9.家を建てよう ★
さて、まずは自分の家を建てよう。ずっとアリサ達の家に住むわけにはいかないからな。
アリサが着替える時なんて、もうドキドキしてしょうがなかった。流石に後ろを向いたけどさ、衣服が擦れる音とか聞こえてくると……なぁ。
なので自分の精神面の為にも家を造ろう。
村の中で開けた場所はもうないので、アリサの家の裏手を開拓することにした。因みにお婆さんには了承済み。
裏手の森林の伐採から始める。
『管理ツールアプリ』を起動し『マイクラフト』を選び、道具項目の中で森林伐採用の道具を選ぶ。
本来、このゲームは職人ランクが上がることによって、より良い工具が使えるようになる。木材を伐採する道具で最高ランクは『チェーンソー』だ。
次に斧。斧でも3つあり、『石の斧』・『鉄の斧』・『鋼の斧』がある。因みにゲーム時での効果は木材の材質により叩き切る回数が違う。
ちなみに俺はこのゲームをやり込んでいたので、当然『チェーンソー』持ちだ。なので早速アイテムをタップする。
-------------------------
アイテム名:チェーンソー(異世界仕様)
ランク :『 HR 』
説明 :
あらゆる材質のを削り切る。動力は空気中のマナで作動する。
ギアは4段階。
ギア1:木材用
ギア2:鉱石用
ギア3:金属用
ギア4:結界魔法用
-------------------------
うえぇ。チェーンソーが異世界仕様……用途が変更されてる。。え、なにこのチェーンソー結界も削れるの? てか、戦闘用に改良されてね? 結界って……。
この世界やっぱ魔法もあるのか。
斧の場合はどう変化するんだ? 試しに説明項目を見て見るか。
「リンタロー? ねー、リンタロー!」
俺は『鋼の斧』をタップする。
-------------------------
アイテム名:鋼の斧
ランク :『 R 』
説明 :
一振りで木材を叩き切る。
鉄も叩き切れる。
-------------------------
一撃で木材を切るのは変わらないけど、追加で鉄も切れるようになっているな。
これ、俺が持っているゲームのアイテム全てが、上位互換されてるんじゃないか?
アイテム説明文だけで一日楽しめるなこれ。
「リンタローってばー!」
「ん? ああ、すまんすまん。ちょっと夢中になってた」
自分のスキルに夢中のなってしまい、リユ達が居たことを忘れてた。
「あの、林太郎さんは……錬金術師の方なのですか?」
「錬金術?」
「はい。違うのですか? それか魔法使いとかです?」
あ、やっぱ魔法あるんだ。
「すまん、その辺の知識がなくて。その魔法の事とか、教えてくれる?」
「変わった方ですね林太郎さんは。えっと、錬金術の事はよくわかりませんが、魔法は才能がある者なら使えます。ただ、分かっていることは魔物を倒すと天啓で覚えるとか」
へー、ということはLvアップ概念があるのか。Lv表記はあったけど、ステータスは見当たらないんだよな。
「ライ姉さん達は魔法は使えませんが、スキルという技術が使えるみたいなんです。スキル使いは武人と呼ばれてます。因みに、私は魔物を狩ったことがないので使えないんですけど」
苦笑するアリサ。病に伏せていたので仕方がないだろう。というより、アリサは戦闘向きじゃないしな。
「あ、でも。生まれつき魔法やスキルを覚えている人もいるみたいですよ? 前に住んでいた村に居たみたいです」
アリサから色々聞いていくと、Lvやステータスと言った概念は無いようだった。聞いたらハテナ顔をされた。恐らく隠し要素なのだろう。
リユ至っては難しい話だったのか、蝶々を追いかけて遊んでいた。
「ありがとう。アリサ」
「いえ」
にっこり微笑むアリサ。俺は気を取り直し、『チャーンソー』を取り出して、目の前の大木を伐採する。すると、大木はガラスが割れるように分解され消えた。
「わっ、わっ、わっ! 林太郎さん、それは何ですか!? 大木も消えちゃってます!」
「わふー! リンタローすごーい!」
俺も驚いた。まんま『マイクラフト』の仕様と同じだった。多分、アイテムストレージに収納されたのだろう。画面をタップしてストレージを確認すると、初めからある『木材』とは別の木材が追加されていた。
