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白骨少女が逝くVRMMO記  作者:
王都
60/96

王の乱心‐3

ご高覧いただきありがとうございます。


◇◆◇◆◇


名前:‐

種族:スルトアバター


Lv:52

HP:17709/19999

MP:4999/4999


スキル:「獄炎魔法Ⅱ」「岩石魔法Ⅶ」「頑健」「魔装」「轣ス遖阪?蟾ィ莠コ」


『頑健』

効果:被ダメージを2/3に軽減。


『轣ス遖阪?蟾ィ莠コ』

効果:???


◇◆◇◆◇


 ナニコレ?

 いけない、思考を放棄している場合じゃない。王龍さんのところを出て以来こんな激ヤバな敵さんに出会ったことが無かったからビックリしてしまった。


「それにしてもレベル52って・・・」


 あまり見ない高レベルにボソッと呟いてしまった。ライラさんはもっとすごかったけど結局全力で戦うことは無かったしね。


「52・・・そりゃまたご立派なもんで」


 横にいるブレイさんはそう言ってスルトアバターとかいう魔物さんに向き直る。あ、NPCにも一応レベルの概念ってあるんだ。ブレイさんの言い方的に相当高いことは確かなんだろうね。

 しばらくその場で佇んで動かない魔物さんに、私とブレイさんはどうしていいか困ってしまう。と思っていたら魔物さんが首をありえない角度にグリン!と回した。


「ニーズ、へ、グ・・・」


「・・・なんだと?」


 魔物さんが呟いた訳の分からない言葉にブレイさんが眉を顰める。


「どうかしましたか?」


「・・・いや、なんでもない。所詮は魔物の戯言だ」


「ニ、ズへ、グ従エ、ルルル、オマ、ナニモ、ノ、ノノノノ・・・ゴアアアアアア!!!!!!」


 魔物さんが訳の分からないことを言うと、両手を広げて燃え盛る体で勢いよく突進してきた。その勢いはとんでもなく、数メートル先にいた私とブレイさんのいた場所に一瞬で到達していた。紙一重で躱したけど、熱の余波で少しダメージを受けてしまった。ほんの少しのスリップダメージでも今の私からしたら大ダメージだ。


「アンタ!この辺の地面は熱すぎているだけでダメージを受けちまう!回復を絶やすんじゃないぞ!」


 ブレイさんが忠告してくれる。でも私はさっきから地形ダメージを受けてないんだよね。何でだろうと思ったけど、そういえば便利な靴を履いてたことを思い出した。地形ダメージ軽減って言うなかなかに優秀な効果だね。特に問題なさそうにしている私を見てブレイさんは不思議そうにしていた。


「アンタは大丈夫なのか」


「まあ、便利なもの持ってますからね」


「っと!ゆっくり話してもいられないな!」


 魔物さんから距離を取っていたけど、魔物さんは炎の塊を飛ばしてきてこっちに攻撃してきている。その威力は凄まじい。さっきまで私がいた場所にクレーターが出来ていた。あんなの喰らったら塵も残らないんじゃない?

 試しに1個飛んできた炎弾を細剣で受け流してみる。MPは200ほど減っていた。大した消費ではないけど、さすがに全部を受け流してる余裕はない。最悪『吸魔』でどうとでもなりそうなんだけど、あんまり『吸魔』使いたくないんだよね。理由はまあ・・・いや、確定してるわけじゃないんだけどこれ以上最大HP値が減るのは御免被りたい。これ以上減ったところで団栗の背比べみたいな感じではあるけど、一桁になんてなったらどうするよ・・・この魔物さんのスリップダメージで簡単に死ねるんだよ。


「だあ!炎が鬱陶しいな!頼むぜ相棒!」


 ブレイさんがそう言うと、ブレイさんが持つ大剣が淡い光を帯びる。これは魔法剣ってやつなのかな。なにそれカッコいい、私もやってみたい。私がやると細剣が黒くなるのかな?


「うおおおおああ!!!」


 ブレイさんが魔物さんに向かって大剣を振りかぶると、青い衝撃波が波紋みたいに広がりながら魔物さんに襲い掛かる。え、めっちゃカッコいいじゃん!私もやりたーい!

