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黒薔薇の騎士団  作者: すずしろ
E-4 常闇の世界と吸血姫
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夜闇の帝国

第4章開始です新しいキャラも出るよ!やったねタエちゃんおと(ry

 「もうダメ………死んじゃう……」

 柚姫が床に倒れ付しながら声を絞り出して呻いている。鏡華に至っては喋ることすらできずに、床ペロしていた。

 「まだまだ、こんなんじゃ私たちには追いつけないよ~?とりあえず、二人とも休んでねこれからもしかしたら異世界に行くかも知れないからね♪」

 そう言うと、明日香は緋焔達に柚姫達を部屋に連れて行くようにと言って、二人を部屋に連れて行っていた。

 いつもの五人となった後、明日香はマルモに聞いてみる。

 「ねえ、マルモの魔法で跳び箱で次に行く異世界の内容とか分からないの?」

 そう聞かれて、マルモは難しい顔をする。その表情はできなくは無いが…というようなかなり微妙な表情だった。

 「一応できる…けど、ほとんど分からないわよ?」

 「それでも分からないよりかは良いわ、お願いしていい?」

 明日香にそう言われると、マルモは仕方が無いといった表情で跳び箱を手に持つと、魔法を唱えて目を閉じる。異世界の様子を見ているのだろう、明日香達はじっとその様子を見て、マルモの言葉を待っている。

 跳び箱を机に置くと、マルモはさらに難しい表情をして見えたものを話す。

 「……暗闇…蝙蝠…大きなお城…そんな感じだったわ」 

 聞いた四人も首をそろえてかしげる。確かにそれだけでは何がなんだかまったく分からない。

 「う、う~ん…まぁ、何も分からないよりは多分、マシでしょう!」

 明日香はそう言って無理やり話を終わらせる。自分でも少し申し訳ないと思ったのだろう。

 そういった直後に、扉が開いて柚姫と鏡華が入ってくる。先ほどよりも随分と顔色は良くなっていた。

 「う…い、今から異世界に行くの……?」

 「行くけど、柚姫たちがちゃんと回復してからだから…安心して」

 明日香がそう言うと、柚姫たちはうぅ……ともう一度、部屋に戻っていった。


 柚姫達がしっかり休めるようにと、明日香達はしっかり一週間ほど休んでいた。もちろんその間でも鍛えることは忘れていなかった。

 「さて、皆準備できた~?」

 明日香が楽しそうに、全員に点呼を取ると、全員OKといわんばかりの表情で返してくれる。明日香は梓のブローチと合わせて鍵を作り出すと、

 「じゃあ、行くよ!しゅっぱーつ♪」

 そう言って、跳び箱の中に鍵を差し込む。そして、光が辺りを包み明日香たちを異世界へと誘った。


 異世界の最初の感想は、マルモの言ったとおりと言うべきか一寸先も見えないほどの暗闇だった。

 近くに全員いることを確認すると、この世界の記憶をトレースする。

 どうやら、この世界は夜を繰り返す世界らしく、昼は存在しない。そして、この世界の大部分は吸血鬼ヴァンパイアが住んでいるようだった。

 兎にも角にも、この状態はあまりよろしくないので、町か何かが無いか探すことにした。闇夜はとりあえず魔法を使って、見えるようにした。

 しばらく歩いて数十分たった頃に、弱い明かりが見えた。おそらく町だろう、とりあえずそこに入って柚姫たちの仲間、白亜の情報と翠、又はその仲間の情報を集めることにした。

 「お~意外とすごいわね…何というか想像以上ね…」

 見つけた町は中世的な町で、弱い灯りがちらほらと点いているだけだったが、人の気配はかなりする。

 街中に入ってみると、たくさんの人間がいた。だが、その人間の一人ひとりから異様な気配がする。おそらく全員が吸血鬼なのだろう。自分達が異世界人だと悟られないように、極力注意をして街中を散策していると、

 突然、少女がぶつかってきた。と思ったら、いきなり。

 「ちょっとの間でいい!妾を匿ってくれ!」

 そう言って明日香たちの後ろに隠れる。よく分からないが、マルモが透過煙ステルススモークを使って少女の姿を隠す。

 その後すぐに複数人の男女が、血相を変えて道を走っていった。


 「……もう大丈夫だと思うよ?さっきの走っていった人たちでしょ?」

 「あ、ああ…すまないな、助けてくれて迷惑かけた」

 改めて少女の姿を見ると、服は煌びやかな服で、美しい銀の髪がさらに美しさを引き立たせている。おそらくかなり位の高い家の少女なのだろう。

 「貴女の名前、教えてくれない?」

 明日香が、少女の名前を尋ねると、少女も忘れていたようで名乗りを上げる。

 「すまなかったな、妾の名前はリュカ・アルティアまぁ、適当に呼んでくれ」

 それと……と申し訳なさそうにリュカが頼み込んでくる。

 「無理ならば構わないのだが、妾は少し追われている身でな、しばらくの間お前達と行動を共にしたいのだが構わないか?」

 何か理由があるのだろう。明日香はいいよ。と快く引き受けていた。アリシアとマルモはすでに慣れているのか、特に何を言うこともなくその言葉に従っていた。梓に至っては可愛ければ誰でも良いのか、すでにリュカに話しかけていた。

 残りの柚姫と鏡華だけが、明日香に小声で、

 「大丈夫なの?あの子、まだ何も分からないんですよ?」

 「大丈夫よ、あの子ほかの子と比べてそこまで強くなさそうだから最悪、どうにかできるし」

 明日香は自信満々にそう言って見せるところを見ると、心配は要らないだろう。鏡華も柚姫と一緒に聞いていたが納得してリュカの所へいって、コミュニケーションを取りにいっていた。

