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6.おかわり ★

4話と5話に挿絵追加です。 2023.11.1

 アリサの具合も良くなり、家の中ではリユ達がアリサを囲って喜んでいた。

 俺は簡易的に造った調理場で『雑炊』の仕上げをしている。海鮮のいい香りが辺りを漂う。


 折角なのでライとミリィの分も用意することにした。おかわりできる分の量を作っていたので問題はなかった。先にアリサの分を用意する。器によそい、仕上げに『万能ネギ』を入れよとした手を止める。

 

 リユたち獣人って……イヌ科か? 犬って確かネギ類はダメだったよな? とりあえず、ネギはやめておくか。


 代わりに『刻み海苔』を入れる。サラサラと海苔をまぶすと、海苔の香りがいい塩梅に食欲を更に刺激した。料理の出来に満足していると、リユが「たたたた!」と駆け寄ってきた。


「リンタロー、ご飯できたのー? 凄くいい匂いがする!」


 リユは俺の袖を摘まんでクイクイと引っ張る。


「できたぞ。まずは先にお姉ちゃんに持って行ってあげてな。あと危ないから走るなよ?」

「うん、わかった!」


 リユに『雑炊』が入った器とスプーンを手渡す。鼻をスンスンさせながら、嬉しそうにアリサの元へとトテトテと歩いていくリユ。その後ろ姿がなんか微笑ましい。


 家の中から賑やかな声が聞こえてきた。


「お姉ちゃんごあんできたよー! はい、どうぞ!」

「ありがとう、リユ。初めて見る料理ね。凄くいい匂いだわ」

「確かに美味そうな匂いのスープだな。ごくりっ……」

「ライ? アリサから一口貰おうとか考えないでよね」 

「ば、ばっかミリィ! そそそそんなことするわけねーだろ?」


 ライのどもる声が聞こえてきて、少し笑ってしまった。聞こえてくる声を聞きながら人数分の器に『雑炊』をよそっていく。


「ダメだよライ姉ちゃん。これはお姉ちゃんのだから、がまんしよ?」

「リユ~、お前まで!? ライ姉ちゃん悲しい……」

「ライ姉ちゃんよちよち」 

挿絵(By みてみん)


「ふふふ、ライ姉さんも一口どうぞ。このスープ凄く美味しいですよ」


「え!? いや~、ははは……」


 お盆に人数分を乗せた器を持って部屋に入ると、ライが迷っているような素振りでアリサの『雑炊』を見ていた。


 俺は笑い出しそうな声を抑えながら声をかける。


「人数分あるから大丈夫だよアリサさん。リユもお手伝いしてくれてありがとうな」


 リユとお婆さんに『雑炊』の器を渡す。


「わふー! お姉ちゃんお婆ちゃん一緒に食べよー」

「これこれ、リユ。 お礼言わないと駄目よ? 林太郎さん、ありがとうね」

「このスープ、林太郎さんが作ってくれたんですか? 凄く美味しいです」


 アリサに美味いと言われ素直に嬉しい気持ちになる。俺は笑顔でアリサの言葉に答えると、アリサは「あ……」と呟いた後にうつ向いてしまった。


「お姉ちゃん、美味しいね!」

「あ、そっ、そうね! 美味しいねリユ!」


 アリサは無言でパクパクと『雑炊』を食べ始めた。


 いっぱい食べて栄養を摂ってもらわないとな。


「えっと、ライさんとミリィさんでいいんですよね? どうぞ、熱いんで気を付けてください」


 二人はきょとんとした顔で器を受け取った。


「あたい達にも分けてくれるのか? お前、良い奴だな。あたいがライ、んでこっちが――」

「ミリィよ。リユと同じように林太郎って呼ばせてもらうわ。ところで、貴方――」

「うっわ! これうめぇ! おい、ミリィも早く食えよ、うめぇぞ!」


 話しをぶった切られたミリィはこめかみをピクピクと震わせていた。


 まぁ、何となく言いたいことは分かる。恐らく俺の素性を聞きたいのだろう。

 だけど、今はご飯を食べ終えてからでもいいんじゃないかな? 

 お腹が膨れればイライラも納まるだろうし。


「ライ、貴方ね……。はぁ、折角だしいただくわ……。こくっ……―――っ! 確かに美味しいわね……」


 皆美味しそうに食べてくれる。一人飯が当たり前だったから、こうやって大勢で食べるのは久しぶりでちょっと嬉しい気分になる。

 だって、俺が作った飯を美味そうに食べてくれるのは感慨深い。こそばゆい気持ちになりながら、俺も『雑炊』を食べていく。


「おかわりあるんで、足りなかったら言ってださい」


 そう言うと、皆器を突き出していた。


「おかわりー!」

「あらあら、いいのかしら?」

「あ、あの……林太郎さん、私も」 

「何杯でもいけるな! もっとくれ!」

「ライ……あなたね……。こほんっ、私ももう一杯だけいただくわ」


 皆から器を受け取る。


「もちろん、いっぱい食べてくれ」


 楽しい食事の時間が流れていった――。


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