自由行動~明日香達の場合~2
久しぶりに百合表現がありますので、苦手な方はご注意願いますm(_ _)m
「う~ん開かない……結構力入れてるんだけど…」
明日香が力を入れて開かない、と言うのはこの扉の強度的におかしいのだ。
ここの扉には特に鍵らしきものはついていなかったし、立てつけが悪いわけでもない。
なのに、ここの扉が開かない、まるで『魔法でもかかっている』かのように。
(ここには私と……多分お姉ちゃんの二人だけ……それが指し示す答えは一つ……)
明日香の頭に電撃が走ったように、答えが導き出される。
(私が、襲われるフラグッ……!)
明日香は全神経を集中させて、自分以外の動くものの気配を探知する。
すると、明日香の背後を一瞬何かが通り過ぎるのを感じ、それに向かって手刀を最速で振り下ろす。
「喰らえっ…!」
明日香の手刀は、高速で動く何かに吸い込まれ──
「痛っ!」
梓に当たるのだが、当たり所が悪く梓の腕を掠める。
梓の服は肩を出すタイプの服だ、いくら明日香が手加減したとはいえ、素肌に明日香の手刀を受ければ傷は必至だ。
現に梓の腕からは、赤い筋がつぅ、と垂れている。
「お、お姉ちゃん大丈夫!?」
「大丈夫よ、このくらい」
梓は腕を振って、大丈夫であることをアピールするが、明日香は心配そうな顔で。
「ダメだよ…絆創膏は無いし…なんか…あ、……う、こ、今回だけ!今回だけだからお姉ちゃん腕出して!」
明日香が顔を真っ赤にして、梓に言う。
梓も言われるがままに腕を差し出すと、明日香は傷口に顔を近づけて──
「んぅ…ふ、ぅ……どう…?ちょっとは良くなった…?」
明日香は可愛らしい舌で、梓の傷口を舐めている。
心配そうに上目づかいで梓を見つめている明日香に、梓は。
「え、ええ!大丈夫よ!HPとCPとお腹が全回復する霊薬を10本飲んだ位大丈夫よ!」
「大丈夫…?なのかな?まぁ、良いなら良いけど…」
「ふふ~明日香に私の傷舐めてもらった~♪満足満足~♪」
嬉しそうな梓に明日香はため息を一つついて、
「それじゃあ、そろそろ扉開けてよ、ね?お姉ちゃん」
梓は明日香の言葉にきょとんとする。明日香の言っていることが本気で分かっていないような顔で。
「ふぇ?どういう事?私、魔法なんてかけていないわよ?」
「え…それ、どういう事?お姉ちゃんが魔法をかけたんじゃないの?」
「そんな事してないわよ…そもそも私が明日香を閉じ込めるならもっとちゃんとした魔法をかけるわよ!」
梓の嬉しくない自信満々の一言に、明日香は比較的本気でドン引きしながら、梓が本当に魔法をかけていないと考える。
「じゃあ、何で扉が開かないの?」
「いや……私に聞かれても……とりあえず、思いっきり開けてみる?」
梓がどうする?と言った表情で、聞いてくる。
明日香も「う~ん…」と困った表情で、
「それで、開かなかったんだけど……」
「じゃあ、ほんとに二人っきりって事!?」
「お姉ちゃん離れてっ!」
梓の嬉しそうな声に明日香が全力で突き放す。
梓は一転して絶望的な表情になるが、あきらめた様子はないようで。
「……じゃあ、私が扉を開けてここから出たら私の膝の上に乗ってくれる?」
いきなり梓がよく分からないことを言ってくる、明日香は頭に?マークを浮かべながら。
「それくらいなら…別にいいよ?どうして?」
「ううん、それだけ聞ければ問題ないわ。それじゃあ…はぁっ!!」
梓は一瞬だけ魔力を掌に溜め、それを扉に叩き込む。
梓の霊掌はただの扉ならば、オーバーキルにも等しい威力なのだが、
「……どうして壊れないのかしら…?」
何故か無傷だった。その異様な光景に、明日香は冷や汗を流しながら。
「これ、本気で助けを呼んだ方が…」
本格的に不味いと感じ始めた明日香が、そう呟くと、梓は冗談じゃないといった表情で、
