表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出禁ドラゴン、姿隠して地上ライフを満喫中〜最強召喚獣はお呼びでないようです〜  作者: 大地の怒り


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/27

魔族4

まとめて更新しています、ご注意を

四話目です

「ほ、本当に倒しちゃったすよ、魔族を……」


「し、信じられない」


 戦いが終わり、二人がゆっくりと歩いてくる。


「あ、ありがとうムート……まさか助けがくるなんて思わなかった。アンタが居なかったら、もっと酷い目に合っていたわ、あ、あやうくお嫁に行けない身体になるところだったわ」


「気にするな……我なりに理由もあったしな」


 ギュッと我の手を握り、もじもじと感謝の言葉を言うリリーラ。

 普段からこれくらい素直なら可愛気があるんだがな。


「や、やっぱり凄いのね、ムートは、あのノスを簡単にやっつけちゃうんだから」


「そうか」


 無傷ではあるが、簡単というわけもなかったがな。

 まぁ褒められて悪い気はしない。


「戦い方はやっぱり、とんでもなく地味だけど、なんかこう水面化の見えないとこを、いやらしく攻めているとうか」


「汝だけ、ここに置いていってやろうか?」


「ご、ごめんなさいぃ……」


 助けてあげたというのに、なんだその言い草は。

 やはり素直過ぎるのも問題だな。

 我、別に特別地味が好きというわけじゃないのだがな。


 今の我にはこういう戦い方しかできないだけで。


「でも確かになんかこう……意外だったっす、史実から抱く王様のイメージってもっとこう、パワー押しのイメージが強かったすから」


 なんというか、やはり我はそんな印象なんだな。


「ハイレベルな戦場となると、パワー一本だけでは戦えんよ」


「な、なるほどっす」


「ねぇメイ先輩、さっきから思ってたんですけど、ムートのこと様付けしてるのは、一体」


「あ……」


「なに、仇名とかですか?」


「まぁ……色々あるのだ」


 正直に我とメイの関係を言っても理解はされないだろう。


 説明するのが面倒なので誤魔化すように話を進める。


「さて、あとはマルティナが来るのを待つだけだな」


「とにかく、無事に終わってよかったっす」


「そうね、もう完璧なエンディングよね!」


 そんなことを言っていると何か起きそうで怖いんだが。


【…………ギ】


「……うん?」「え?」「……お?」


 どこからか聞こえてきた異音。


「あ、あの、なんか今……後ろの像から声が聞こえなかったっすか?」


「何を言っているのだ、メイ?」


「わ……私の勘違いっすかね」


「違う、疑問形ではなく、確実に聞こえたぞ」


 猛烈に嫌な予感がするな。

 三人一緒に後ろを振り向くと……。


『ギ、ギュ、ギュオオオオオ!』



「「ひいいいいいいっ!」」


「やはりか」


 両隣から甲高い悲鳴があがる。

 さっきまで沈黙を保っていた戦魔像が動き出していた。 


 封印されていたはずだが……一体。


「な、なんでよっ! こいつは封印されていたはずじゃないのっ!」


「おそらくだが、そこの魔族が死ぬ間際に自分の身体を封印解除の生贄にすることで封印を解いたんだろうな」


 元は王女たちがその役目を果たすはずだったのを切り替えた。

 どうせ死ぬので己の命と引き換えに全員纏めてと……。


 はた迷惑な話である。


「ひいいいいいいいっ!」


「ぎゃあああああっ!」


 メイとリリーラの取り乱した声。

 まぁ……どう見ても簡単に対処できそうな相手ではない。


 無理もないが……。


「落ち着け、二人とも……」


 後ろから軽くチョップ、頭を押さえて振り向く二人。


「ムート?」


「お、王様……その余裕の顔、もしかして」


