梓と深淵の龍皇
梓が霧香を仲間に加え、一旦安全地帯のところまで戻ろうとしていた。だが、やはりそう簡単には行かないようで、通路の真ん中をスケルトン種の魔物が大量に闊歩していた。
「………何か凄い湧いてるし…この洞窟どれだけ心折設計なのよ…」
梓が半ば絶望していると、霧香が梓の服をくいっと引っ張る。
「どうしたの、霧香?」
「………あの中に…何かある…」
霧香が指差した先は、一つだけ若干色の違う岩だ。だが、その岩の前にはスケルトンが特に多くいる。
「う~ん……分かったわ、何とかしてみる。二人はここで待機していて」
出来るだけ声を殺しそう伝えると、相手に気づかれないように詠唱を始める。
『我が体をあらゆる物と同化させその姿を隠せ『インビジブル』』
一瞬で梓の姿が消える。『透過煙』を使わなかったのは、使うとごく少しだが霧が発生してしまう。こんな洞窟では霧が発生する材料等何処にもないからバレてしまう可能性があるため、多少多く魔力を消費するが魔法を変えたのだ。
『インビジブル』は周りの物と姿を同化させる魔法、カメレオンの様なものだ。
梓は霧香の指差した先の岩へ姿を消して入り込むと。
「……っ、これが原因か」
そこにあったのは、闇の魔力を大量に吐き出している間欠泉の様なものがあった。
思考回路が単純な魔物はより濃い魔力がある方向へ集まる習性がある。だからここにある間欠泉の近くに集まってきたのだろう。
「これを吹き飛ばすついでにあいつらも纏めて吹っ飛ばすか…」
梓は魔法を詠唱する前に二人に離れておくように、遠話で伝えておく。少しとはいえ魔力を消費するので自分達が近くにいるときは使わないようにしている。
(二人とも、岩の裏側で魔力の間欠泉を見つけた。今から周りごと吹き飛ばすから離れていて)
(気をつけて、マスター……)
(了解しました。御武運を)
レイラはちょっとオーバーな気がしたが心配はしてくれているようだった。梓は早速魔法を詠唱する。
『破壊を尽くす精霊よ、我が身に宿り、その力を貸し与えたまえ『ブレイブフィード』』
次の瞬間、間欠泉に向けて魔法を放つと、中で爆発し爆音と爆風と共に岩が粉々になって吹き飛ぶ。その衝撃と岩の破片に当たった魔物たちも纏めて宣言通りに吹き飛ばしていた。
「これで、あらかた片付いたかしら?」
梓が手を払いながら様子を見ていると、岩影に隠れていたレイラと霧香がゆっくりと顔を覗かせた。
「……マスター…ここまで何て聞いてない……!」
「あはは…ゴメンね?こういうのって、基本私はこういうの放置してたから…どれくらいの力で壊せばいいのか分からなかったのよ」
あまり表情には出ていないが霧香が怒っているようなので、理由は話しておいた。
「全く…僕たちまで飛ばされたらどうするつもりだったんですか…」
霧香程ではなくとも、レイラも少し起こっていたようだ。
そのあとは、梓が「ゴメンってばーっ!」叫んだりしていたとかしていないとか。
「やっと着いた…」
先程の場所からかれこれ2、3時間たち漸く安全地帯にまで戻ってきた。
因みに梓は疲れていたようでそのまま床に倒れて寝てしまっている。
「霧香は大丈夫ですか?」
「……問題ない……私だって、武器」
レイラは「そうでしたね」とクスッと笑い、梓の頭に自分の服をそっと差し込み枕がわりにしていた。
「……レイラは…マスターの事が…好きなの……?」
霧香の突然の質問に思わずおかしな声が出てしまう。
「にゃっ!?そ、そんなことにゃいですよ!?」
「………動揺しすぎ……」
霧香に指摘され、レイラは顔を真っ赤にしながら「そんなことないですっ」と否定していた。だが、その様子はどう見ても好きな人の話をされた少女のそれだ。
