負の連鎖
負の連鎖って無意識の感情放出の影響が他の人に連鎖して起こるものだと思うんですよね。
『2035年11月24日、とある夫婦が殺された事件。犯人は短い髪に分厚い手袋が特徴的な男、名は御影翔太。』
『2045年6月18日現在まだ捕まっておらず、行方は不明。』
『警察は凶悪な殺人犯だとして指名手配を打ち、捜査を続けています。』
「これってお兄様のことだよね。」
菜花はテレビを指さして俺に問う。
御影「うん。君の両親を殺したのは俺だ。」
「反省はしてないよ。」
菜花「分かってる。そういう事を聞いてるんじゃなくてね」
「なんで私を育ててくれたのかなーって。殺したくなるくらいの奴等の子供なんでしょ?憎くないの?」
御影「…それ聞いちゃう?」
菜花「うん、聞いちゃう。気になるもん。」
御影「まぁ…菜花ももう14歳だしね、話そっか。」
俺は話をするためテレビの音量を落とし、体勢を変える。
「まず、ね。俺は君の両親がかなーり嫌いだ。」
菜花「うんうん。」
菜花の相槌を見た後、俺は語る。
御影「学生の頃にちょっと嫌がらせされててね。」
「ノート破かれたり、狭いとこに閉じ込められたり、階段から落とされたり、色々。」
「それも辛かったけど、何より周りの大人が俺の味方じゃないってわかったときは精神的にだいぶ来たね。」
「でも、それだけじゃ殺人しようとまでは俺はならなかった。」
「きっかけは4年経って、大人になってからだ。」
-4年前-
俺はとある日、大嫌いな奴の顔を見かけた。覚えていたくもないのに、頭に張り付いている嫌な顔。
隣には小さな女の子を連れていた。娘だろう。
俺はその女の子にあの時の俺に似た何かを感じた。
あいつの顔をみて嫌な気持ちになった俺は、さっさと家に帰ることにした。
家の鍵を開けて扉を閉めたあと、牛乳を買い忘れていたことを思い出して、大きめの荷物を置いて財布を持ちスーパーにとんぼ返りで向かった。
小走りでスーパーに向かう途中公園であいつが公園で娘を怒鳴ってる姿が目に入った。
父「何で言う事聞けないんだよ!」
娘「……」
父「まともに喋ることもできねぇのか!てめぇは!」
ガッと鈍い音が響く。
そいつは娘を結構な力で殴った。
その時、俺のなかで何かが切れた。
申し訳ないがその場はその子を助けに入らず、そいつを殺す準備を整える事にした。
母親の方も調べを入れたら、これまたよく見た顔だった。
「こいつもだろう」俺は思って、こいつも殺すことにした。
最後のきっかけというか、自分の恨みを晴らすための言い訳だったのかも。
ナイフを買って、フード付きの分厚い服と手袋を買って。
俺は後ろからそいつらを刺した。
先に母親の方の息の根を止め、父親とはちょっと喋ることにした。
「なんだよ…俺らがお前になんかしたのかよ…」
「いいや、俺には何も。でもね、やっとお前らを殺す決心がついたんだ。」
「お前が娘を殴る瞬間を見た時にやっとね。」
「あんな感じの教育して、お前の娘に娘ができた時どうやって教育すると思う?」
「小さい頃からの環境は無意識になる。そのうち似たような教育に走るよ、多分。」
「"負の連鎖"は止めないとね。」
その言葉を最後に俺はそいつの息の根も止めた。
御影「それで君を真っ直ぐ育てることにしたってわけね。」
「改めて聞いてどう?」
菜花「私の親はずっとお兄様だよ。」
「ありがとう。」
御影「優しい子に育ったね。良かった。」
そう言って俺は菜花の頭を撫でる。
菜花「大好きだよ。私を助けてくれた優しいお兄様。」
そんなやり取りを思い出して笑みが溢れた時、俺の死刑は執行された。
悪が完全に消えた時、初めて負の連鎖は終わる。
面白く描けなかった。無念。