-------------------------
アイテム名:ラージュの木材(異世界用)
ランク :『 R 』
説明 :
ラピの森から得られる木材。
とても軽くてよく燃える。
燃やすことによって低Lvの魔物を近寄らせない。
-------------------------
おー……。異世界から採れる素材も収納できるのか。これは便利だ。
「なんか、アイテムとして習得できたみたい」
「え! 林太郎さんはアイテムボックス持ちなのですか?」
あ、あるんだ。この世界に収納ボックス。
アリサが言うにはアイテムボックス持ちは希少らしくて、多くは商人になるみたいだ。たまに冒険者になる者もいるらしい。
月一で訪れる行商人のダリアって人もアイテムボックス持ちだと言っていた。なるほど、手ぶらで商売できるのはいいな。
ちなみにリユにはまだ難しかったのか、また蝶々を追いかけていた。
家を建てるのに必要な面積分の伐採をしていく。とりあえず30坪くらい。
家の面積は半分の15坪くらいでいいか。あと半分は庭だな。大木があった地面は掘り起こされた感じに凸凹になっていたため、整地に使う転圧棒を取り出す。
-------------------------
アイテム名:転圧棒(異世界仕様)
ランク :『 N 』
説明 :
1ポコペンにつき1M×1Mの面積が平らに整地される。
雑草や小石も除去される。
-------------------------
俺は地面を叩いていき平地を作り上げる。
「ふぅー、とりあえずこれくらいでいいかな」
「ほえー……。林太郎さん、それは魔道具ですか?」
「え? 違うけど。魔道具ってあるの?」
「あ、はい。特殊な力を備えた道具や武器だったりで、凄い高値で取引されるってダリアさんから聞いたことがあります」
なるほど。もしかしたらこの間の『ファイアーソード』も魔道具のカテゴリーに分類されるか。
アレ以上の武器やアイテムを持っているけど……ただのエンチャント系武器でもぼろ儲けできそうだな。
「アリサ、一応言っておくけど今以上の事をこれからするけど、あまり驚かないでくれな」
「え……?」
俺は『マイクラフト』から家の材料になる木材をどんどん出し、組み立てていく。ログハウスの家にしテラスも設ける。室内には『トイレ』や『風呂』など設置した。
異世界仕様だから水道代やガス代もかからないし、排泄物や排水は火山マグマに投棄される。こんな便利なアイテムはそうそうにない。
後は家具や調度品を設置して完成だ。慣れた操作だったから小一時間ほどで終わった。
「わふー! お家が完成ー! すごいきれー!」
「え、ええー……」
アリサは言葉も出ないようだった。普通はそういう反応だよな。俺だってなんでこんな能力がついたのかわからないけど、使える物は使わないとな。
「よし、とりあえず住む場所は確保だ」
「お家の中探索するー!」
リユが家の中へと入っていく。
んー、あとはそうだな。アリサたちの生活を向上させるために食料事情や衛生面などを考えた方がいいだろう。
その辺は『〇〇を経営しよう』シリーズのゲームがある。飲食・農業・生産系のフリーゲームなんだが、中々に凝っていて様々なアイテムがある。
これらを使えばリユ達も安泰だろう。
生産系のアイテムを確認しているとリユが戻ってきた。
「わふ! わふ! リンタロー! リンタロー!」
左右にピョンピョン跳ねている。あんまりはしゃぐと転んで危ないぞ?
「んー?」
アイテムを確認しながらリユに相づちを打つ。
「リユもここに住みたいー!」
「「え?」」
アリサと声が見事にハモった。うーん、流石にそれはなぁ……。
「お姉ちゃんも住みたいよね?」
「えっ、えっ?」
リユの言葉に固まるアリサ。
「 ――はっ!! そ、そうね。わ、私も……この素敵なお家に住みたいです」
何故か急にアリサがモジモジし始めた。
「だって、リンタロー!」
いやいやいや、俺男だよ? 間違えが起きちゃうかもしれないよ?
とりあえず――
「お婆さんに聞いてからな」
「わふー!」
この後、皆で聞きにいったら普通に了承された――。




