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黒薔薇の騎士団  作者: すずしろ
E-2 強くなるために
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明日香の特訓ー2

少し事情により遅くなってしまいました…次からはペースを戻していこうと思いますm(__)m

 なんだかんだ言いつつも、平原で一夜を過ごした明日香は。朝日を浴びて、眠たい目を擦りながら開けると、アリシアがなにかを作っているようで良い香りが明日香のお腹の虫を鳴かせにかかる。

 可愛いくぅ~という音を聴いて、アリシアがこちらに気づき。

 「おはようございます。明日香さん」

 明日香は眠たい目を擦りながら開けると、アリシアがなにかを作っていた。

 「ん……おはよ、アリシア。何かいいにおいがするよ」

 「あの後、明日香さんなにも食べないで寝ちゃったでしょう?だから、ご飯を作っているんですけど…待っている間これでも食べていてください」

 そう言って明日香にパンを手渡された。流石に食欲には逆らえないので、明日香がパンを一口かじると。

小麦の風味や優しい甘味が口一杯に広がった。

 「~~~~♪なにこのパン!?スッゴい美味しいよ!」

 明日香がパンをどんどん食べ進んでいると、アリシアが嬉しそうに。

 「明日香さんの口にあってよかったです。そのパン私が作ったから、美味しいかどうかちょっと不安だったんですよね」

 明日香はペロリとパンを食べ終え、アリシアに。

 「アリシアって昔パン屋で働いていたの?このパン普通のパンなんかよりずっと美味しいよ!」

 明日香は気づいていなかったが、その言葉がアリシアにはとても重く、そしてかつての自分を思い出す言葉だった。

 「…っ、はい…」

 「ど、どうしたの?私何か言ったらいけないこと言っちゃった?」

 おろおろしている明日香に心配をかけないように、アリシアは柔らかく否定しておく。

 「そんなことないですよ。ただ昔の事を思い出してしまっただけですよ。ほら、丁度朝食も出来たことですしこの話は終わりにしましょう」

 明日香はアリシアの過去が少し気になったが、アリシアの作った良い香りの漂う朝食の魔力に負けた。アリシアの言う通りなにも食べず、今アリシアのパンを食べただけなので明日香は朝食の方を優先した。

 いつか、アリシアが自分からその事を話してくれることを信じて。


 「あ~美味しかった!」

 アリシアの作った料理をきれいに食べ終え、アリシアは使った器具や皿を水魔法を使って洗っている。

 「明日香さん、これからは料理の素材を獲ってくる事も作るのも自分でやってくださいね」

 「え!?私、何も料理器具持ってないし、どれが食べられるかなんて分かんないよ?」

 驚く部分が少し違うが、大丈夫ですよ。と、

 「明日香さん、『ブックス』と唱えてもらえますか?」

 言われた通り唱えると、目の前に文字通り分厚い本が目の前に現れた。

 「その本には、使用者の考えを読み取って見たい情報を見せてくれる魔法です」

 「ふ~ん、便利ね~。じゃあ、食べることのできる魔物の情報を教えて!」

 明日香の言葉に反応して、パラパラとひとりでにページが開かれる。そのページには確かに食用の魔物が記されていた。


 おお~と感心している明日香を可愛いな~と思いながら。

 「料理器具は私が貸してあげますから、明日香さんは魔物を狩ってくるだけでいいですよ」

 「分かった。ありがと」

 「食べることのできる魔物はF~Sの魔物が殆どですけど、明日香さんは何を狙うんですか?」

 アリシアは明日香はシェルバオーガを倒したとはいえ、まだここに来たばかりだそこまでランクの高い魔物を選ばないだろうと思っていると。

 「私は、この『スカイクルス』って言うやつに決めたわ!」

 「い、いきなりそんな危険なやつを狙うんですか…?」

 『スカイクルス』とは渓谷に生息しているSランクの小型の飛竜だ。竜種のなかでも比較的上位の竜で、小型と言えどブレスや魔法を使ってくるSランクのなかでも、強敵に分類される魔物だ。

 「だって、強い方が美味しいんでしょ?」

 明日香の言う通り、食材になる魔物はランクが高いほど味が良くなる。だからと言って、いきなりSランクの魔物を狙うのはどうかと思っていると。

 「大丈夫、ちゃんと―――壊してくるから」

 明るい声とは真逆の射抜くような冷たい声に、一瞬だがアリシアも驚いた。前の戦いを見て、明日香が魔物を殺すときに、ためらいが全くと言って良いほどなかったのを思いだしアリシアも明日香を信じて。