「ああ、心配するな。任せておけ」


 メイの期待の込められた目を見て、我は答える。


「フェニに蘇生石を三人分作成しておくように伝えておく、迅速にな」


「これ、駄目なやつだあああっ!」


 戦魔像が一気に動き出す。

 その目が我らを視界におさめた。


『ギュオオオオオオッ!』


「「「っ!」」」


 突進、そして轟音をたてて振り下ろされる剛腕。

 衝撃で地面がひび割れ、陥没していく。

 時々眼が光り、全方位に高速の光線まで放ってくる。


 もうメチャクチャだ。

 ここにあるすべてを破壊するような挙動。


「……参ったな」


 こういう純粋に戦闘力の高いタイプは今の我には一番やり辛い。

 高い防御力と攻撃力、動きがやや単調なこと以外に欠点がない。

 何か突破口があればいいのだが……正直、希望は薄い。


「こ、これでも喰らえっす!」


 メイの展開したフレイムシャワー。


 戦魔像に連続ヒットするが完全に無傷、ただ煙があがっただけだ。

 正直、打開できるビジョンが浮かばない。


『ギュアアアアアアッ!』


 滅茶苦茶に破壊活動を始めるゴーレム。



「そ、そうだ王様っ!」


 ここでメイが大事なことを思い出したように叫ぶ。


「戦魔像の胸部には司令を司る核があったはず、そこを破壊すれば止まるはずっす! 王様ならきっと探れ……」


「ああ、確かにソレっぽいのがあるな」


 どこか構造的に脆い場所があればと思い、既に魔力感知で全身をくまなく調べている。


 核の存在についてはメイに言われる前から気づいていた。

 そもそも、ノスにしたって戦魔像を制御できる自信がなければ、今回のような企てはしなかったろうからな。

 そういった制御装置は存在しているはずだ。


 しかし……。


「無理だ」


「ど、どうしてっすか!」


「戦魔像の外皮はエナタイトを加工したものだ」


「エナタイト?」


「そうだ、頑強な鉱石でな。先ほどノスが使おうとしていたヘルファイアクラスの魔法でないと完全無効化されるぞ」


 そもそもエナタイトうんぬん以前に、あの分厚いボディを貫通できる弾を生成するのは今の我では不可能だろう。


「弱点を補って作るのは基本とはいえ、なかなかよくできているぞ、この人形は」


「もうっ! ……ほ、褒めている場合っすか!」


「メイの魔法ではやはり無理か?」


「全魔力を使ってもヘルファイアレベルの火力は出せないっすよ」


「これは……本当に詰んだかもしれんな」


 仮にフェニを召喚しても、人間形態で制約のある彼女では戦魔像は倒せない。


 リリーラなんてノスに奪われたのか、武器も持ってないしな。

 この敵に対する打開策が存在しない。

 逃げる以外にできることがない。

 そしてこの中で最も体力のないのは我だ。

 最早魔力も完全に切れている、必然最初にやられるのは……。


「……仕方ないか」


 頭上に差す巨大な影。

 戦魔像の無骨な足にペシャンコに叩き潰される。


 ……その直前。


「こんのお馬鹿ああああっ!」


「リ、リリーラ?」


 横から走ってきたリリーラが、我の身体を抱きかかえて飛ぶ。

 ざざぁ、と土煙を上げながらゴロゴロと転がっていく二人。


「な、何勝手に一人で諦めてんのよっ!」


 我の身体に馬乗りになりながら叫ぶリリーラ。


「だが、この現状では本当にどうしようもないぞ。それなら諦めて次に」


「は? 馬鹿なの……何現実逃避なんてしてんのっ! 次なんてあるわけないでしょうがっ!」


 いやだが、蘇生石があれば……。

 そんな我の言葉を封じ込めるような剣幕でリリーラが叫ぶ。


「そもそも次があるからなんだって言うのよ!」


「なに?」


「この状況で死ぬ気で頑張れない奴が、何度やったって結果は同じよ! その時その時を全力で生きるから、未来でなく今を何よりも大事にしてるからっ! 奇跡だって起こせるんでしょうがっ!」