「そ、それより、霧香はどうなんですか!お嬢様の事をどう思ってるんですか!?」
と、無理やり霧香に話題を変えて質問するが、気にする様子もなく数秒考えその答えを口に出す。
「……私は、私にとっては……マスターは、憧れの人……」
「どう言うことですか?」
レイラは霧香の予想外の答えに少し驚き、その理由を訪ねてみる。
「……マスターは…例え何があっても…私たちを守ってくれる…きっと物としてじゃなく、だから…私はマスターに憧れる…」
理由を聞いてみると、思わずレイラはクスッと笑ってしまった。
「……何がおかしいの……?」
「いえ、可笑しいんじゃなくて、私も最初は自分を道具としてお嬢様が使うようにと言ったのに、初めに言った命令がなんだと思いますか?『自分を壊してもいいなんて言うな、それに貴女は人でしょう?』なんて言ってきたんですよ?私が武器なのにおかしな話ですよね」
「……レイラも、最初は…私と一緒だったんだ…」
「まあ、そうですね。私も武器として生まれた身です。人間の姿になれる事なんてただの付属品としか思っていませんでしたが、お嬢様は不思議な人です。―――私達を武器としてではなく、パートナーとして、人として見てくれている。だから、私はお嬢様を好きになったのかも知れませんね……」
「……好きになった理由なんて聞いてない……」
霧香に指摘され気付いたのか、本日二回目の慌てっぷりをレイラが発揮していると、後ろから「うにゅぅ…」という梓の声が聞こえてきた。
「何、話してんの…?」
「い、いえお嬢様の事なんて話していないませんよ!?」
自分からバラしているが、レイラは気付いていなく霧香がごく薄くだが、笑っていた。
「そうなの…?とりあえず、水をくれないかしら…」
梓がグテ~っとなった状態でレイラにお願いすると、レイラは即座に水のはいった小さな桶を用意する。
梓はレイラから桶を受け取り、顔を洗うと一気に覚醒する。
「もうオッケーよ。二人の準備がいいなら、今からここの七天龍を攻略しに行くわよ!」
寝起きとは思えない元気で二人に聞くと、二人とも問題ないとのことなので、早速動くことにした。勿論二人は人の姿のままだ、梓が武器の姿に変えることなんて恐らくほとんどないだろう。
元々梓は寂しがりやなのだ。だから、昔は明日香の家にこっそり忍び込んだりして明日香と一緒に寝て屋敷の人間を困らせることもかなりあった。今でもその面は残っているが、百合に目覚めてしまいそちらの方が強すぎるため逆に明日香に少し引かれてしまっている。
「さて……どうします?確か、呼び出すのに何か必要だったはずですけど…」
三人が洞窟の最奥部までたどり着いたが、そこからが問題だった。梓の『箱』の中には召喚用の術具など一つも入っていないのだ。
「入っているのは……」
「……カチューシャ……」
「カチューシャですね…」
入っていたのは漆黒の色のカチューシャだった。用途はいまいち解らないがとりあえず取り出して手に取ってみると。
「え…!?これ、まさか……ね?」
恐る恐るカチューシャを頭につけてみると。頭に召喚句が流れ込んでくる。
梓も流石にこれが召喚具だとは思わなかったようで「何でこれなのよ…」と唸っていた。
「ま、まあいいわ…とりあえず見つけた事だし改めて…二人とも覚悟はいいわね?」
「……大丈夫……」
「僕も問題ありませんよ」
「よし、じゃあ始めるわ」
梓は朗々と召喚句をこの空間に響かせ始める。
『我、喚ぶは天より使わされし七の龍の一柱、その昏き瞳はあらゆる魔を統べる闇の瞳、我が声に応えその姿を現せ』
召喚句を唱え終えた刹那、突然黒い霧が発生し、この空間を包み込んだ。
そして、梓の意識は闇の中へと落ちていった。
「──ねえ──ん、おね──ちゃん、お姉ちゃん!」
