表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/292

98 双子の対決 再び

「これはこれは、ヘミニス卿。今からちょうどご子息様の実技試験が行われるところです」

「ふん、それで……私の息子の相手は誰だ?」


 教師の一人が手元の受験生リストを確認した。


「それが……どうも特待生枠での受験者で、ここには資料が揃っていないんです」

「まあよい、私の息子がそんな市井の凡骨に負けるわけがないだろうからな」

「では。ご覧になられますか?」

「無論だ」


 ヘミニス伯爵が遠目に試験会場を見ると、そこでは息子のカストルともう一人そっくりな女の子が戦っていた。


「相手は女ではないか……」

「はい、ですがどうやら優秀な成績を修めているようでして、シリウス元学長の推薦で試験を受けているようなのです」

「ほう、あの魔道王と言われたシリウス男爵か、それは面白い」


 ヘミニス伯爵はシリウスの名を聞いて、息子の対戦相手に興味を示したようだった。



「それでは木剣を用いた戦闘をもって試験とする。なお、この勝敗が試験結果ではなく、どれだけの技量で戦えるかが判断基準となるので、相手が格上だからとあきらめる事の無いように。それでは、始め!」


 オレ達の戦いが始まった。


 スピカは別の相手と戦い、あっという間に勝ったようだ。

 所詮男だろうがもやしっ子の貴族と、大人相手に逃げたり戦った元盗賊の、体力に自信のある少女ではどちらが勝つかなんて火を見るより明らかだ。


 だが、ポルクシアはスピカとは違う、油断したら間違いなく負ける。


「行くぜェ!」

「来いっ!」


 オレの剣は盗賊の剣技、ハッキリ言ってキレイな所より実践で身に付けた戦い方だ。

 所詮貴族の試合しかしたことのないようなポルクシアのキレイな剣技ではオレの動きは読めまい。


「甘いよっ!!」

「なッ!?」


 まさか、この足払いを読んでいたなんて。

 普通の貴族の剣技ならこんな動きをしてくるなんて普通は考えない。


 だが、ポルクシアは確実にオレの動きを想定していた。


「今度はこちらの番だ!」


 バカな!? 前の人生でのポルクスのキレイな剣技とはまるで別物だ。

 まるで……暗殺者レイブンを相手にしているような戦い方だ。


 小さく相手の急所を狙いながら削るような戦い方、これは貴族の剣技ではない。

 オレが防戦に回っているだと!?


「ハァッ……ハァッ……」


 オレは一旦距離を開けた。


 考え方を変えよう。


 今オレの目の前にいるのは、前の人生の貴族のキレイな戦い方をするポルクスではなく、暗殺者レイブンの動きをするポルクシアだ。


「テメェ……誰にその戦い方を教わったんだァ」

「教えないよ、多分知ってるだろうし」


 この答え方で分かった。

 間違いなくポルクシアの師匠は暗殺者レイブンだ。

 どういう流れでレイブンの弟子になったのかは知らないが、今オレの目の前にいるのは最強の暗殺者の後継者といえる。


「行くぜェッ!!」


 オレは木剣が折れるくらいの力でねじ伏せる戦い方に変えた。

 大きく体を振った方がまだ、小さくダメージを削られるやり方よりは対抗できる。


「くっ!!」


 思った通りだった。

 レイブンの戦い方はスピード特化型。

 力で押してそのスピードを出せないようにすれば足さばきで逃げることは難しい。


「でもっ!!」


 だがポルクシアはオレに足払いのフェイントをかけながら前転で懐に入り込んできた。

 このまま胸を突かれたらオレの負けだ。


「させるかよォ!!」


 俺は剣を逆手に持ち直し、柄でポルクシアの胸を逆に突いた。


「ぐはぁっ!!」


 勢いよく突かれたポルクシアが後ろにのけぞり、転倒した。

 だがタイミングよく後ろに下がったのか、ダメージはそれほど大きくなさそうだった。


「はぁ……はぁ……」

「ゼェ……ゼェ……」


 オレ達はほぼ互角の戦いだった。

 周りで試験の終わった連中、まだ試験を受ける前の連中が全員オレとポルクシアの対決を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女達に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

元ゲームクリエイターが転生して救世主になるファンタジーです

『転生クリエイターのマップチェンジャー』圧倒的な魔力でチート能力を使い一瞬で天変地異を巻き起こす元ゲームクリエイターの転生者はハズレスキルの地面作成(マップチェンジ)を使いこなし救世主となる!

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