16.くだものがいーっぱい ★
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『管理ツールアプリ』の中からゲーム『農業を経営しよう』を起動し、果物系の作物をピックアップしていく。
『みかん』、『リンゴ』、『梨』、『柿』、『桃』、『キウイ』、『サクランボ』、『ラズベリー』、『ブラックベリー』、『ブルーベリー』……etc
あれ? 『苺』が果物カテゴリーにないな……。
野菜カテゴリーを確認してみたら『苺』が入っていた。
あ、そうか。草本性だからか。何気にこのアプリ細かいんだっけ。
久しぶりに起動すると忘れていることもあるな。
とりあえず沢山ある中でリユご所望の『みかんの木』をタップする。
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アイテム名:みかんの木(異世界仕様)
ランク :『 N 』
説明 :
糖度高めのみかん。
柔らかい果肉は頬っぺたが蕩けるほど美味い。
果実を採取しても次の日には新しいみかんが実る。
季節に左右されないうえに、品質はランクA。
凍らせても美味しいみかん。
効果:MP上限UP+10(一時間)
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アイテムの説明文を読んでびっくりする。
次の日にはまた実るって……、いつでも食えるってことじゃん……。
え、もしかして他のも?
他の果物を確認していくと、同じような効果があった。要するに、色んな種類の果物が一年中食べれるってことだ。
俺はリユを見る。尻尾を振ってワクワクしているな。
ちょっと驚かせてやるか。
「アリサ、ちょっとリユの目を両手で隠してくれない?」
「へ?」
ちょっと意地悪な笑みを浮かべると、アリサは察してくれたのかリユの背後に回りしゃがむ。
「わふ?」
「リユ、林太郎さんがリユを驚かせたいんだって」
アリサはリユに優しく話しかけると、そっとリユの両目を手で覆い隠した。
「うー、リンタロー?」
不安そうなリユに声に苦笑する。
「ちょっと待っててな」
『アプリ』の中から果物がなる木を何種類も選んで具現化、設置していくとライ達が感嘆の声をあげた。
「おー! 見たことのない果物が結構あるなー!」
「ライ、ネタバレはダメよ? 林太郎はリユに喜んでもらいたくてワザと目隠しさせてるんだから」
ミリィは俺の考えを察してくれたのか、小声でライに釘を刺していた。
「っと、そうだった。わりぃわぃ」
どんどん具現化させていく。空間がガラスのように青白く光り弾ける光栄は、見ていて気持ちがいい。
「よし、こんなもんか」
俺はアリサに目で合図する。
「リユ、終わったみたいだから目隠し止めるね」
そっと、アリサが手を退かすとリユがゆっくりと目を開けた。
その光景をみたリユは驚きの顔をした。
「わ、わ、わっ、わふっ!! しゅ、しゅごいー!!」
様々な果物の種類にリユは大喜び。両手を上げてぴょんぴょん跳ねている。
「リンタロー、食べもいいー?」
「いいぞ」
「わふー! お姉ちゃん、いこー! あれとってあれー!」
リユはアリサの手を引いて『みかんの木』の前に向かっていった。2人の「甘くておいしー!」という声が聞こえてくる。
ライも『ラズベリーの木』に近寄り一粒摘まむ。
「これ、ベリーじゃねーか。森の奥に生息しているんだよな。どれどれ、ぱくっ! くー、酸味がきくぅ! たまんねぇ! お、こっちは黒いベリー? ぱくっ、あ、甘っ! 甘いぞこれ」
「ライ姉ちゃん、これ、はいどうぞ! あーん」
「お、見たことない果物だな? あーん、甘い! もぐもぐ、よし、リユにはこれを揚げよう」
「あーん、……しゅっぱいっ!!」
「わははは、ラズベリーは酸っぱいんよー」
「ら、ライ姉さんっ」
あいつはおっさんか。
3人の笑い声が風に乗って聞こえてくる。
「ふふ」
風に吹かれミリィの髪が靡く――。
「どうした? ミリィは食べないのか?」
ミリィ一人だけは俺の傍でみんなの事を見つめていた。
その目は優し目をしている。
「こうして、アリサが元気になって、皆と一緒に笑いあってるのって久しぶりなのよ」
「ほんに、林太郎さんには感謝しかないわ」
後ろの方の岩に腰かけていたお婆さんが立ち上がって近寄ってくる。
「ええ、そうね。良かったわね、お婆ちゃん」
優しい時間に、俺は暫く無言でアリサ達を眺めていた――。