聞きなれた声に目を覚ますと、目の前には明日香がいた。しかもいる場所は洞窟ではなく、広い草原のど真ん中だ。いくら梓でもこの状況には驚きざるを得ない。
「あ、明日香!?どうしてここにいるの!?って言うかお互いの修行には不干渉だって言ってたわよね?」
「うん……でも、アリシアが梓が危ないことになったからって特別に繋げてくれたの」
明日香がしおらしげに説明すると、梓の百合の部分が反応するが今はそんな事を言っている場合ではない。
「そう…レイラと霧香は無事なの?」
「うん、今はお姉ちゃんを運んできた疲れで寝ちゃってるけどね」
「じゃあ…今は二人っきりってこと?」
「そう…だけど、え…お姉ちゃん…まさか」
明日香が若干引いているが、梓はにっこり笑いながら。
「うん、そのまさかだよ♪」
さながら武闘家のような動きで明日香の背後に回る。その一瞬の間に服も脱がしている部分に必要のないプロ意識を感じる。
「ふにゃっ!?ちょっ、おね、えちゃん、そこ、ダメって…」
「い~じゃん♪明日香のちっぱい揉むことくらい。減ることじゃないし♪」
「ふ、ぁっ、ダ、メぇ…そこ…」
梓は何か違和感を感じたようでピクッと眉を動かすと、もう一度明日香の胸を揉む
「な~に?明日香のちっぱいはお姉ちゃんに揉まれて感じちゃうのかな?」
「ひぁっ、だ、め…そこ…」
梓は数度明日香の胸を揉むと満足したのかその手を離して。
「はぁ…もういいわ、『偽者さん』」
そう言って明日香の体を氷の槍で貫いた。
突然のことに反応できず、明日香の胸には風穴が空き、血がどくどくと流れ出す。
「どう……して…?私は…にせもの……なんかじゃ……」
「これ以上明日香のしゃべり方でしゃべらないでくれる?明日香はどんなときだって『ちっぱい』って言ったら怒るのよ」
梓はそれだけ言うと、「バイバイ」と短く言って明日香の偽物を氷の槍で刺し殺した。すると、空間が歪みもといた場所へと戻ってくる。
黒い霧が晴れ始めると「お嬢様~」という声が聞こえてきて、梓はその方向へ向かう。勿論魔力を確認してからだ。
「レイラ、霧香!大丈夫だった?」
「は、はい…僕は問題ありません…」
「……私も……大丈夫……」
そうは言っているが二人とも顔を真っ赤にして俯いている。
「多分、この七天龍の能力は自分の理想を見せる能力だと思う……」
梓が二人に伝えると、二人が「ぼ、僕そんな事考えていたんですか…!?」だの「……そんなはず無いです……!」と呟いていて、梓はちょっと二人の理想がどんなものか気になったが、今はそんな事を悠長に考えていられる場ではない。
目の前には黒い物体、漆黒のような体躯の龍がそこにいた。
「こいつが…ここの七天龍…!」
梓が見えたのは、漆黒のような体躯の龍だ。ただその瞳だけは血のような紅い光を放っている。
『我が幻影を打ち破るとは…』
「当たり前よ!明日香の幻影を使った代償は高くつくわよ…!」
梓の眼は怒りに満ちていて今にも爆発寸前だった。その様子は、レイラ達でさえも一瞬震え上がる程恐ろしいものだ。
『それ以前に貴様が我を倒せるかどうかだがな!』
漆黒の龍はその全体像をあらわにする。鱗は光を吸い込むかのような完全な黒、闇のような色の鱗が体をおおっている。その強度も、今まで戦ってきた魔物の比ではないのだろう。
「あんたは絶対に斃す!『武装化レイラ!』」
レイラを白銀の杖の姿へと変えると、霧香に遠話で命令を伝える。
(霧香は気配を消してアイツの弱点を探して。その間は私がひたすら攻撃して気を引き付ける)
(そんなのマスターが危険になるからダメ!)
(今はそんな事を言っていられるような戦いじゃないの。それに、この役目はあなたの方が相応しいわ)
(……分かった。すぐに見つける!)