「それはダメ!明日香を膝に乗せられなくなっちゃう!」
何故梓がそこまで拘っているのかは分からないが、梓は明日香を膝に乗せたがっている情熱は、明日香本人にもひしひしと伝わってきていた。
「お姉ちゃん、とりあえず助けを呼ぼ?膝の上に乗るくらい後でやってあげるから…」
明日香の若干苦笑混じりの声に、梓もむ~、と唸ると。
「分かったわ、約束だからね!」
納得してくれた梓に感謝しつつ、明日香は扉の前に立って、助けを呼ぼうと───
「あ、でもその前に服は着替えていた方が良いよね」
明日香はそう言うと、服を脱ぎ始める。
発育不足の明日香の身体は、一部の男性に大人気だ。
「ちょ!?明日香、なんでここで着替えるの!?」
何故かひどく狼狽している梓に、明日香はお構いなしに着ていたフリルのワンピースを脱ぎさる。
梓は明日香の汚れを知らない純白の下着を見つめながら、
「何と交換なら明日香のブラとパンツって手に入るんだろう……」
いつの間にか自分の心の声が漏れているとも知らず、梓がそう呟きを漏らすと、
「………頭を思いっきり叩きつければ少しはお姉ちゃんの残念な性格も治るのかな……」
案の定、過去最高に近いほど引かれていた。
そんなこんなの内に、二人とも柔道着に着替え、本来の目的---ここからの脱出を開始しようと考えたところに、タイミング良くここの主の声が聞こえる。
「二人とも~!その扉開かないですよね!?」
走ってこちらに来たのか、息切れの音が扉越しに聞こえてきていた。
「そうだよ……押しても引いても壊そうとしてもビクともしないよ…この扉何なの……?」
「その扉…壊滅的に立て付けが悪いんですよ…BVずぶといとける3積みシャワ娘もびっくりするくらい……」
明日香もそれを聞いて、苦笑する。
いくら壊滅的に立て付けが悪いとしても、梓の霊掌で壊れないとなると、とんでもない強度にまで達していることになるのだ。
少なくとも木製の扉での強度はトップクラスだろう。
「と言うわけで、今から開けるので扉から離れてください!」
椎名がそう言った次の瞬間───
轟音が響きわたり、扉が破壊される。
大量の舞い踊る埃を正面から被り、乱雑に置かれた用具に突撃する。
「だ、大丈夫…?二人とも…何処かケガとかしてない?」
梓は別の理由でケガをしていたので、黙っておくことにした。何より、今一番問題なのは、椎名の方だ。
「わ、私たちは問題ないけど…椎名こそ大丈夫なの?結構な勢いで突っ込んだけど…」
「うん…私は大丈夫よ、このくらいよくある事だから」
あはは…と苦笑する椎名を信用してか明日香達はそれ以上は何も聞かず、三人でもう一度武道場に戻った。
「よし、それじゃあ気を取り直して始めましょうか!皆、ストレッチとかは終わってる?」
椎名が腕を伸ばしながら、周りの少女に聞くと、問題ないようで全員が元気な返事を返してくれていた。
明日香達も、軽くストレッチを行って適当に開いている場所に入ることにして、
「ふふふ…♪一緒に頑張ろうね、あ・す・か♪」
梓の言葉にえも言われぬ寒気を覚えつつ、明日香は今度こそ柔道の講習を受ける。
「それじゃ、始めよっか。最初はさっき言った上四方固めでいいよね?その後は各自自由で!ケガしないようにね♪」
特に、椎名の言葉に何かあるわけでもないので、全員が大人しく型を作りにかかる。
明日香は梓がどうしても受けが良いとのことなので攻めに回っていた。どうせ、また何かよからぬことを考えているのだろうが、流石に人が多い場所ではそういう事も出来ないだろうと考えていたが。
「よっと…こんな感じで良いのかな…?ひゃっ!?」
突然の事で、思わず上ずった声が出てしまう。
何事だろうと思って、下を覗き込むと自分の素肌が見えた。もちろん、ブラなどの下着は外していないのにだ。
