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【書籍4巻刊行中】万魔の主の魔物図鑑 【6章完】  作者: Mr.ティン
章間

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章間 第2話 ~夜光のマイフィールド紹介 南東部~南部~

今回も夜光のマイフィールドの紹介です。

南東部から南部にかけて…

~マイフィールド南東部~


 僕達を先導して、関屋さんが坑道を進んでいる。

 ドワーフ族だけに薄暗い坑道でも問題ないみたいだ。

 僕は特に新メンバーの二人へ、この付近の説明を行う。


「マイフィールドの南部に行くには、この南東部を通らないといけないんですけど……実はここ、結構な難所なんです。現実の四国の地図を見るとわかるのですけど、山がちで…なので、ここは地下を通ります」

「俺ぁ何度も来てるけどな。要は、ここの地下は一大坑道になってる。ドワーフの町があるわけだ」


 そう、関屋さんが良く出入りしているのは、この先のドワーフの職人街だ。

 同時に、この坑道にも用事があることを僕は知っている。


「他には、ダンジョンに住んでるタイプのモンスターはこの大坑道に配置してますね」

「通路はそこそこ広いけど、俺の相棒じゃぁここは通れないなぁ」

「地龍の通り道でもある大地下道もありますけど、行き先がが違うので仕方ないですね」


 アルベルトさんは天井を気にしている。

 5~6人の集団で通る分には全く問題ないし、パーティー戦闘を行っても十分余裕のある通路だけれど、彼の相方では通るのは無理と言うモノだ。

 翼を持たないドラゴンの系統が掘り進んだ大地下道も近くを通っているけど、残念ながら方向が違う。

 ここで、先ほどから坑道の壁を見ていたライリーさんが、気が付いたように訪ねてくる。 


「おい、坑道ってことは鉱石アイテムも掘れるのか?」

「鉱脈も当然ありますよ? 神鉄他レア鉱石もしっかり掘れます。まぁ、産出率は低いのですけど」


 僕の言葉に、ライリーさんの目の色が変わる。

 実際、かなり特殊な如意神珍鉄以外の鉱石はこの坑道の採掘ポイントを掘れば入手可能だ。

 大地の精霊石も取れるし、そもそもドワーフがポイントを大体抑えているため、中々僕の手元に入る産出量は低くなってしまっているけれども。


「掘れるだけでも十分だ! お前さんとのバトルで思いついたアイディアを形にしたくても、素材が足りなかったからな…メルティ、帰ったらお前の妹たちも一緒に鉱夫仕事の準備だ」