 リリーラの言葉は我の事情を知らないうえでの発言。

 だが……不思議と感じるものがあった。


「くく……なるほど」


 ここで負けても次がある、いつか勝てる。

 時が経てば、そのうちできるようになる。

 機会は何度でも存在する。

 それは限られた時間を必死に生きる人間の考え方ではない。


「ははっ、ははははははっ!」


 それは熱を失い、時の価値を忘れた愚者の考え方だ。

 永劫に近い時を生きたことにより、我も毒されているようだ。


 彼女の生命力に溢れた言葉。

 それは気持ちよく真っすぐに、我の心に突き刺さった。


「そうだな。こんな時ぐらい、精一杯足掻いてみようか」


「その意気よっ!」


 みっともなくとも、最後までな。

 にかりと、まぶしい笑みを浮かべるリリーラ。


 我が戦う決意を抱くと。


【ネ、ネトォォ……】


 丁度、必死に走り回っているネトリーヌの姿が目に入った。


 そういえば、いたな……あんなやつが。


 攻撃から逃げるネトリーヌが、助けを求めるようにこちらに走ってくる。

 その背後、戦魔像から放たれる光線。

 軌道は我とネトリーヌとリリーラを一直線に捉えている。


「あ、危ないっ! ……『フレイムウォール!』」


 ぶわりと隆起した炎の壁が光線の軌道を逸らす。

 大急ぎで走ってくるメイ。


「だ、大丈夫っすかっ! 二人ともっ!」


【ネト~、ネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネト】


「うわっ! なんすか、なんすか」


 ぶるぶると触手を振るわせ、メイの両手を握りしめる。

 よくわからんが、助けてくれたメイに激しく感謝しているようだ。


【ネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネトネト】


「き、きき、気持ち悪いっす! なんなんすかコイツッ! ぬちょぬちょっとおっ、ひいいっ!」


「は、離れなさい! メイ先輩、気をつけて! そいつ女の子の敵だからっ! そいつの能力はっ……」



(な、に……)


