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黒薔薇の騎士団  作者: すずしろ
EX Episode-3
50/77

本物はどっち?

 明日香と梓と、リュカが部屋でやることもなくふわふわとした時間を過ごしていると、明日香が。

 「ねぇ、お姉ちゃん」

 「ん、何?明日香」

 いつもより少し真面目な雰囲気のある明日香の声に梓は少し引っ掛かりを覚えたが、そういう気分なのだろうと、流して答え明日香の方を見ると、

 「お姉ちゃん、私の言うことなら、何でも聞いてくれるんだよね?」

 「そうよ、明日香の為だもの。出来ることなら何だってやってあげるわ♪」

 自信満々に梓は無い胸を張って言う。すると、明日香はなら…と、真剣な表情になって、

 「リュカが私に化けたらどっちが私か見分けられる?」


 という、勝負を引き受けてリュカと明日香が打ち合わせをするため、梓は部屋の外に出されていた。

 「『見分けられる?』ってどういうことなのかしら?何かあるのかしら、それとも単純に、私の明日香への愛を確かめるため…?条件の為にも間違えるわけにはいかないけれど」

 そう、明日香は自分を当てることができたら、一度だけ言う事を聞く、と約束をしていたのだ。そのため梓はいつにもまして気合が入っている。他の人間からしたら、それはどうなんだ?と思えるかもしれないだろうが、そんな事を考えていると、部屋の中からいいよと声がした。

 「それじゃあ、入らせてもらいましょうか」

 梓が意気揚々と扉を開けると、


 「「さぁ、どっちだ?」」

 明日香が二人いた。比喩などではなく、全く同じ明日香が鏡から出てきたかのように、完璧に同じ明日香が二人いたのだ。

 「ありゃ、これは…想像以上に難しそうね…」

 「私達」「どっちが」「本物の」「私か」「分かる?」

 代わる代わるに言葉を口にする二人の明日香。そして、意地悪く笑うと、さぁどっち?と迫ってくる。

 梓は、最初は迷ったような口ぶりだったが、選ぶときには。

 「こっちの明日香よ」

 迷うことなく、右にいた明日香を選ぶ。

 すると、左の明日香が少し悲しそうに笑って、

 「………お姉ちゃん、外れ、だよ…分かってくれるって、信じてたのに…っ!」

 振り返るときに、透明な雫をきらりとさせて、扉から出て行った。ふわりと光がもう一人の明日香を包み込み、リュカへと姿を変える。そして、残ったリュカは梓に静かに話しかける。

 「追いかけなくてもいいのか?出て行ってしまったが…」

 「大丈夫よね、明日香?」

 梓の言った言葉に、リュカが笑う。

 「何を言っているのだ?明日香は今さっき出て行っただろう?」

 「いや、最初は分からなかったけどね。やっぱ本物とニセモノじゃ微妙に違うのよ♪」

 梓の得意げな一言に、リュカは観念したように顔を緩めると、もう一度その光が現れリュカを包み込む。そして現れたのは、

 「…正解、お姉ちゃん♪」

 明日香だった。正真正銘の、明日香はもういいよ~と扉のほうへ言うと、変化をといたリュカが部屋の中に入ってくる。

 そして不思議そうに聞いてくる。

 「どうして、妾がニセモノだと分かったのだ?それだけ聞かせてくれ」

 リュカの不思議そうな質問に、梓は得意げに。

 「二人が笑ったとき、リュカのほうが少しだけ作ってる感じがしたから」

 二人はそれを聞いて、なるほど…と感心してその後、リュカは仕方ない、と部屋から出て行く。

 その前に一言にやっと笑って、


 「二人でごゆっくり、だぞ♪」


 「お姉ちゃん、ほんとに当てちゃった…」

 「ふふ、凄い?もっと褒めてくれてもいいのよ?」

 梓の自慢げな一言にちょっと明日香は引きながらだが、

 「…でも、ほんとに凄いよ、笑い方でわかるなんて」

 「ま、伊達に長い間お姉ちゃんやってないからね~」

 梓がドヤ顔で言ってのける。明日香は一つため息をつくと、覚悟を決めたように梓に聞く。

 「約束通り、一つだけなら聞いてあげる。お願い」

 明日香がそう呟くと、梓は引き出しから小さな箱を取り出す。どんなものか気になっていると、ちょっと嬉しそうに、

 「これ、一緒に食べよ?私が作ったチョコ、だから」

 箱を開くと、中にあったのは4つほどのトリュフチョコ。梓は一個それを口に含むと、大丈夫でしょ?と笑いかけてくる。

 「わかったよ、ん…あー…」

 明日香は目を瞑って、小さな口を開ける。梓は目を瞑って見えていない明日香に意地悪く笑い、その唇に合わせる。

 「!?~~~~~~!!」

 明日香の口の中に、梓の舌と、唾液と、チョコが入り混じる。いきなりで抵抗できなった明日香の口の中に梓がチョコを口移しで渡す。

 「んっ…うっ、ぅん…んく…」

 明日香の口の中は、甘いチョコと梓の唾液でいっぱいになっていた。

 (うぅ…こんなの、想像してなかったよぉ…でも、たまにならいいかも…)

 「んぅ、う、ん…ぷぁっ…ご馳走さま…」

 明日香が、チョコを食べ終えると同時に梓もキスを止める。つぅ、と唾液の糸が二人の口から伸びて切れる。

 「美味しかった?」

 明日香は梓のその言葉に少し照れながらこくりと頷いた。

 「次は、普通に食べたいけどね…」

 明日香のその言葉に、梓は少し申し訳なさを感じがら、もう一つのチョコを渡す。

 「ん、ありがと…ほんとに、美味しかったよ」


 そう言ってぱくりとチョコを頬張る。明日香の頬が心なしか紅潮し始めて、もう一つのチョコもすぐに食べ終えてしまった。

 「ふぇ…おねえひゃん…なんか、ふぇんらよぉ……」

 明日香の様子がおかしい、端的に言えば酔っていた。

 (え…確かに隠し味にちょっとウイスキー入れたけど…あんな量で明日香、酔っちゃうの?)

 明日香がフラフラとどう考えても酔っている人間の動きをしている横で冷静に考えていると、明日香に抱きつかれる。

 何が起こっているのか理解できていない梓がフリーズしていると、カチャという音が聞こえる。

 「ん……?え、首輪…?」

 「そうらよぉ~あそこにあったから~」

 しかも首輪だけではなく、なぜか手錠までつけられていた。どういうことなのか、と考えているまもなく、次に明日香は。

 「にゃっ!?ちょ、明日香なんで服脱がしてるの!?」

 「そんにゃのもちろん~………」

 そこからの言葉が途切れる。梓があら?と疑問に思い明日香を見ると、規則正しい寝息と共に眠りについていた。

 「ね、寝てる…」

 梓が、安心なのかよく分からない感情をどう表現したらいいか迷っていると、

 「……大好きな……お姉ちゃん、は……私の…なん、だから…」

 「…そっか、私も明日香は大好きだし、明日香を誰にも渡す気はないからね」

 梓は、微妙に不自由な両手で明日香の額の髪を分けると、そこに優しくキスをした。

 「さて……私はどうしよう?」

 首輪と手錠をかけられた梓は結局明日香が起きるまでその状態だったとか。

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