やはり霧香は口で喋る事が苦手なのだろう。遠話での会話は非常にスムーズに話せていた。
(レイラ、私たちも始めるわよ!)
梓は魔法の詠唱を始めると同時に霧香の気配が完全に消え去る。漆黒の龍は梓達に狙いを定めて、漆黒のブレスを吐き出す。
『ハリケーンシールド』
梓が風を目の前に盾のように発生させてブレスを弾く。そのブレスが触れた先はまるで時が何千年と経ったかのように風化していた。
「このブレス相当ヤバイっぽいわね…!」
その言葉とは裏腹に梓の口は笑っていた。まるで強敵と戦えること待ち望んでいたかのように。
(相手の弱点……いったいどこ…?)
霧香は相手に気づかれないように出来るだけ近づき、弱点となりそうな部分を探しているが、今のところ全くそのような場所が見当たらない。何れだけ強い魔物と言えども、自身の弱点となり得る部分は無意識に守ってしまうものだがこの魔物にはそれが無かった。
(魔力で自分の体を守っているの…?)
強力な魔物であれば自分の身体の周りに魔力を張り、自身の防御力を上げることがあるがおそらくこいつはその類だろう。
そうなら話は変わってくる、もしそれなら体を覆っている魔力が一部分だけ濃い場所があるはずなのだ。そこを見つける事が出来れば弱点を見つけたも同然となる。
(なら……もっと近くによらないと…!)
霧香の目では、遠距離から魔力の濃淡を見極めることができないため、必然的に近づくことになってしまう。
(危険は承知…でも、マスターのため!)
霧香が一瞬力をためると、一気に跳躍し龍の背後───首筋の部分にまで一気に跳んだ。
龍を見下ろして探せる時間はごく一瞬の時間のみだ。これまで以上に注意深く相手の魔力を見ていると、相手の首筋の真ん中の鱗、ほかの鱗とは違い若干色が薄い鱗に魔力が警戒されない程度のギリギリのラインだが魔力が集中していた。
(っ!見つけた…後はマスターに伝えるだけ!)
『地の精と火の精よ、我が声に応えその煉獄の炎で敵を焦がせ。『ラヴァルウェイブ』』
地面が揺れ動き、溶岩の波が龍を襲う。だがそれをまるで子供の遊びのように、軽く尻尾を払うだけで打ち消した。
「あれが効かないのか…なら…『我、呼び出すは天の光、その聖光により敵を討ち滅ぼせ『アルティナレイド』」
刹那、光の柱が龍の周りを取り囲むと結界のように中に閉じ込める。その上空からは、数千という数の光の剣が降りそそぐ。
さすがにこれは不味いと感じたのか、体を丸めて防御姿勢を取ろうとするが、梓はそれを読んで次の魔法を放った。
『天より振りそそぐは浄化の光、眼前の不浄を捕え、その身を聖なる光に満たせ『聖凛の鎖』』
龍の体を光の鎖が捕え動きを封じる。梓が「どうよ?」と、自慢げに見つめる龍の目にはやってくれたなという怒りがにじみ出ていた。
「これでも、食らいなさいっ!」
その声とともに、龍の身体に光の剣が殺到する。同時に、洞窟とは思えないほどの光に包まれた。
「ここまでやったんだし…削れていてほしいものね」
光が晴れ始めると、横から服をクイッと引っ張られる。この動作するのは決まって霧香だ。
「どうしたの?弱点を見つけてくれたのはありがたかったけどもう斃しちゃったわよ?」
自信満々にそういっている梓に、霧香は簡潔に伝える。
「……ダメ!、……あいつは、やられてない……!」
「ちょっ!?それどうゆうことよ霧香!」
(あいつは恐らく首の後ろのにある鱗にしか攻撃が通らないんです。マスターの今の攻撃なら一撃くらいなら当たっているかもしれませんが、斃す気ならそこを狙って攻撃しない限り斃せません!)
