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【書籍版6巻発売中!】怪物たちを統べるモノ ~能力『プレイヤー』使いは最強パーティーで無双する!~【コミカライズ2巻発売中!】  作者: Sin Guilty
第四章 『虚ろの魔王』編 前半

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第218話 『真夏の休暇』⑧

「ルーナとアイナノアも似合っていると思うけど……なにか不満なの?」


「我と妖精王(アイナノア)のモノだけ、その……子供っぽくはないですか?」


 最後にルーナとアイナノア。


 ルーナは白、アイナノアは黒という、自身の肌の色とは逆の色をチョイスした、これもまたフレデリカとエリザのように揃いのデザインの水着に対しても、正直に可愛いと褒めるソル。

 だがルーナは他者に比べて子供っぽいと感じているようで、あからさまに不満顔である。


「……そんなことないよ。()()ルーナにとても似合っていると思う。成長した時には、また別の水着を着てみせてくれたらうれしいかな」


 一瞬の間が空いたことで、今のルーナとアイナノアの水着をソルも確かに「子供らしい」と見做していることは間違いなくバレた。

 流石に主と従僕とはいえど、ただの人が全竜に嘘をつきとおすことなどできはしないらしい。


「お約束します!」


 だがその後のフォローがルーナにはとても刺さったと見えて、あっさりと御機嫌である。


 ソルに竜種としての真名(マナ)を捧げ、忠実な従僕であることを喜びとしているルーナではあるが、それゆえにいまだにソルに捨てられることをなによりも恐れている。

 そのソルと将来――竜にとっては一瞬でも、人にとっては少女が大人になるまでの数年間――までを共にいる『約束』をもらえたことは、この上なく嬉しいことなのだ。


 これまでは隙あらば大人バージョンになろうとしていたルーナではあるが、この約束を得たことにより、今後自然に分身体が成長するのに任せようと心に思い定めている。

 うっかりもう一度あの夜の大人バージョンを見せたがために、今の約束が果たされた形になってしまってはたまったものではないからだ。


 一方、自分で口にした言葉で大人バージョンのルーナを思い出してしまったソルは、あの夜のルーナが、際どい水着を着ているところを想像してしまった。


 あまり締まりのよろしくないその表情を見てルーナはより御機嫌になるが、リィンはわかりやすく、フレデリカは変わらぬ笑顔で、エリザは少し寂しそうに不満を表明している。

 笑いを堪えるのに必死になっているのはジュリア1人だけである。


 すぐ側に生身の女として居ながらにして、今はまだ非実在の美女に負けていたのでは立つ瀬がないにも程があるので、さすがにこれは一方的にソルが悪いとしか言えまい。


「さて、私たちはすこし水辺で戯れてきますが、ソル様はごゆっくりなさっていてください。もちろん気が向いて、混ざってくださったらとても嬉しいです」


 掌をぽんと合わせながら、フレデリカがそう宣言する。


「……わかった」


「ではみなさま、参りましょう。ルーナ様、ダメです。女の子は全員参加です」


「いってらっしゃい」


「はい……」


 フレデリカの言葉で、ルーナとアイナノアも含めた女性陣全員が波打ち際へと移動する。

 フレデリカに笑顔でそう告げられ、無言で主に助けを求めたルーナではあるが、ソルにもそう言われてしまえば従うほかはない。


 まあソルの側にいたいというだけであり、水遊びが嫌いな竜種などいないのでそこまで苦というわけでもないのだが。


◇◆◇◆◇


「……で、ソル様よ」


「……なんでしょう」


 完全に女性陣が波打ち際まで移動し、そこで水遊びを始めるまで待ってから、ソルの背後でまるでそこにいないかのように気配を消して座っていた中年の男性が、ソルに声をかける。


 ジュリアがそう明言したとおり、確かに今この島に『男の子』はソル1人しかいない。

 ただし、『おっさん』と『おじいちゃん』はそれぞれ1人ずついたのである。


 超がつく美少女揃いのソル一党の女性陣から、すでに男性枠と見做されていないことが少々物悲しい2人である。

 「大人として信頼されているということですよ」というソルのフォローにも、いまだ現役の自負がある2人は素直に頷くことができないでいる。


「俺らも一応、忙しい身ではあるんですがね」


「わかっていますよ。だからこそ放っておいたら無理しすぎるお2人にもこの休暇への御同行をお願いしたんですから」


「儂は工房に戻りたい」


「ソル様よ。目の前に積み上げられた仕事から一時的に目を背けたところで、最終決裁者の立場で言わせてもらやぁ、仕事はへったりゃしねえんだが」


「そんなことはわかっています。でもだめです。お2人はこの休暇に強制参加です」


 冒険者ギルド現総長、スティーヴ・ナイマン。


 『解放者(リベルタ・ドーレス)』専属兵器開発廠総責任者、ガウェイン・バッカス。


 この2人は本人たちが口にしたとおりあまりにも多忙を極めているがゆえにこそ、心と身体を強制的にでも休める必要があると判断したソルの厳命により、この休暇へ強制参加させられていたのである。


 ちなみにもう1人ソルが誘っていた人物がいたのだが、その者は不参加となっている。

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