 説明しながら、メイからネトリーヌを引き離そうとするリリーラ。


 同時、我の脳裏に走る電撃。


「リリーラ……ネトリーヌのことをもっと詳しく教えろ」


「はい……?」


 リリーラにネトリーヌの能力を聞く。


 最初はふざけているのかと、眉をひそめたリリーラだったが、我が本気であることが伝わると、丁寧に解説してくれた。


「はは……ははは」


【ネ……ト?】


 素晴らしい、素晴らしいぞ、ネトリーヌ。

 なんと素晴らしい能力だ。


「ネトリーヌよ、死にたくなければ協力しろ……さすれば悪いようにはせん、未来眼があるのなら我の望むことも理解しやすいはずだ」


【ワ、カッ……タ】


 この生物、見た目から感じる印象と異なり、決して知能指数が低いわけではなさそうだ。


 存在が女性陣からすれば下劣で不快。

 ゆえに賢くないように思えるが意思疎通もできる。

 カタコトではあるが、ちょこちょこ人間の言葉も喋っている。


「アンタ、何を……するつもりなの?」


「決まっているだろう、奴を破壊する」


 見えたぞ……勝機がな。

 そして教えてやろう。


 我が決して地味ではないということをな。




「さて……始めるか」


 ネトリーヌの触手がギュルギュルと我の右腕に絡みついてく。


 とにかく必要なのは純粋な火力である。

 戦魔像のガチガチに固められた装甲の上からでもダメージを通すだけの攻撃力。

 どう頑張っても我にはそれを実行するだけの魔力もない、力もない。


「ネトリーヌ!」


【ネトッ!】


 我の合図と同時。

 ネトリーヌの触手が黄金のように輝きだす。


 ならば……回答は一つ。


 自分以外の魔力を外から持ってくればいい。



【【【感度百倍】】】


 ネトリーヌの能力により我の感度が格段に引き上げられる。

 同時、大量に入ってくる膨大な情報の嵐。

 常人では精神が焼き切れるほどの情報量も我なら十分対応できる。


 超広範囲高精度のセンサーの獲得。


 世界が……一気に広がった。


 霧が晴れたように、己の認識できる世界が格段に広がる。


 魔力密度、空気の流れ、ダンジョン内の魔物の位置。

 遥か先まで感じ取れるようになる。


 生命体から漏れている魔力。

 大地や鉱石に蓄積されたエネルギー。

 激しい戦闘による残滓の魔力。

 この地下ダンジョンに蓄積されているエネルギー。


 その力のすべてをしっかりと認識できている。



 今の我ならば……使える。



【【【暴食(グラトニー)】】】



 広大なダンジョン、その一帯の魔力を一気に我の周囲にかき集める。


 爆発的に膨れ上がった魔力が我の元に収束。

 荒れ狂う竜巻のような魔力の渦を身にまとい、戦魔像と相対する。


「ま、魔力がはっきりと見え……な、なんて馬鹿げた密度……うく」


「ム、ムート……あ、ああ、あんたは一体?」


「すまんな、二人とも……すぐに終わらせる」


 慣れていない人間にこの量の魔力は辛いかもしれん。

 魔法使いで感知能力の高いメイは特に。

 リリーラの方は魔法剣士タイプなので、メイほど影響は感じないが、それでも少し呼吸が苦しそうだ。


『ギュオオオオオオオオッ!』


 こうしている間にも暴走を続ける戦魔像へと向き合う。

 轟音をたて、地面を破砕しながらこちらに突進してくる。


 さて、どう戦魔像を始末するか。


 今の我ならこいつを消す方法など何百通りも思いつくが……。


「せっかくだ……メイはまだ本当の彼女を見たことがなかったな?」


「え?」


「その目に焼き付けるといい」


 頭上に向かって手をかざす。


 出現したのは、直径十メートル以上にもなる極大の魔法陣。


「あ、あぁ……まさかっ……」


「来いっ! フェニックス!」


 顕現する……死と再生を司る存在が。


 燃え盛る紅蓮の炎が形取るは巨大な炎鳥。

 完全形態のフェニックスが我の元へゆっくりと舞い降りる。


「ああ、また、こうして幻王様と共に戦える日が来るとは……」


「久しぶりだな……お前のその姿を見るのは」


 深く感動した様子で、我の前で傅くフェニ。


「げ、げんおう? ……げんおうって、え……えぇ?」


 ごくりと息を呑み、我とフェニを交互に忙しなく見るリリーラ。

 事態が事態なので彼女のことは一先ずスルーして話を進める。


「幻王様……私はアレを始末すればよろしいのですね?」


「ああ……頼んだぞ、フェニ」


「はっ! お任せくださいっ!」


 やる気満々のフェニが、バサリと音をたて空中へ。

 フロアの中心、我と戦魔像の間で静止する。


【地を這うガラクタめが……一瞬で終わらせてやるわ】