 「……分かりました。必ず戻ってきてくださいね」

 しぶしぶ、頷くと明日香は笑顔で任せてよ!と言って渓谷の方へ走っていった。


 「おお~空を飛んでる魔物が一杯いる!」

 当たり前だ、と突っ込みたい。

 明日香はどんどん奥の方へ進んでいくと、空色の翼をもった小さな竜を見つけた。小さいと言っても1メートルはあり、あくまでも竜種のなかでも小型というだけだ。

 「あれが、『スカイクルス』ね。先ずは一発いきましょうっか!」

 明日香が双龍を呼び出し抜き放つ。そのままスカイクルスに突っ込み袈裟懸けに切り裂こうとすると、硬質な音とともに弾かれる。

 その一撃でスカイクルスが明日香の存在に気づき、咆哮と同時に風の刃を明日香に向かって飛ばした。

 「それがあなたの魔法なの…?そんなのが私に届くわけないじゃない。御影流『絶炎』」

 明日香が刀身に炎を宿し、それを高速で振り抜き炎の斬戟を飛ばす。スカイクルスの飛ばした風の刃は、明日香の絶炎によって容易く無効化しその風を利用して更に炎の斬戟を強くして、スカイクルスへと返す。

 スカイクルスも危険だと感じたのか、咄嗟に翼を羽ばたかせて、斬戟を躱そうとする。

 「逃げられると思ってるの?」

 明日香が一瞬で、スカイクルスとの距離をつめる。明日香は自分の放った斬戟よりも速く、スカイクルスの後ろへと回り込み踵落としをお見舞いする。

 勿論落ちる先にあるのは、遅れてやってきた斬戟だ。スカイクルスは斬戟が直撃し、翼が切り落とされる。翼と血が宙を舞い体とともに落ちる。

 地面に叩きつけられ、翼をもがれたスカイクルスを見下しながら明日香は笑顔で言い放つ。

 「知ってた?――――魔王からは逃げられないんだよ♪」

 恐らく明日香の言う、『魔王』とは『魔物の王』ではなく、『魔物を狩る者の王』ということだろう。


 「それじゃ、バイバイ」


 スカイクルスの首をはねる。

 竜とはいえ生き物であることには変わりはなく、血が噴水のように吹き出す。地面に倒していたため、首は横を向いていて血が雨のように降ってくることはなかったが、岩場の周りが赤く染まっていた。

 「えっと…確か『オープン』だったかな?」

 明日香がそう唱えると、不自然な空間の歪みができた。

 今、明日香の使った魔法はゲームでいう所のアイテムボックスの魔法だ。この魔法は本当は空属性を使った高度な魔法なのだが、マルモとそのマスターが無属性でも機能できるようにと改良を加えたらしい。

 「じゃあ、このスカイクルスを入れてっと」

 明日香は無造作にスカイクルスとその翼を歪んだ空間に放り込む。

 「これだけじゃ物足りないし…なんかないかな…?」

 ブックスと唱えて、今いるところから近いところにある野菜を探していると。

 「お!これなんか良いんじゃないかしら?『アリアハーブ』と『エアクラスタ』。この辺に生えてるっぽいし」


 明日香は探しにいこうとするが、その前に自分の服を改めてみると。

 「う~ん…この服結構ボロボロなんだよね…」

 来るときに着ていた白いワンピースは所々破れ、かなり際どい格好になってしまっている。

 仕方ないか。と服を脱いで開けている空間に放り込み、新しい服を取り出す。

 明日香の身体は15歳にしては小さめで、子供と言っても十分通用するレベルである。起伏のない身体とその性格から、年齢より幼く見えるので、大人な服を着ようとすると背伸びをしている子供のように見えてしまうことがよくあるので、出来るだけ周りにそう言われない程度に大人な服を着るようにしている。

 梓にしてみればどっちであっても明日香が可愛いから良いらしい。

 「別にここは誰もいないからこれでいっか」

 そう言って選んだのは薄い青色のキャミソールとフレアスカートだ。

 近くに流れている川で軽く水を浴びて、服を着る。髪型もツインテールをほどいて、ポニーテールに変える。

 「スッキリしたしこれでよし…っと。じゃあ、もう一丁行きますか!」

 気合いを入れて、明日香はもう一度渓谷の奥の方へ走っていった。

 

 「ほ、本当に狩ってくるなんて…それに『アリアハーブ』と『エアクラスタ』も採ってきていますし、いったいどこまで行ったんですか!?」

 日が暮れる直前、アリシアとの集合場所にしておいた平野に行って、今回採ってきたスカイクルスと採ってきた野菜を出すと、アリシアがこの反応をしていた。

 前もいった通りスカイクルスはSランクの食材モンスターだ。そして明日香が採ってきたアリアハーブとエアクラスタも同じくSランクの食材だ。

 高ランクになればなるほど、味も良くなるがそれだけ見つけることが難しく、強くなる。それを明日香は、日が暮れるまでのたった数時間で見つけてきた。

 「これで良いかな?」

 アリシアは久しぶりに見る、Sランクの食材に心を奪われていた。

 「お~い、アリシア~?」

 「……はっ、あ、明日香さん何ですか?」

 「だから~これで良い?」

 も、問題ないです。と思わず頭を下げるアリシアを見て、少し苦笑いすると。

 「じゃあ早速、作ろっか。アリシアも一緒に♪」

 その姿を見て、アリシアは今はいない翠の姿を思い出し。

 「ふふ…喜んで、明日香さん」

 この夜の夕食は二人にとって特別なものになったのは言うまでもなかった。

 


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