参]
~武適正~
歩士術:伍
騎士術:陸
弓士術:参
銃士術:壱
船士術:肆
築士術:伍
策士術:陸
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
宗厳の次男坊。
兄弟で唯一、ナマハゲ顔でない温厚そうな顔をしている。
お寺に出家をしていた。
争うのが嫌いで、将来はお寺に戻りたいと思っている。
―――――――――――――――――
【ステータス機能】
[名前:柳生徳斎]
[年齢:10]
[状態:良好]
[職種:無し]
[称号:無し]
[戦巧者:11(49迄)]
[政巧者:29(70迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:壱]
[天運氣:漆]
~武適正~
歩士術:伍
騎士術:肆
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:弐
築士術:陸
策士術:漆
忍士術:弐
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
宗厳の三男坊。
立派なナマハゲ顔。
剣の修行より、書物を読むのが好き。
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【ステータス機能】
[名前:柳生宗章]
[年齢:4]
[状態:良好]
[職種:無し]
[称号:無し]
[戦巧者:4(83迄)]
[政巧者:2(9迄)]
[稀代者:漆]
[風雲氣:漆]
[天運氣:弐]
~武適正~
歩士術:捌
騎士術:壱
弓士術:壱
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:壱
策士術:壱
忍士術:漆
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
宗厳の四男坊。
この子も立派なナマハゲ顔。
剣に天賦の才あり。
兄弟で最も気性が荒い。
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【ステータス機能】
[名前:中井正吉]
[年齢:37]
[状態:良好]
[職種:木匠]
[称号:無し]
[戦巧者:23(44迄)]
[政巧者:33(48迄)]
[稀代者:参]
[風雲氣:伍]
[天運氣:伍]
~武適正~
歩士術:参
騎士術:弐
弓士術:弐
銃士術:壱
船士術:壱
築士術:捌
策士術:弐
忍士術:壱
〜装備〜
主武器:無し
副武器:無し
頭:無し
顔:無し
胴:木綿の小袖(弐等級)
腕:無し
腰:木綿の袴(弐等級)
脚:木綿の足袋(弐等級)
騎乗:無し
其他:無し
腕の良い宮大工。
後世に残る建築物を作るのが夢。
苦手なものは猫。
猫が近くにいるとクシャミが出る。
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次回は、いよいよ、澄隆が奈々と結婚します。
『元服と祝言』、お楽しみに!




