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第44話 開店

 季節は過ぎて夏になった。あれから真也は街の情報収集や魔道具の納品、魔物素材の確保とそれなりに充実した毎日を送っていた。


 天音はついに魔力制御を完全に行えるようになったので、今は魔法の勉強と通常の勉強を行っている。教師はもちろん森羅である。師匠はどうしたと言わないで欲しい。色々あるのだ。


 双子も勉強をしている。天音ほどではないが頭が良く、どんどん知識を吸収していく。後で魔法も教えようと真也は考えている。ちなみに森羅曰く、今は未開花だが体術を用いた戦闘の才能があるらしいので、座学の気晴らしに体術の基礎を教えている。教師はもちろん森羅である。残念ながら、ひ弱なご主人様は肉体言語を習得していない。


 双子が料理を作れると判明したので、今は真也と交代しながら作っている。最初に真也が食べた感想はいまいちと言うものだったが、良くない反応に火が付いたのか回数をこなすうちにメキメキと上達していった。今では真也と互角の攻防を繰り広げている。


 砂糖の量産も軌道に乗り、新しいシロップでカキ氷を大量に食べた天音がトイレの主になったのはご愛嬌だろう。子供の頃の失敗は良い経験になる。


 真似した双子はそろってトイレの主になりそこねる所だった。トイレは一つしかないのだ。危うく大平原の支配者になる所を真也がトイレを追加したので事なきを得た。これで更に真也に対する忠誠が上がったが真也としては苦笑するしかなかった。


 人数が増えたのでトイレはそのままにしておいた。おそらくまた同じ事が起きると真也は予想している。そうなる事は確定だろう。少なくとも三人が大人になるまでは。


 天音の食欲も落ち着いた様で、真也並になっている。子供にしては十分多いが、鈍い真也は気が付いていない。今までが凄すぎたので当然と言える。森羅は気が付いているが、問題無いので放置している。双子は驚いているが、真也が何も言わないので大丈夫なのだろうと思っている。


 これだけ食べても太らないのは身体の密度が上がっているからである。具体的には怪我をしても一瞬で治るようになった。ゲーム的に言えば生命力の数値が恐ろしく上がっている状態だ。これは生きるために本能が選択した変化である。


 人間ではありえない変化だが、異常性は他にもあるのだから大した事ではない。体重も見た目のままなのだから、元の世界なら解剖されていたかもしれない。真也は物事を判断する基準が普通では無いので例え知っても気にしない。真也と出会えた事は天音にとって最大の幸福と言えるかもしれない。




 そして遂にルードの店が開店する事になった。




「……暇だ」

「……暇ですね」

「……お客様ー」

「「……」」


 ルード、ティリナ、リフィア、ミリル、リシルの五人は閑古鳥が鳴いている店内の休憩所で休んでいる。五人の服装はいつも通り、ルードはご老公、他は和装である。特に双子は良く似合っている。


 休んでいる場所は本来は来店した客が休む場所だが、肝心の客が来ないのだからどうしようもない。現在は開店四日目。来客数は数人。売り上げは極僅か、会員数はゼロである。開店の宣伝は行わないのが普通なので今回は行っていない。それでも大分前から看板と開店日を表に張り出していた訳だが、店の中まで入る客は中々居なかった。来た客も殆どが冷やかしで、言うだけいって帰っていった。客いわく、『ダサい』そうな。


「俺の服はそんなに駄目か? 流行はそれなりに押さえたんだがな……」


「そんなことは無いですよ! 来る客の見る目が無いだけです!」


 当初の自信はどこかに行ってしまったルードの弱音にティリナが懸命に励ます。これでまだ結婚していないのだから、世の中不思議な事だらけである。そんな時、店の入口から子連れの男性が入ってきたのが見えた。嬉しさのあまり、思わず全員で飛び出して出迎えた。




