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ノーライフ・ライフ  作者: 黒留ハガネ
三章 魔力の深奥
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十七話 西方諸島


 ヌラァフ大陸に一区切りをつけた俺は西方諸島の探索に乗り出した。

 西方諸島はその名の通りマホウ大陸の西方に位置する群島だ。イメージとしてはハワイかガラパゴス、マダガスカルだろうか。もっと北にあるのだが。粘性の低い溶岩によって隆起してできた島々は海抜が低く、植生は四季があるため多種多様。大型の肉食動物が存在せず、生物の楽園になっている。鳥類を筆頭に、ペンギンも陸亀も猿も昆虫もこれでもかと溢れている。

 その種々様々な動物の中でも特に異彩を放っているのが海の生き物――――具体的に言うと水棲の竜だ。

 外見的には凡そフタバスズキリュウを想像すれば合致するだろう。体色はくすんだ青で、イルカのような滑らかな肌に、長い首。手足はヒレ状になっていて、尻尾がある。体長は三メートル半にもなり、首の長さを含めれば優に五メートルを超える。

 うむ! 新しいドラゴンだ! ヒャア! 我慢できねえ! 命名だあ!

 折角ファンタジーな世界なのだからファンタジーなネーミングをしたい所だが、今回は少し迷った。俺の中のイメージだと空を飛ぶドラゴン=ワイバーン、二足歩行で地を駆けるドラゴン=ドレイク、七つの玉を集めると願いを叶えてくれるアレ=ナーガ、ナーガから手足をとった水中版=サーペントだ。フタバスズキリュウっぽいドラゴンの分類は無い。

 仕方が無いから近い名前で「ネッシイ」と命名しておいた。ふはははは、この世界では俺がスタンダードだ。

 西方諸島の島々の海岸は浸食されて広々とした砂浜になっていて、沿岸部には浅瀬が広がり、コンブのような海草が繁茂して森をつくっている。ネッシイはこの海草を好んで食べる。海草は西方諸島近海にしか生えていないため、別の海に生息域を広げようとする事はない。

 ネッシイは専ら浅瀬で活動し、砂浜に上がって休憩したり、産卵したりする。皮膚は分厚く弾力があるため容易に貫けず、ネッシイを襲う肉食動物はいない。ネッシイの気性も穏やかなので闘争は起きない。爪も角も牙も無いから闘争しようにも体当たりぐらいしかできなさそうだが。魔力覚醒もしてないし。

 西方諸島に脅威となる知的生命体も動物も存在しないと分かると、シルフィアはリゾート地の開発を提案してきた。たまには閉塞感のある森から出て太陽の下で水遊びをしたいとかどうとかこうとか。

 まあヴァンパイアであるシルフィアはマホウ大陸の砂浜でおおっぴらにビーチバレーするわけにもいかんし、ヌラァフ大陸のビーチを借りるとまたヌラァフと交渉しなければならない。無人島を丸ごとリゾート地にしてしまうのは悪く無い。

 そんな訳でリゾート開発を始めた。と言っても自然を壊す事はしない。海岸近くの森を最低限に切り拓き、ログハウスを数軒立て、森の泉からタキオンを動力にした水車で水をくみ上げてログハウスまで送る。木材の乾燥のためにとった時間や開拓地の選定などにとった時間も含めて一ヶ月。リゾート地が完成する。

「うおおおおお広いなあ!」

「うわああああ広いです!」

 早速ワイバーンに乗ってやってきたシルフィアとエルマーが歓声を上げる。シルフィアは純白のワンピースに麦わら帽、エルマーはハーフパンツ一丁だ。燦々と照りつける陽光の下、砂浜に駆け出すヴァンパイア二人。

「ははは待て待てー」

「うふふふふ捕まえてみてくださいエルマー♪」

 こんなベタな光景はじめて見た。ある意味ファンタジー。

 キャッキャウフフしはじめたカップルを尻目に、砂浜から小さな入り江に移動する。そこには三頭のネッシイがいて、ビキニ姿のロザリーの調教を受けていた。

「は~いサーブ!」

「キュー!」

「ほ~いトース!」

「キュアーウ!」

「そ~れアタック!」

「キュ!」

 砂浜のロザリーと浅瀬のネッシイ三頭でバレーをしている。ネッシイは鼻先で器用に返球していた。調教というか単に遊んでいるだけのようだが、親交を深めるという意味では立派な調教、だと思う。

 ネッシイは知能が高く人懐っこく、簡単なものならゲームのルールを理解するだけの知能がある。満月の夜は月に向かってキューキュー鳴いて合唱するぐらいだから、歌も理解しているのだろう。イルカより賢いかも知れない。

「よーしよしよしよしよしよし良い子だ~」

 ロザリーは見事な連携プレーを見せたネッシイ達の首に手を回し、撫で回す。ネッシイは嬉しそうにピスピスと鼻を鳴らしている。

「ロザリー、調教は順調か?」

「お~、ちわ~すロバさん。順調も順調、見てくださいよこれ。点呼ッ!」

「キャ!」

「キュ!」

「キョ!」

 ロザリーの掛け声に合わせてネッシイが端から順に鋭く鳴いた。す、すげえ。

「ひぎぃでらめぇになる日も近い!」

「いやそっちの調教はしなくていい」

「冗談です。あ、この子達には名前もつけたんですよ~」

「ほー……なんて?」

「キューベー、キューカンバー、キューキューシャです」

「おまっ」

 相変わらずのネーミングセンス。いや好きにすりゃいいんだけどさ。調教についてはロザリーに一任してるから。俺では実体が無いのでネッシイに認識してもらえず、調教もできない。

 調教の目標としてはまずネッシイショーの実現を掲げている。イルカショーみたいなもんだ。ネッシイとしてはどうやら友達と遊んでいる感覚のようで、檻や囲いの中に閉じ込めている訳でもないし、調教やショーとは実際には違うのだろうが、まーネッシイと戯れたり芸を見せてもらったりできるのだから事実上ネッシイショーだ。

 またネッシイショーと多少被るが、海運への利用も視野にいれている。背中に鞍をつけて乗せてもらったり、ロープで船を牽引してもらったり。ネッシイは30km/hで泳ぐのでそれなりに速い。

 精霊の個体間で魔法を使い転送すれば海運なんぞ使わずとも一瞬で距離に関係なく輸送できるのだが、特にマホウ大陸ではおおっぴらにポンポン転送魔法を使う訳にもいかない訳で。ニッチに食い込む形で使い道がある、かも。

 ゾンビ化しなければ食事が必要だし、その食事も西方諸島に生える海草でないと食べようとしないので調達が面倒。ゾンビ化すれば全て解決するとも言えるが(個体数は十万体を優に越えているため数を揃えるのは簡単)、どうだろうな。当分は遊覧航海ぐらいになりそうだ。



 短ぁぁぁい! でも西方諸島はあんまり書くことないんだ。ネッシイを出せただけで満足(*´ω`*)

 次話からは東の大陸の話。こっちは一話~三話ぐらいか。


 感想で色々質問が寄せられます。いずれ明らかになる事についての質問の解答は本編で書きますし、作者が失念していた重要な部分の質問への解答も本編に盛り込みますが、話の展開上さして重要でなく、でも気になる質問というものがあります。そういった質問の解答を本編に混ぜるのがちょっと大変。話の流れがギクシャクしたり急に数歩下がったり。という事でそういった質問については【既出設定集】に【Q&A】を設けて対応したいと思います。

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