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18.からかわれるアリサ ★

 周辺に『女神の石碑』を設置し終えて村に戻ると、果樹園でアリサ達がお茶を嗜んでいた。


「あ、リンタローおかえりー!」


 俺に気づいたリユが両手で木のコップを持ちながら出迎えてくれる。

 中身を見てほしいとばかりにコップを近づけてくる。


「リンタロー、見て見て! お姉ちゃんに頼んで作ってもらったのー」


 オレンジ色に反射する飲み物は、みかんを絞った果汁だった。


 そう言えば、初めて出会った時もみかんのジュースを作ってあげたっけ。

 どうやらリユはみかんが気に入ったらしい。


 初めて見る果物だってライが言っていたことを思い出す。


「そうか、よかったな」


 ニコニコ顔のリユの頭を撫でてやると、リユは尻尾をブンブンと振る。


「林太郎さん、お帰りなさい」

「おかえりー。もぐもぐっ。ミリィもご苦労っ、もぐもぐ」


 アリサは地面から立ち上がると傍によってきて微笑み、ライは胡坐をかきながら果物をまだ食べていた。


「ライ、食べ過ぎると太るわよ?」

「ふぐっ、ごほっごほっ! ちょ、おまっ」


 ミリィはライの前にしゃがみ込み、ライが食べていたブドウを一粒摘まみ、ぱくりと食べる。


「でも、確かにこれは美味しくて――……。ついつい食べ過ぎてしまうわね」


 ミリィの微笑む仕草をみたライが顔をポカーンとさせていた。


「いつもの小言が……ない……だと。どした、ミリィ……。なんか変なのでも食ったか?」

「……ライ、一言余計よ?」


 ジト目で睨むミリィに、ライはたじたじだ。


「いやいやいや、だって、なぁ? アリサもそう思うだろ?」

「ら、ライ姉さんっっ」


 急に答えづらいことを聞かれたアリサはわたわたし始めた。

 ミリィは軽く頬を膨らませている。


「えっと、あの、そんなことっ。……あれ? ミリィ姉さん、なんか良いことありました?」


 ミリィのいつもと違う雰囲気を感じ取ったのか、アリサは首を傾げる。


「ん? そう見える?」

「え、ええ。いつもより雰囲気が柔らかいというか……」


 アリサがそう言うと、ミリィは目を閉じ「ふっ」と笑う。


「そうね。あったわね――」


 アリサは「え、えっ、え?」と言いながら俺とミリィの顔を交互に見つめてきた。


 いやいやいや、俺何にもしてないよ!?


「あうあうあうあ」


 そんなアリサの仕草を見てミリィは――。


「林太郎がね、アリサの事……凄ーーーーく気になっているみたいで、何かしてあげたいって言ってたの。アリサのお姉さんとしては、嬉しく思えてね。ただ、それだけよ」


 悪戯っぽく笑いながらミリィはアリサの頬を人差し指で突く。


「へっ?」


 急にそんなことを言われたアリサはポカーンとした表情をしながら、俺を見つめてきてその顔を徐々に赤らめていった。


「はわっ、はわわわわわっ!」


 顔を真っ赤にしたアリサは「ぴゃー!」と言いながら両手で顔を隠してしまった。


 ぐっ、確かにそう言ったけれども、誇張されてないか!?


 どう対応しようか迷っていると、リユがミリィの手を引いていた。


「ミリィお姉ちゃん、リユはー?」

「ふふ、リユの事も気にかけてたわよ」

「じゃー、ミリィ姉ちゃんとライ姉ちゃんはー?」

「そうね。私たちの事も気にかけてくれてたわ。村の皆が幸せに暮らせるようにって」


 ミリィがリユの頭を優しく撫でる。


「わふー! 皆お揃いー!」


 リユがピョンピョン飛んでいる横で、アリサが顔をあげた。


「そ、そそそそそうですよね。林太郎さん優しいから村全体の事を考えてくれてたんですよねっ! はー、びっくりした」


 胸に手を当て、「ふー」と息を吐くアリサ。そんなアリサにミリィは近づき耳元で何かを囁いた。

 すると、アリサの顔が「ボンっ!」と音が聞こえてくる言うな感じで、顔がまた赤くなった。


 何を吹き込んでいるんだミリィ……。


 そして何故かアリサ達から離れた所で、ライは腕を組みながらドヤ顔でウンウン頷いていた。

挿絵(By みてみん)


 その隣にはお婆さんがほっこり顔。


 もう何も言うまい……。


 沈みゆく夕日の中、俺は空を仰いだ――。 

 

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