「何よ、その面倒くさい能力は…まあ、この際仕方ないわ。教えてくれてありがと霧香」
「……このくらい、朝飯前……♪」
霧香の頭をなでてやると、嬉しそうに顔をほころばせた。それと同時に、龍の怒りに満ちた咆哮も同時に聞こえてきた。
「さぁて…こっからは二回戦よ!覚悟決めていくわよ!」
(言われなくても!)
(マスター、絶対に勝ちましょうね!)
『貴様ら…これ以上は手加減などしないぞ……!我が名はオーフィス!七天龍の一角、深淵を司る龍だ!』
漆黒の龍──オーフィスが咆哮を上げると、周りの地面から大量のスケルトンが現れる。その数は恐らく数百は軽くいるだろう。
「まったく……どんだけ馬鹿げた量よ…人海戦術ってレベルじゃないわよ」
梓がため息を一つつくと、再び杖を構える。
「ま、全部まとめて倒しちゃえばいいんだけどね!『武装化霧香』『解除レイラ』!」
梓は武器を入れ替え、レイラを人の姿に、霧香を武器の姿に変える。霧香を武器にした時の姿は二振りの小太刀だ。
「御影流『双戟連刃』!」
超高速で小太刀を振りぬき、斬撃をオーフィスに向かって飛ばす。
だが、斬撃はスケルトン達が盾となり防がれてしまった。
(レイラ、私が霧香で一気にあいつの弱点までの道を開くから、レイラは最高威力の光魔法で弱点を叩きなさい!)
(了解しました。必ず、あいつを斃して見せます)
「なら、もう一発行くわよ、霧香!御影流『夜刀斬伐』」
梓の二回目の斬撃を放つ。だが、次の斬撃は目視できないほどの速さで繰り出され、スケルトンの大軍を蹂躙していき、全てのスケルトンを薙ぎ払う。
「今よ!レイラ、決めちゃいなさい!」
『極光の光よ、そのまばゆき光彩を刃となして我が敵を斬り裂け『シャイニングブレイザー』』
レイラの魔法は、オーフィスの弱点を正確に一瞬で打ち抜く。
『貴様ァ!我が弱点を知っていたのかぁ!?』
「ふふ、どうでしょうね?」
その思わせぶりな態度に、オーフィスは特大の咆哮をこの洞窟に響かせる。その咆哮は、全てのものを震わせ、跪かせるようなおぞましい咆哮だ。
色の違う鱗を打ち抜かれたオーフィスは叫びのた打ち回って苦しんでいる。しばらくすると洞窟を震わせるような巨大な咆哮が徐々に小さくなり始め、ついにその咆哮が途切れ、地面に倒れ伏す。
「これで…ようやく斃せたのね…」
大きく息を吐き出し、呼吸を整える。梓が慎重に、オーフィスに近づき反応を確かめる。確か、龍を倒した証は、倒した龍からしか手に入れることができない、とマルモが言っていたため、オーフィスに近づくと。
『む…我は、負けたと言うのか…』
「うぉわ!?ちょ、あんたの弱点に魔法ぶち込んだのに何で生きてるの!?」
『ここは、我の領域だ。我自身の生死を操ることなど造作もない事だ』
さらっととんでもない事を言ってのけるが、梓としてはそれよりもオーフィスを倒した証のほうが気になるところだった。
「と、とりあえず…オーフィス。あなたを倒した証をちょうだい」
『ふん、いいだろう。貴様、名はなんという?』
「…藤堂梓よ」
名前を短く告げると、梓の手の上に漆黒の宝玉が現れた。
『それは漆黒珠。我を倒せた証だ』
「ふふ♪ありがたく貰っておくわ」
梓はそれを箱にしまいこむと、天使のような笑顔でそう言って、洞窟の外へと魔法を使って去って行った。
『…まるで、嵐のような娘だったな…だが、昔我を従えていた翠も同じような感じではあったな』
オーフィスは誰もいない暗い洞窟の奥で一体の龍は嬉しそうに笑っていた。
ようやく投稿できました…orz
待っていてくれた方には申し訳ありませんm(__)m
これから少しずつペースを戻すつもりなのでよろしくお願いします
次の話は時間がかなり飛ぶので注意してくださいm(__)m




