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31 リュバンのデザインセンス

 ヘミニス邸に布を取りに行ってたマルシェ達が戻ってきた。


「坊ちゃん、あるだけ持ってきました」

「あァ、ご苦労さん!」


 では早速服屋に行ってみるか。



「これはこれはカストル様、お待ちしておりました!」

「あァ、言ってた服の生地持って来たぜェ」


 オレはマルシェ達に持たせた生地を箱一杯に置かせた。


「これは! こんな立派な生地を使って服を作れとは、服屋冥利に尽きます!」

「そうかァ。それで、デザインは出来たのかァ?」

「はいっ! カストル様。こちらを見てくださいませ」


 リュバンは羊皮紙にインクで描いた服のデザインを見せてくれた。

 オレはそこまで言ってはいなかったが、リュバンはきちんと男性用、女性用、そして大人用、子供用で四種類のデザインを用意していた。


「これ良いなァ! 良いセンスだよ」

「ありがとうございます。カストル様」


 リュバンが黒く汚れた手を隠しながらニッコリしていた。

 この子は努力家なんだろう。

 そしてセンスも良い。


「カストル、これ良いな! おれが見てもそう思うぜ」

「俺たちもそう思います」


 リュバンの描いた服のデザインは、マルシェ達元誘拐団の連中も納得するだけのデザインだった。


「これだけのデザインが出来るなら、もうこちらからいう事はないなァ。早速取り掛かってくれ」

「カストル様、承知致しました!」

「はい、あたしもがんばります!」

「リュバン、では母さんも呼んできてくれ。久々の大仕事だぞ」


 オレはタイヤールのオヤジの前に金貨の入った袋を置いてやった。


「これは前金だァ。作業するのもいいが何か美味いもんでも先に食ってくれ。完成は五日後で良いからよォ」

「カストル様、お心遣い感謝いたします。ですが、コレだけの作業、一日でも早く立派なものを仕上げたいですので、お気持ちだけ頂戴いたします」


 タイヤールのオヤジは職人の目でオレを見つめた。


「仕方ねーなァ。オイ、マルシェ。テメェが何か食い物を買ってきてやれ」

「はい、坊ちゃん。承知しました!」


 オレはマルシェ達に、タイヤールの家族が明日の朝まで食べられるだけの食事を買いに行かせた。


「明日もまた昼と夜のメシを届けてやるぜェ。だからせいぜい立派な服を作るんだなァ!」

「カストル様、本当に……本当にありがとうございます」


 タイヤールの家族は父親、母親、リュバンの三人で深々とオレに頭を下げていた。


「お礼はいい、だから立派な服を用意してくれよォ」


 そう言ってオレ達は、服屋を出た。



 潰れた花屋の跡にオレ達が戻ってすぐ、ガキ共が帰ってきた。

 ガキ共はとてもうれしそうな顔をしながら、手に抱えきれないだけの玩具や服、それになんと本や画材に掃除道具まで持っていた。


「ぼく、カストルさまのためにべんきょうしておてつだいしたいんです!」

「アタシ、このおうちキレイにしたいからおそうじどうぐかってきました」

「ボク、絵をかいてカンバン作ります」


 ガキ共はそれぞれがやりたい事を考えて、いろいろな物を買ってきた。


「オウ! みんなァ。ここがテメェらの家だ。好きに使っていいぜェ!」


 ガキ共は色々と買ってきた物を置いて、殺風景だった家の中を綺麗に飾り立てた。

 手の届かない高い位置は、元誘拐団の連中が手伝ってやっていた。


「良い感じじゃねェか!」


 オレはニッコリ笑いながら、ガキ共が頑張る姿を見ていた。

 そんな中でオレに服を渡してきたガキがいた。


「ぼく、カストル様のために服を買ってみました。ぜひ着てみてください」

「何だってェ? まあ、そういうなら着てやるか」


 ガキがオレに服の袋を渡してきた。


「じゃあ着替えるかァ」


 服の袋を開けてみたオレが見た物は……女物の服だった。


「えぇッ? オレにこれを着ろというのォ?」

「ああー、まちがえて女性用の服を買ってしまいました!」


 それを見たアルヘナがお腹を抱えて大爆笑していた。

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