「「「「「いらっしゃいませ!」」」」」




「何馬鹿な事をやっているんですか。それではせっかく来店されたお客様が逃げ出すでしょうが」


「何だ、おめえか」

「人騒がせです」

「お客様ー」

「「……」」


 ぞろぞろと五人は元の場所に戻っていった。


「……いったい何が?」


 がっくりと落ち込んだ真也の呟きに天音が繋いだ手に力を入れて励ます。来店した真也はさっそく手荒い歓迎を受けたのであった。





 天音の励ましで何とか復活した真也は、休憩所に行くと集まっていた五人に対して指示を出す。天音は離れて座って聞き耳を立てながら楓と桜と一緒に戯れている。


「とりあえずお客様が来ないのは仕方がないですが、全員でここに居るのは駄目です。見ただけでお客様が逃げてしまいます。休むなら交代しながら休んでください。とりあえず今はミリルとリシルに番をお願いします」


 本来は奥で休憩と言いたい所だが、人が居ないと逆に入り辛くなるので今回は大目に見る。双子は頷くと店内に移動して見本の確認を行う。それを見てから次の話題に移る。


「さて、こちらですが、見事に誰も居ませんね。この原因は分かりますか?」


 真也は三人の顔を順番に見ていくが全員分からないと首を振る。情報収集は商売の基本ですよと三人に指導する。落ち込む三人を見て真也は以前に教えたのにと心の中で頭を抱えた。このままでは前に進まないので、自分が集めた情報を伝える。


「私が調べた限りでは、この店は田舎者の店として有名です。売っているものも古臭い上に品質も悪く、着れた物ではないと老若男女に大評判です」


 真也は開店した時には立ち合ったが、すぐに外出して情報収集に向かっていた。噂の事は事前に確認していたので今の状態はある程度予想していた。


「……それは本当か?」


 ルードが呆然と問い返す。ティリナは心配そうにルードを見ている。


「ええ、例の店の方達が双方懸命に広めていましたよ。仲が良いですね」


 ルードが悔しそうに下を向く。今行われているのは知名度を利用した相手店への攻撃である。与えられる情報は知らない相手より知っている相手からの方が信じる確率が高くなる。有名店の店員という肩書きは十分信頼に値するものなのだ。しかも始めてから大分時間も経っているので広範囲に広まっている。現在は最初から色眼鏡で見られているので、殆どの人達は見向きもせずに既存の店を選択している状態だ。


「ノルさん、何とか出来ないんですか?」


 悲壮感を漂わせるティリナの言葉に真也は真剣な表情で答える。


「一応聞いておきましょう。もしこの店がこのまま売り上げが無い場合、通常は後どれくらい持つと思いますか?」


 真也はティリナとリフィアに問いかける。いきなりの問いかけに戸惑いながらもきちんと二人は答える


「……半年くらいですか?」

「一年でどうでしょう」


 真也は首を振って話を続ける。


「通常の出資者の場合、この店の維持に必要な金額の損失が毎月出る状態では三ヶ月が限度でしょう。儲ける為に出資するのであって、損をするために出資する訳ではないのですから」


「そんな……」


 ティリナは目の前が暗くなるような気分になった。このままではこの店が終わってしまうと泣きたくなった。リフィアも居場所が無くなるかもと落ち込んでいる。そんなティリナ達に真也は微笑む。


「ここで明るい話題を提供しましょう」


「何ですか?!」


 ティリナが勢い良く食いつく。リフィアも期待を込めて真也を見つめる。その様子に真也は苦笑しながら続きを話す。


「例の二店舗がこの店の開店と同時に安売りを始めました」


「それは本当か!」

「それのどこが明るい話題ですか!」


 ルードは喜んで、ティリナは怒って声を出す。そして二人は不思議そうに顔を見合わせる。双方共相手の気持ちが分からなかったのだ。リフィアは意味が分からないので首を傾げている。


「なんで怒るんだ?」

「どうして嬉しいのですか?」


 お互いに問うタイミングも同じで真也は笑ってしまう。本当に仲が良い。


「ティリナさん。先程の問題の答えですが、たとえ売り上げがゼロでもこの店は潰れません。なぜなら出資者は普通では無い私ですし、私の資産はこの店の支払いを差し引いても増加していますから、出資を止める事はありません。状況も理解してますしね」