 「え~っと…リュカはなんであの人たちに追われていたの?」

 「妾にも事情があっての…それは言えん。すまないな」

 「言えないなら無理には聞かないけど、言える時になったらいってね」

 リュカもああ、と軽く返事をすると、

 「それで…どこか泊まる場所はあるのか?」

 リュカに言われて思い出す。この世界に来てからの拠点となるような場所はまだ一つも決めていない。明日香がどうしよう……と頭を抱えていると、リュカが、

 「お前達は異世界人なのだろう?だったら、妾がいい宿を教えてやるからついてくるといい♪」


 リュカに連れられて、また歩いていると小さな宿を見つけた。リュカが中に入って何か宿屋の主人と話してとことこと戻ってきたその手には、

 「ほれ。妾が交渉して持ってきてやったぞ、感謝するといい♪」

 うれしそうなリュカを見て、明日香は苦笑しながらリュカの頭をなでてやった。と、いってもリュカと明日香の身長は大体同じくらいなので、周りから見れば小さな女の子達の可愛いじゃれ合いにしか見えない。

 割り与えられた部屋は、アリシア、マルモ、凛の三人での部屋と、明日香、梓、リュカの三人部屋、柚姫と鏡華の二人部屋になった。いや、なってしまった。

 「あ~す~か!!」

 「くるなっ!」

 飛び掛る梓の体を掴んで周りにも考慮して投げ飛ばす。打ち付ける先は床ではなく、明日香の靴のつま先だ。

 抵抗できず、明日香のつま先にクリーンヒットした梓は床の上をもんどりうって転がっていた。その様子を見て、リュカが苦笑しながら。

 「お前達の関係は一体どういうことなのだ……」

 「ん~?普通の姉妹だよ?ただ、お姉ちゃんがちょっぴりシスコンなだけで」

 リュカはちょっぴり、という単語に疑問を覚えたが、追及はしなかった。梓が落ち着いた後リュカと改めて言葉を交わす。

 「リュカは何か事情があって自分の家に帰れない、で追われているから異世界人である私達に情報を与える代わりに匿うっていう交換条件。これで合ってるよね?」

 「ああ、別にほかの者を頼っても良かったが、何せ妾はこんな身だ。それなりに噂は立つからななるべく強い者がいいからの、そこでお前達が通ったということだ。こいつらは強いと一目見て分かったからの♪ついでに異世界人であることも一目見て分かったぞ」

 リュカがドヤ顔で話しているのを見て、流石に気になった部分があった。

 「何で私達が異世界人だって分かったの?記憶とかはトレースしてほとんど変な行動もしていなかったじゃない」

 「ん?何で妾がお前達を異世界人だと分かったのか教えて欲しいか?」

 ドヤ顔で言われるのが多少イラッと来るが、言葉を飲み込んでリュカから理由を聞く。

 「え、ええ教えてくれないかしら?後私は明日香、あっちのお馬鹿お姉ちゃんは梓ね」

 お馬鹿とは何よ~と梓が唸っているが、気にすることなく華麗にスルー。リュカに早く話してよ、と無言の圧力をかける。

 「正直、妾がおま…明日香たちを異世界人だとわかったのは半分くらいなのだが、なんと言うか……においが違った、というべきなのだろう」

 リュカが言い直して答えをいったと思ったら、なんともいえないような答えだった。

 だが、明日香たちも同じような天才肌に近いタイプなので一概にそんな勘のようなもの。と笑うわけにはいかない。

 「におい…わたし、そんなににおう?お姉ちゃん……」

 明日香が少し悲しそうな目で、梓を見つめていた。におうといわれたのが悲しかったのか、梓に近寄って本当ににおうか確認してもらっていた。

 もちろんリュカの言っている『におい』とはそういう意味のものではないのだが、リュカは心配している明日香の様子が可愛かったのでそのまま放っておいたら、明日香が顔を真っ赤にしておかしな声を上げていたので、無理やり明日香と梓を引き離して三人で一緒に温泉に入ることにした。


 「おんせん~久しぶり♪」

 上機嫌な明日香の後ろには、恐ろしいほどの目力を発揮し続けている梓と呆れ顔で梓を見つめているリュカ。明日香に至っては楽しそうにしゅわしゅわしゅわしゅわ~♪と歌っていた。

 脱衣所で服を脱いだ後、待っていたのは湯煙立ち上る、古風な露天風呂だった。人も随分少ないので明日香は嬉々とした表情で温泉の中に入る。

 ふぁ……、と恍惚とした表情で温泉に入っている明日香を見て嬉しそうに見ている梓。リュカも続いて温泉に入って先ほどの疲れを取っていた。

 「やはり……ここの温泉は良いものだ…妾も昔一度来たきりだが、間違っていなかったな♪」

 「ん~?リュカ、昔もここに来たことあるの~?」

 「ああ…確か…50年程前に一度、な」

 リュカがふっと出した言葉に、明日香が思わず地雷発言をしてしまう。

 「ふぇ~ってことはリュカはロリばb」

 「それ以上は許さんぞ?わが同胞よ?」

 リュカの笑顔に、明日香ははっと我に帰る。そして、もう一つ重要なことに気付く。

 「何で私が年とってないことわかるの!?」 

 「そんなもの周りのものと雰囲気が違うからの。明日香たち全員がそうなのだろう?」

 リュカはさも当然のようにそう言ってくるが、それを見破れた人間なんて異世界に何人いるのだろうか。

 尚、その後は明日香を弄るついでにリュカもついでに弄って二人に梓が沈められかけたとか沈められかけてないとか。

8・15柚姫と鏡華の部屋あてを書いていませんでしたので修正しておきました

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