よく見ると、柔道着のボタンの部分も外れていた。帯を巻いているからこそ、今の今まで気付けなかったのだ。ブラの部分はすっぱりと綺麗に切られていた。
「まさか…このために受けに回ったの、お姉ちゃん?」
明日香が静かに、だが明確な殺意を込めて梓に聞くと、梓はふふん?と、ドヤ顔で笑っていた。
「どうするの?このまま椎名に言うの?私はそれでも良いけどね~」
明日香が今言えば、確かに椎名のうっかりで事が終息するだろう。だが、そうした場合来てくれた少女たちに迷惑をかけてしまう、明日香はそれだけはしたくはなかったので。
「最初から、このつもりだったの…?ほんと、お姉ちゃんってどうでもいいことで頭使うよね…」
明日香は呆れながら、できるだけ服がはだけないように努めるが、それが目的の梓は。
「むっふ~明日香のちっぱいが目の前にあるんだよ~」
「はっ…ぅ、ぁ…ひぅ…お、ねぇ…ちゃ…ひと、いっぱい、ぃるう…か、らぁ…い、まは、だ、めぇ…」
明日香はできるだけ声を殺しているが、それでも甘い声はそれでも自然に出てしまう。
「あれ、明日香大丈夫?なんか変な声でてるけど…っんぅ、ふふ♪」
顔を赤らめて、必死に耐えている明日香とは対称的に、梓は楽しそうな表情で明日香の道着の中に顔をうずめている。
もちろん、バレない範囲でやっているところに、必要のない職人の技を感じて、正直何とも言えない心境だ。
「も、う…お、ねぇ、ちゃん、のば、かぁ…」
明日香は涙をこぼしながら、身体を震わせている。
次の瞬間、明日香の体が小さくだが、ビクッ、と震える。梓は楽しそうに明日香に話しかけ、
「あれ?ビクビクしてるけど、明日香もしかして───」
「そ、んなぁ、こと…ない…わた、しがぁ…お、ねえちゃ、んにぃ…ひぅっ!?」
「我慢しちゃだめよ~明日香?ちゃんとイっちゃう時は言わないと~♪」
梓が意地悪くそう言うと、明日香は身体を震わせて「ぅる、さい…」と、か細い声で答えて、ふるふると今でも小刻みに震えている。
「…あ、あの…明日香、大丈夫なの梓?顔赤いし、何か具合悪そうだよ?」
突然聞こえた声に梓は振り返ると、そこには教えているはずの椎名の姿があった。
確かに、傍から見れば明日香の体調は悪いように見える。まぁ、実際はまったくそんなことは無いのだが。
思わぬ助け船に、すかさず明日香は乗り、
「ご、ごめん…椎名…ちょっと、休ませて…風邪がぶり返しちゃったっぽいの…」
もちろん嘘なのだが、逃げるための口実だこの際なりふり構っていられる場合ではない。
「え!?そうなの!?それなら早く言ってくれればよかったのに…上の部屋なら開いてるから、ゆっくり休んできてね」
椎名の優しさに感謝と謝罪を内心しつつ、先ほどまでいた上の部屋に行こうとする。
「それなら、明日香は私が連れて行くわ」
予想通りの回答が梓から帰ってきて、明日香は内心でほくそ笑む。
「お願い、お姉ちゃん…もう、一人で歩くのもちょっと辛いの…」
梓がそんな言葉を聞いて断るわけがない。もちろんこれもここから抜け出すための口実なのだが、梓にとってはアドバンテージでしかない。出来るだけ、いつもの対応になるように努力して、
「分かったわ、明日香。椎名ありがとありがたく使わせてもらうね」
──明日香と私のために♪
最後の言葉はさすがに口には出さなかった。明日香は何となくわかっていたと思うが。
ふらふらとした演技をする明日香を梓は違和感の無いように支えながら上の部屋へと上がっていった。
その時に梓が「私達の夜はこれからね♪」などと、言っていたとか、言っていなかったとか。
このあとめちゃくちゃ(ry
初3DS投稿です。何かとゴタゴタあって遅れてしまい申し訳ないです(^^;)