「はい?」

「やった!」


 ティリナは驚きに目を丸くして、リフィアは諸手をあげて喜んでいる。


「それで先程の話題ですが、安売りをしているのはこの店を潰す為です。しかしこの店は潰れません。今の状況では安売りを続けるほど赤字が膨らみます。私達の当面の目的はあの店達を潰す事です。赤字を出している店に融資する所はまともな所ではありません。どんどん深みにはまって抜け出せなくなります。どうです、明るい話題でしょう。ちなみにルードさんは知っていますよ。この間教えましたから」


「ばっ、それを言うな!」

「……なんで教えてくれなかったんですかー?」


 ルードとティリナが擬似パントマイムをしているのを真也は面白そうに見つめている。


「さて、冗談はこれ位にして本題に入りましょう」


 真也の呼びかけにルードとティリナ、リフィアは居住まいを正して真剣な表情になる。現状のままで大丈夫でも何もしない訳にはいかない。


「まず……」

「お話中に申し訳ありませんご主人様」


「ん?」


 説明をしようとした所でミリルから声がかかった。声の方向に真也が顔を向けるとミリルの横に見た事のある女性が立っていた。それは去年、ルードの店に来た一号客の女性だった。真也は立ち上がると微笑を浮かべて歓迎する。


「これはお久しぶりです。王都にお住まいなのですか? でしたらこれからご贔屓ください。今回王都に引っ越してきたのですよ」


「あ、いえ。その、見た事のある店名が見えたものですから……」



 女性は混乱しているようだ。いきなり打ち合わせ中らしき所に割り込んだので理解は出来る。この辺も教えておこうと思いながら真也は女性をこっそりと観察する。その結果、服装が売った物と一致するので大事に使って頂いていると判断した。と言うことは求める品物はあれだろうと検討をつける。


「お求めの品物は靴下でよろしかったでしょうか。その他の小物も各種取り揃えておりますが」


「あ、はい、靴下が欲しかったんです。ずっと使っていたのですが、最後の靴下に穴が開いてしまって……。王都ではあれより良い物は見つからなかったから、どうしようかと困っていたんです」


 女性は恥ずかしそうにしている。おまけで貰った物を気に入っていると言っているのだから、覚えていられれば確かに恥かしい。ちなみに正確には見つからなかったのではなく、高くて手が出なかったとなる。おまけの靴下は客寄せ用の売値がほぼ原価と同じ品物だ。普通に売るなら二倍以上の価格になる。


「分かりました。こちらへどうぞ」


 真也は女性を靴下置き場へ連れて行き、見本を三つ取り出して女性に見せる。


「まずこれが前回と同じものです」


「あ、はいそうです。これです」


 女性はやっと出会えた靴下に喜んでいる。


「それとこちらがその靴下の吸湿性を更に増した物と、冬用に厚みを加えたものです。どうぞお試しください」


 女性は受け取るとどちらも試着して歩いてみる。満足なのは表情を見れば分かる。ちなみにどちらも客寄せ用の低価格高品質商品である。


 女性がちらりと真也を見る。これは前回のようなおまけを期待しているなと真也は思った。


「今は前回同様に開店セール中でして、今回は会員限定で登録初回の買い物に限り、一割の値引きを行っております。ぜひご利用ください」


 何だそれはと言う声がどこからか聞こえるが、真也は無視する。


「会員……て何ですか?」


 女性は不思議そうに聞いてきた。真也は人の良い笑みを浮かべる。


「それでは説明致します。会員とは当店のお得意様としてお名前を登録された方の事です。会員にはこのようなカードが発行されます。登録料は無料です」


 真也が懐から自分のカードを取り出して見せる。


「これにはお買い上げ金額に応じて点数が付与されます。具体的には累積購入金額が百Aで一点加算され、一点につき一A分の値引きが次回から利用出来るようになります。一度の購入金額が百Aに満たなくてもきちんと累積されていきますので無駄になりません。また、点数を貯めて金額換算以上の価値のある物と交換する事も予定しています」