「はい、マスター」


 あ、ライリーさんはかなり本気だな。

 まぁドワーフの鉱夫の邪魔さえしなければ好きに掘ってくれて構わないか。

 僕は問題ないと判断し、地上についても触れることにした。


「あと、地上では氷属性の山を配置してあるので、寒冷地モンスターはこの付近の地上に居ますね。氷属性の白銀竜なども此方です」

「へ~、この辺にも竜が居るのか。後でヴァレアスと遊びに来るかな」

「雪山だからスキーもできるのよね~。海も一部氷属性だから、ペンギン系やシロクマ系は海岸に居るのもみたことあるわ」


 氷属性のエリアの配置には悩んだのだが、取捨選択でこの付近となった。

 どうせならマイフィールドの北端に配置したい氷属性だけれど、ちょっとそうもいかない事情もあったのだ。


「そういえば、雪の城に氷の女王も居ましたね……放置しすぎてへそ曲げてそうで怖いな。あとで顔見せに行かないと」


 僕の純粋な意味でのマイルームである万魔殿は、丁度マイフィールドの北西側やや北寄り付近にある。

 そこで使用人や警備として働くのは虫型に類するモンスターだ。

 つまり、寒さに弱い。

 北端に氷属性のエリアを置くと、彼女たちの行動が阻害されそうだった。

 結果万魔殿とは島の反対側に当たるこの南西エリアに氷属性エリアを配置したのだ。

 そうこうしているうちに、坑道の終わりが見えてきた。

 前方から熱気が微かに流れ込んでくる。

 石のアーチを潜り抜けたそこは、広大な地下空間が広がっていた。


「んで、このトンネルを抜けるとだ……ここがドワーフの職工町だ。最近は出入りしすぎて俺ぁ此処の住人だと認識されちまってるな。はっはっは」


 関屋さんが笑いながら先導する。

 あちこちに並ぶ鍛冶屋に武器防具道具の店の数々。

 奥には、鉱石を運搬する巨大な人型の影もある。


「結構規模がデカいな!? あっちのデカブツは、ドワーフのオートマトンか!?」

「ええ、ゴーレムにも似ていますけど、アレは完全に機械仕掛けなんですよね。とんでもない技術です」


 そう、あれは魔像ではなく機械仕掛けの人形だ。

 いったいどうやって動いているのかさっぱりだけれど、そこはドワーフの細工物の技術の賜物と言う事だろう。

 関屋さんが店頭に並ぶ武器防具を見て感心したように息を漏らす。


「相変わらず並んでる装備品の質も良い。ちょいと無骨過ぎるのが珠に瑕だがなぁ」

「う~ん、良いわよねぇドワーフ製の大型武器。私も早く元みたいに大きなメイス振り回したい!」

「おおっ、あの槍良さそうだな! 俺ちょっとじっくり見てくる!」

「まぁ、ここも完全に僕の手から離れているので、価格交渉はご自分で……でも、性能は流石のドワーフ製なのは確かですよ」


 ホーリィさんは並べられた重量級の鈍器をみて目を輝かせているし、アルベルトさんは店の奥に飾られた逸品に此方の声も聞かずに走って行ってしまった。

 まぁ、実際良い武器が並んでいるのは確かだ。

 ライリーさんも興味深そうだったけれど、気になったのは別の物の様子。


「うぉっ!? この水路よく見たら溶岩みたいな溶鉄が流れてやがる!? 道理で暑苦しい訳だぜ」

「製鉄もしてますからね……あとは、アッチには細工物の職人街、防具の類はあっちですね」


 そう、ここには高炉さえある。それも各鉱石まとめて入れて、種別になって流れ出てくるというトンデモファンタジーな万能高炉だ。

 流石はドワーフ、半端ない。


「いや~、これは良い武器だな! 今使ってるメインには及ばないけど、予備にはさせてもらうぜ」


 ほくほく顔で戻って来たアルベルトさんも合流したので、そろそろ次に進むとしようか。


「それは良かった。じゃぁ、もう一度坑道を抜けて、今度こそ南部に行きましょう。南部中心の町、コトサチへ!」



~南部NPC町 コトサチの町~


 コトサチの町も、十分に栄えていた。

 町の南側は漁港でそれ以外は長い砂浜が続いている。

 そしてその先に浮かぶ、噴煙を上げる大きな島が見えていた。


「南部は、実際の四国で言う高知付近に当たりますね。実際の高地とは違い、かなり広い平地になっています。あともう一つ違いと言えば、リアルの土佐湾に当たる湾の中央に火山島があることです」

「湾に火山島っつうと、リアルの鹿児島の方が浮かぶな。桜島は東側で九州につながってたが、あの火山島は西側でこの島とつながってるみたいだな…」


 あの火山は、かなり後の方で追加したエリアだ。

 具体的には、AE最後の三か月の頃。炎の巨人族を迎え入れるための場所として作ったのがあの火山島なのだ。


「まぁ、参考にしたのは確かです。何しろ、あの火山は結構後になってから追加したので……あの火山には、火属性のモンスターの居住エリアになっています。炎の巨人族が丸々移住していたり、火焔竜の住居だったりですね。普通に活火山なのでたまに噴火します」

「マジかよ。まぁ、それ位じゃないと火属性のモンスターが安定して暮らせないだろうけどなぁ…」


 実は当初は炎属性のエリアをドワーフの坑道にも続く地下世界に設定しようとしたのだ。

 ただ、どうも地上の氷属性との相性も含めてしっくりこなくて、最終的に配置したのがあの沖だった。

 南に開けた湾を半ば覆うように配置したので、湾内の波が安定したのも含めていい配置だったと思っている。

 

「おかげで、火属性の精霊石には事欠きませんから、悪い話でもないです。あと、この平地部と町に居るのは大体中級位階のモンスターですね。中級のアンデットもこの街に居ますね……中級にもなると、地下墳墓を用意しないといけなかったりで大変でした」

「あ~、居住性考えるとそうなるのか」


 そう、アンデット系の配置は大変なのだ。

 一歩間違うと笑えない事故が起きる。


「下級のスケルトンやゾンビは太陽の光をあまり気にしないのに、中級になると太陽の光でダメージを受けたりしますから……」

「私がお祈りしても成仏しちゃうから、近寄るの禁止されてるのよ~」

「まさか神官の姉さん、やったことあるのか?」

「ちょっとね~」

「鬼かよ」


 墓地だからとAEの終了前のホーリィさんが軽く祈ったら、中級位階のワイトとかレッサーヴァンパイアなどが軒並み逝きかけたのだ。

 アレには参った。


「あはは…その話はまた追々に。あと、当然ここでも島の中央部に向かうほど配置モンスターの位階が高くなります。まぁ、同盟メンバーに危害を加えない設定にしてあるので問題ない筈ですが」

「でも、手を出せば戦闘もあり得るだろ?」

「素材狩猟用に野放しにしてるモンスターも居るので、そこは仕方ない所ですね」

「お、じゃぁ俺の相棒が狩りしても良いのか?」


 そうそう、野生動物扱いのモンスター等は、群れで放置しているので繁殖さえしているはずだ。

 恐らくアルベルトさんは、相方の竜王の食事として狩るつもりなのだろうけど…


「根こそぎにしないなら、程々でお願いします」

「よっしゃ、言質取った!」


 程々であれば問題は無い。

 実際程々に間引かないと、平地の農業をしているNPCの畑を荒らすらしいので、死活問題でもあるのだ。

 本当に放置しすぎのような気もするけれど、亜神や大魔王たちが管理してくれているから大丈夫と、自己弁護しておこう。

 さて南部の説明はこれ位でいいだろうか?

 ならば、この先は川下りだ。


「いや、本当に程々でお願いしますね? ……さて、では南部はこれくらいで……次は南西部の大河と湿地エリアを経由して、西部に向かいましょう。そちらも中々面白いと思いますよ?」


 マイフィールドの中央から西に向かって流れる大河。

 次は此処から説明していこう。



~南西部へ~

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