 ブレイさんの大剣から放たれた衝撃波が魔物さんの胴体に直撃すると、胴体部分の炎が少し弱まった。魔法を当てるとその部分にダメージが通るようになるシステムかな?と思って私も『闇波』をブレイさんと同じく胴体に撃ってみたけど、魔物さんの纏う炎の勢いは変わらなかった。違うかー。


「アンタ、少し試したいことがある。その間奴を引き付けてくれねえか」


「わかりました。死なない程度に頑張ってみます」


「頼んだぜ」


 ブレイさんが何か試したいことがあるらしいから協力することに。さっき魔物さんに効果的な攻撃してたっぽいし、悪いようにはならないでしょ。

 私はもしもの時のために外套をポンポンと叩いて胸元を覗く。


「ヴィオ、私が呼んだらあのおじさんのところまで飛ばしてくれる?」


「キュウ!」


 よし、これで保険はかけれた。

 というわけで今度は自ら魔物さんに近づいていく。何が有効打なのかよくわかんないし、とりあえず魔法を数発撃ってHPの減りを見てみようかと。まあ見た目的に水がよく効きそうだけど、生憎そんな魔法は持ち合わせていない。

 接近してくる私に向かって、魔物さんは体から炎弾を生み出して攻撃してきた。なるほど、そうすれば手が塞がらないってわけだ!頭いいねー!

 ・・・なんて余裕かましているように振舞ってはいるけど、実際は結構ヤバめ。最初は炎弾も2∼3発で直線的に飛んでくるだけだったから走っていれば割と余裕で躱せたし合間合間に私も攻撃できるくらいだったけど、今は一気に6発くらいの炎弾を飛ばしてくる上にどれも緩くだけど私を追尾してくる。さっきから全部躱せないからちょくちょく受け流しを使ってるんだけど、一発でMPが500近く減ってる。いつの間にAAOは弾幕ゲームになってしまったんだ!ブレイさーん!早くー!


◇◆◇◆◇


名前:‐

種族:スルトアバター


Lv:52

HP:14760/19999

MP:4912/4999


状態:呪い[瘴気]


スキル:「獄炎魔法Ⅱ」「岩石魔法Ⅶ」「頑健」「魔装」「轣ス遖阪?蟾ィ莠コ」


◇◆◇◆◇


 魔物さんはこんな感じでHPをちょっと削れてるかな程度だ。私の必死の『呪法』の乗った魔法もあんまり効いてない。というか状態異常に耐性があるんだろうね。前はあのよわっちい狼さんには4つくらい状態異常が入ってたけど、この魔物さんには1つしか効いてない。


「待たせた!ちょっとどいてろ!」


 後ろからブライさんの声が響いてスッと横にずれると、ブレイさんが魔物さんに向かって剣を構えていた。何そのポーズ、牙〇みたい。剣の大きさが違いすぎるけど。


「『激渦(ボルテックス)』!!!」


 ブライさんが何か技の名前っぽいのを叫ぶと、構えた大剣から水が渦を巻いて発生した。ブライさんはそのまま大剣を魔物さんの方に向かって突き出すと、大剣から横向きの渦巻きが発生して魔物さんを飲み込んでそのまま後ろの木に激突した。私の鼻を掠めていったけど特にダメージはなかった。よかった。


「よっしゃあ!やったか!」


 あー!ダメですブレイさん!それは思っても口にしては駄目です!


「オ、オオオオ・・・」


 ブレイさんの技を喰らった魔物さんだけど、特に問題なさそうに動き出した。でも体に纏っていた炎はすっかり消えて岩石の体を晒していた。なんかゴーレムみたい。


「チィッ!あれでもダメか!」


 『看破』で確認すると魔物さんのHPは残り3000程度だった。すっごい、あの技でHP10000削ったんだ。あれ?これってそういうイベントだったりする?


「メイ、レイイイイイカクカ、ニニニニニ・・・」


「今度はなんだってんだ。不気味な野郎だ」


「ハイ、ハイジョ、ニズヘ、グ、アルジ、ハイジョスススス・・・」


 魔物さんが壊れた機械のように何かの言葉を発すると、魔物さんの体から真っ青な炎が噴き出した。第二形態とかいうやつですかー。これ負けイベントだったりしない?勝てる気しないけど?


「ジャマモノハ、ハイジョ、スル。セカイノシュウマツヲ、モウイチド」

というわけでイベント回3話目でした。

ブレイさんが10000ちょっとスルトアバターのHPを削ったのを見て、理菜は時間経過で進むイベントかと思ったようですが違ったようです。何ならスルトアバターは更に強くなりました。セカイノシュウマツって何ですかね?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しく読ませて頂いています。 [気になる点] ずっと気になってるのですが… ディラさんログアウトしてる? なんだかずっとログインし続けてるように見えてしまって… 42話「ダンジョンの…
[一言] 世界の週末………読むのが遅くて週末は明けちゃいましたね〜
[一言] 世界の週末だったら面白いんだけどね スルトアバターが何処かへバッグ片手にキャッキャウフフしながらお散歩してる姿を思い浮かべてしまった
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