 女性は値引きに惹かれている。世界が変わっても行動原理はあまり変わらない。


「他、会員限定の商品も販売予定です。現在はカキ氷を会員限定で販売しております」


 そんな話は聞いていないと言う声がどこからか聞こえるが、真也はもちろん無視する。


「カキ氷とは何ですか?」


 女性は予想通りの質問をしてくる。そのまま流れるように説明を続ける。


「氷を雪の様に砕いて甘い調味料をかけた、今の様な暑い夏には最高においしい食べ物です。今回は通常五Aの所を初回に限り無料で進呈しております。ぜひご利用ください。会員の手続きを行いますか?」


「は、はい。お願いします」


 真也はレジまで誘導すると、簡単な契約書を交わして手早く会員証を発行する。


「こちらが会員証になります。紛失した場合も無料で再発行致しますのでお気軽にお申し出ください。カキ氷は買い物を終えてからお作りします。それではごゆっくりお買い物を楽しんでください。……ミリル、お客様に肌着を紹介するように。それと小物を中心にね」


 女性が店内に移動してからミリルに小声で指示を出す。さすがに男が女性の物を紹介するのはよろしくない。ミリルは頷くと女性にサンプルを持って行く。予想では初回限定の効果で必ず散財する筈だ。真也はカキ氷製造機を休憩所に設置するとシロップと皿とスプーンを準備する。


「何だか聞いていない事がかなり飛び出した様に感じたのは気のせいか?」


 真也を見ていたルードがぼそりと言うとティリナとリフィアもうんうんと頷いている。


「先程の話の続きですよ。現状を良い方向に動かすためにはある程度のてこ入れは必要です。そのための方策の一つとなります。大丈夫ですよ。一割引いても利益は出ます。今は名前を売る時期です。忘れずに引くようにレジには入力してあります」


 三人は成程と感心して頷いている。それを見て、そろそろこの辺りのやり方も覚えて欲しいと切実に願う真也だった。その時、腕が引かれたのでそちらを見てみると、天音が自分の会員証を持って立っていた。涎はまだだが決壊は時間の問題だろう。







「何だかんだ言っても甘いよな」

「そうですよね」

「おいしいです」


 天音がカキ氷を食べている傍でルードとティリナが笑いながら真也をからかっている。二人は最後にはカキ氷を与えてしまった真也の事を言っているのだ。ちなみに二人もしっかり食べている。とんでもない漫才夫婦だ。リフィアはからかいには参加せずにカキ氷を食べている。どちらにしてもとんでもない。


「しかし随分甘みが増したな」

「おいしくなりましたね」

「おいしいです」


 三人は遠慮なく食べている。リシルからじとっとした視線を送られているが気づく様子は無い。真也の方は後で食べさせるからと森羅を通じてこっそり約束したため無事に済んでいる。お願いだから誰か仕事をしていない方で憤慨してくれと頭を悩ませる真也だった。シロップには砂糖を加えてあるが、直接販売する訳では無いので既存の流通に影響は無い。


「あ、これがカキ氷ですか?」


 その声に顔を向けると買い物を終えた女性がミリルに案内されて休憩場所まで来ていた。その手には大きな荷物が抱えられている。どうやら計画通りに進んだようだと真也はミリルを見ると、視線を受けて小さく頷いた。真也は笑みを浮かべて立ち上がるとカキ氷製造機の前まで移動する。


「はい、今作りますので少々お待ちください」


 真也は定位置に皿を置き、カキ氷を作る。その様子を驚いて見るのはもはや定番である。真也はシロップを説明し、選んでもらった物を上からかけて差し出す。さくりとスプーンを入れ、頭を押さえるところまできちんと堪能した女性は、上機嫌で帰っていった。