 両翼を畳み、胸を抑えるようにソっと重ねる。

 卵を守る親鳥のようなフォーム。


 ぶわり……と、カゲロウのようにフェニの周囲の空間が揺らぎ始める。


 猛烈な勢いでフェニの体温が上昇、フェニ身体が赤から白へ変化し輝きだす。

 そしてフェニを中心に展開していく白炎。


 白炎が螺旋を描き散開、我ら三人の方まで飛んでくる。


「え、あ……ちょっ! フェニッ!」


「きゃあああっ!」


 炎に身構えるメイとリリーラだったが。

 フェニが味方を巻き込む失敗をするはずもない。


「……え? ……あ、熱くないっす」


「そ、それどころか……さっきまでの苦しさも完全に消えてる」


 フェニックスの再生の炎。

 三人の戦いで負った傷もみるみるうちに癒えていく。


 そして……。


【矮小な身でありながら、至高の存在に、愚かにも立てついたことを懺悔し……散りなさい】


 上空で戦魔像を見下ろしながら、フェニが大きく翼を広げると同時。

 散らばっていた白炎が戦魔像目掛けて収束していく。


 無限に思えるほどの熱量が標的の一点へ。


【審判の火】と呼ばれる、味方に慈悲を敵に容赦なく死を与えるフェニックスの白炎。

 天を貫くような炎柱が、戦魔像の巨体を焼き尽くし、塵一つ残らず消滅させる。


「「……」」


 レベルの違う、完全に別次元の存在。

 圧倒的高みが創り出した光景にゴクリと息を呑み。


 沈黙したまま言葉を失うメイとリリーラ。


『ギュオ……オオ……オ』


 一切抵抗することを許されず、像はその活動を終えた。





「よくやった……フェニ」


「はっ!」


 完璧に仕事を終えたフェニを労う。


「フ、フェニ……なんすね、本当に」


「そうですよメイ、どうでしたか? 私の本当の姿は」


「そ、その……なんというか、凄かったし、き、綺麗だったっす」


「ふふ……そうですか」


 嬉しそうに口元をあげてほほ笑むフェニ。

 不死鳥の姿に圧倒されるメイ。

 そして。


「しし、し、四獣フェニックス、間違いなく本物の……てことはムートは本当に……いやでも、まさかそんなわけ、でも、メイ先輩も王様と呼んでいたし、でも、でもでも……でもぉ」


 でもでも、と何度も繰り返すリリーラ。

 現実をまだ理解できていない様子。


「や、やばい、どうしよう、私ムートのことをボロクソ言っていた気がするわ」


「リリーラ王女……初めまして」


「ふぇ? はは、はい……」


 混乱の最中に突然フェニに話しかけられて、我に返る王女。


「え、ええと、ムート、いえムート様には色々とその、お世話になり……と、とにかく、よ、よろしくお願いいたします」


「ふふ、そうですか、まぁこちらはよろしくするつもりは微塵もありませんが……」


「え? あ、あの……」


「よくも、幻王様を地味だの馬鹿だのなんだのと好き放題言ってくれましたね、メイを通して聞いていましたよ。後でお話がありますので」


「ひっ!」


 リリーラを睨みつけるフェニ。

 メイの後ろに隠れるように逃げ出すリリーラ。


「と、ところで王様? 気になったことがあるんすけど」


「なんだ?」


 リリーラを可哀想に思ってなのか。

 話を逸らすように疑問を投げかけるメイ。


「どうして、今の王様がフェニを召喚できるんすか? 召喚紋も刻んでないっすよね」


「元々、正式な召喚契約をせずとも我とフェニはパスが繋がっている」


 このホムンクルスの体は召喚紋により幻界の我(本体)とパスが繋がっている。

 そして幻界の我(本体)と幻獣たちの間にはパスが繋がる。

 細かく枝が分かれるような形ではあるがな。


「え? ということは、つまり……すべての幻獣と召喚契約しているのと同じ?」


「ああ。我はこの身体でも、すべての幻獣たちを召喚できる、やろうと思えば何体でも同時にな」


「と……とんでもスペックの召喚士っすね、そもそも幻獣たちの王様に対して、召喚士と呼ぶべきかは微妙なところっすが」


「無論、相応の魔力は必要だがな」


 体内魔力では召喚など無理だが、暴食を使えば召喚できる。

 さすがに我の本体を召喚するのは今のままでは無理そうだが。


 ダンジョン全部のエネルギーを喰らったとしても、とても足りない。


「ちなみに、あの……素朴な疑問なんすけど、もし私がフェニを召喚している時に、王様がフェニを召喚したらどうなるんすかね?」


「さぁ……?」


 ブッキングした場合か。

 たぶん、幻獣が行きたい方に行くんじゃないか?


 とにかく、今度こそ決着である。





 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