54話 《水雲村雨》を創造
あとがきに【お知らせ】があります。
そして席に料理が運ばれてきた。
それを食べながらスレイと話す。
話題はお互いの役割についてだ。
どうやらスレイは魔法使いのようだった。
確かにローブを着ていて、杖を装備していることから魔法使いらしさはある。
そして俺も魔法使いだと告げると、スレイは驚いた。
「えっ、ロアは魔法使いなの?」
「ああ」
「なんで剣を持ってるんだい? 普通なら杖を持つでしょ」
「もともと剣士として冒険者をやっていたからな。魔法が使えるようになったのもここ最近だな」
「最近? どれぐらいだい?」
「正確には覚えていないが1か月ぐらい前かな」
「1か月でCランクダンジョンに挑めるならなかなかの上達速度じゃないか。うんうん。才能あるよ君」
「お、ありがとな」
俺は火牛のステーキを口に入れ、噛み締める。
噛めば噛むほど肉汁が出てくる。
脂もすごくのっていて食べ応え抜群だな。
「でもロア、一つ気になったんだけど、もしかして詠唱時間が結構長かったりしない?」
口の中の肉をゴクンと飲み込む。
「む、言われてみれば長いかもしれないな」
「その詠唱時間、杖を使うことで短く出来るよ。要は魔法を使う際に杖を触媒にすることによって、詠唱時間が速くなるんだ。魔力伝達性に優れたものを使えば、詠唱時間をかなり削減できるよ」
「なるほど……参考になりますね。ロアさん」
「だな」
とても有益な情報を得ることが出来た。
「それじゃあ近距離の戦闘になったとき、魔法使いはどうするのが正解なんだ?」
「近距離戦を避けることだな」
「スレイもそうなのか?」
「いや僕は天才だから詠唱破棄をしているよ」
「詠唱破棄?」
聞きなれない言葉だった。
「魔力回路を操作することによって詠唱破棄ができるのさ」
「すげえな」
「うん。僕は天才だからね」
スレイはすごい自信家だった。
◇
夕食を終え、宿屋に戻ってきた。
スレイの話を聞く限りだと、詠唱破棄はそれだけの自信に繋がる難易度の高い技術のようだ。
詠唱破棄……か。
その言葉を聞いて、俺はメリルとの一戦を思い出していた。
『【魔法創造】の効果が発動しました』
確かにメリルとの一戦でそう聞こえたのだ。
詠唱破棄と似たようなものを【魔法創造】は使えるのか?
それとも俺が聞こえた言葉は気のせいで、無意識のうちに詠唱破棄を使っていたのか?
……スレイに聞いてみるのも一つの手だったが、【魔法創造】の能力を言うのは少し危険だ。
この疑問は俺の中で閉じ込めておくことにした。
「スレイさん、どことなくロアさんと似ていましたね」
少し疲れた表情でソニアは言った。
「そうか?」
「自信家なところとかロアさんみたいです」
「俺は自信家というより自分に出来ることを客観視してるだけだ」
「たぶん、それを自信家って言うんじゃないかと……」
「あそこまで過剰に自信を持ってはいないさ」
「いえ、あります」
ソニアはビシッと俺に指摘した。
「わ、分かった。それだけ自信があることにしておこう」
「はいっ。ロアさんはとても自信家です」
ソニアは満足そうに笑みを浮かべた。
「ま、宿屋に戻ってきたところでお目当ての魔法を取得するとしよう」
この魔法を取得すればアルムントのダンジョンボスの攻略はとても楽になるだろう。
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《水雲村雨》
消費MP:1000
基本ダメージ:30000
属性:水
詠唱時間:2秒
クールタイム:150秒
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詠唱時間が短いため、使い勝手のいい強力なスキルだ。
基本ダメージが3万であるため、弱点を突けば6万ものダメージを与えることが出来る。
デメリットは消費MPとクールタイムだが、それ以上にメリットが大きすぎる。
これは取って損しないだろう。
『【魔法創造】の効果により《水雲村雨》を創造しました』
俺は500レベルを消費して、《水雲村雨》を取得した。
これなら6階層のモンスターも1撃で倒すことが出来るのは間違いない。
それにボスモンスターの『ヴォルケーノハウンド』も1撃で倒せる可能性は高いとみている。
同じBランクのボスモンスターだった『ウィリアム・キッド』は6万ものHPはなかった。
正確なHPが分かるわけではないが、紫電一閃で倒すことが出来たことを考えるとHPは多く見積もっても4万ほど。
『ヴォルケーノハウンド』が『ウィリアム・キッド』よりもHPが高いと想定しても6万を超えるのはあまり考えられない。
だからそうだな……明日である程度レベルを上げて、明後日に『ヴォルケーノハウンド』を倒しに行けばいいかもな。
そう考えていたとき、神の声が聞こえてきた。
『消費レベル合計3000を突破しました。レベルリセットボーナス【獲得経験値2倍】を取得しました』
……へ?
突然の神の声に俺は目を丸くしたのだった。
【お知らせ】
『底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした』の書籍化&コミカライズが決定しました!
書籍は【11月2日】に発売です!
発売まであと4日ですね!
予約受付が始まっているので、是非お買い上げを!
レーベルは講談社様の「Kラノベブックス」です。
イラストレーターはかわくさんです。
表紙などは販売サイトなどで見れると思います!
めちゃくちゃ良い出来に仕上がってます!
流石かわくさん!
書籍限定の書き下ろし短編があるので、是非楽しんでいただければなと思います。
紙でも電子でもどちらでも読めるはずです。
そしてコミカライズも講談社様の「ヤンマガWEB」にて連載が決定しております!
連載開始は12月を予定しているそうです。
こちらも楽しみですね。
こうして世に出せるのも全て皆様の応援のおかげです。
ありがとうございます。