 真也は後片付けをしてからルードの所に戻り、状況が動き始めた事を教えておく。


「さて、これで明日からは徐々に良くなっていきますから準備は怠らないでくださいよ?」


「何で分かるんだ?」


 ルードは関連が分からないのでいつも通り質問する。見回すとその他も似たようなものらしいので真也は詳しく説明する事にした。


「まず、あのお客様は周囲に何があったか話す性格です。前回も話を聞いたお客様が来ていました。同じ考えの人は集まるものなので、同じく周囲に話して拡散していきます。次に世の中には格好を基準に選ぶ人と、使い心地を基準に選ぶ人がいます。今回はわざと外から見えない商品を重点的に紹介し、購入して頂きました。見えないなら見栄えが多少悪くても大丈夫と思う人は多いのですよ。実際皆さんそうでは無いですか?」


 真也の問いかけに全員確かにそうだと頷いている。おしゃれが氾濫していないこの世界では、庶民は見えない部分は機能性を重視する傾向があることは調査済みだ。


「ルードさんの作品は別に見栄えが悪い訳ではありませんし、噂が関係しない部分で客寄せすれば購入した人は噂が嘘だと分かります。そして人は真実を他人に語りたがるものなのですよ。噂を話している人が身近にいれば、実は違うと証拠付で訂正してくれます」


 真也の説明に全員が頷いて感心している。口コミしか無い場所では噂は消えないが、見れば分かる場所ではあっさり消える。今回は王都での噂が消えれば良いだけなので、ほんの少し穴を開ければ十分なのだ。


「ついでに開店してから今日までの間、街で買い物をしている時に噂を知っていた話好きな複数の店員さんに『真実』を伝えておきました。情報通としては最新情報を誰よりも早く伝えたいと思うでしょうね。なので噂に関しては気にする必要はありません。人は悪い噂より黒い噂を好みますからね」


 真也は実に良い笑顔を浮かべる。広まる速度も考えて念のため広範囲にばら撒いておいた。その際は姿を変えているので店の関係者と怪しまれる事もない。十分に噂は広まっているので、この場合は発信者に信頼は必要ない。根拠は今でも当事者が作ってくれているので、本当のように聞こえれば十分なのだ。


 この対抗措置はある程度周知の噂でなければ効果が無い。だから広まるまで待っていたのだ。これで言わなくても真也が何を伝えたか全員が理解出来た。今も噂を精力的に流してくれているらしい二店舗がかわいそうに思える。


 噂は言葉だけで訂正しても消えるものではない。不思議なもので訂正すれば逆に真実と思われてしまうものだ。なので真也は逆に噂を拡大する事にしたのだ。


 即ち、『実はその話には続きがあって……』と。実際の客の話と拡張された噂が出会った時、凄まじい反応が起きると真也は予想している。拡張した話は『真実に聞こえる』ので否定されればより強固になる。もちろんすぐに上書きされる訳ではないが、ゆっくりと確実に既存の噂を侵食していくので後は待てば良い。噂好きは聞くのも好きだが話すのもまた好きなものだ。


「理解した所で仕事をしましょう。そろそろ交代しても良い時間です」


「いや、安心した」

「そうですね」

「お仕事、お仕事」


 真也の指示に三人は笑みを浮かべてぞろぞろと移動していく。そんな後姿を真也は苦笑しながら見つめていた。そこに天音が空になった皿を持って近付いてくる。今回は催促ではなく片付けの方だ。食べ過ぎて酷い目にあった恐ろしすぎる教訓の記憶はまだ新しい。そんな天音の頭を撫でながら、真也は明日からのやり方を考えるのだった。





 その後に休憩をしに来たミリルとリシルにもカキ氷を作ったが、何故か天音も一緒になって喜んで食べていた。世の中は本当に不思議な事だらけである。


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― 新着の感想 ―
[一言] ルードの店でっショーツを作って売れば有名になるよ? どうせ女性用下着はダサイドロワーズだけでしょう? ノルには蜘蛛の糸素材のゴムもあるし十分ウエスト ゴム製のショーツを作れるよ? ゴム製のス…
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