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【書籍版6巻発売中!】怪物たちを統べるモノ ~能力『プレイヤー』使いは最強パーティーで無双する!~【コミカライズ2巻発売中!】  作者: Sin Guilty
第四章 『虚ろの魔王』編 前半

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第229話 『休暇の終わり』②

「この島への『転移門(ゲート)』の設置はすでに完了している。いつでもいけるぞ」


 『妖精王(アイナノア)』が解放されたことにより復活した『世界樹』の()を利用した、大陸中への『転移門(ゲート)』の設置。

 それは『解放者(リベルタ・ドーレス)』専属兵器開発廠総責任者、ガウェイン・バッカスの重要任務の一つである。


 世界中に張り巡らされている、魔力の動脈とも言える『竜脈』


 その結節点、鉄道でいえば駅のような役目をしている『竜穴』はいくつも存在しており、『全竜(ルーナ)』と『妖精王(アイナノア)』が揃ったことによって、ソル一党はそれを利用した他地域へのいわば瞬間移動を可能としている。


 つまりはそれを可能とする『竜穴』を任意の位置へ人工的に創り上げたものをさして、『転移門(ゲート)』とソルたちが名付けたのだ。


 その存在はソルの味方でさえあれば、知っている者の数もすでにそれなりに存在している。


 すでに設置されている『転移門(ゲート)』の数もエメリア王国王都、ガルレージュ城塞都市、妖精族(エルフ)の森、聖都アドラティオの4つに続き、今回ソルの『飛び地』となった|ティア・サンジェルクここに設置されたことによって5つ目となった。


 だがその稼働は『全竜(ルーナ)』と『妖精王(アイナノア)』が揃っていなければ不可能であり、つまりそれはソルにしか使えないということでもある。


 将来的には間違いなく物流革命を起こすだけのシステムではあるが、今のところソルは便利に自分たちが移動する手段にしか使うつもりはないらしい。


 今回はフレデリカが最初の予定として告げた通り、この島へ大陸中から解放した少数種族――亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)の代表たちを招集するために稼働させるつもりなのだ。


「冒険者ギルドへの亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)たちの登録は問題なく完了している。ただし今のところは、従来の迷宮(ダンジョン)魔物支配領域(テリトリー)での依頼(クエスト)正式任務(ミッション)の遂行は遠慮してもらっている状況だな」


 冒険者ギルド総長であるスティーヴが、その亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)たちの現状を端的にソルへと報告した。


 これからここへ転移させられる代表者たちは今、ガルレージュ城塞都市の『転移門(ゲート)』の前に揃っている手はずになっている。

 大陸中に小規模に存続しているそれぞれの里へすぐには戻れない、解放された亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)たちは、今のところ冒険者ギルド預かりのカタチで城塞都市ガルレージュで保護されている状況だ。


 差別意識が皆無とまでは言えないが比較的リベラルなエメリア王国領、しかもソルのお膝元と見做されており、亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)の解放はそのソルの意志によるものだと公表されているので、もっとも暮らしやすい場所であることは確かだろう。


 日常的にソルが『全竜(ルーナ)』と『妖精王(アイナノア)』を常に連れているところを目の当たりにもしているので、わざわざ表立って亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)を悪く言おうとする者の絶対数がそもそも少ないし、内心どう思っていてもそれをわざわざ態度に出すようなバカはいないのだ。


 とはいえ、いつまでもそのままというわけにもいかない。

 

 千年にも及ぶ不当な扱いへの補償はあらゆる意味でもちろん実行するのは大前提だが、亜人種(デミ・ヒューム)、や獣人種(セリアンスロープ)たちも、自らが働いて食っていける状況を構築する必要がある。


 そういう意味では冒険者として登録し、依頼(クエスト)正式任務(ミッション)をこなしてもらうのは、当面を凌ぐ手段としてはそう悪くないもののはずだ。


 だがスティーヴは冒険者としての登録は完了させながらも、今のところ依頼(クエスト)正式任務(ミッション)もあえて受けさせていないとソルへ報告しているのだ。


「それについては今日の顔合わせ以降、専用の迷宮(ダンジョン)を用意する予定です。いよいよ僕たち『解放者(リベルタ・ドーレス)』も本格稼働になりますね」

 

 その報告を受けたソルも、そのことを特に疑問には思っていないらしい。


 というかスティーヴがそうしている理由も理解しているからこそ、亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)専用の迷宮(ダンジョン)を準備しようとしているのだろう。


 そのためもあって、ここで今日代表者たちを顔を合わせようとしているのだ。


 実際、ソルとスティーヴだけではなく、フレデリカやリィン、ジュリアも人と亜人種(デミ・ヒューム)獣人種(セリアンスロープ)を同じ迷宮(ダンジョン)魔物支配領域(テリトリー)の攻略に向かわせないようにしようとする判断は妥当だと思っている。


 なぜならば今の彼らは、すでに人に比べて圧倒的な強者となっているからだ。


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