表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版6巻発売中!】怪物たちを統べるモノ ~能力『プレイヤー』使いは最強パーティーで無双する!~【コミカライズ2巻発売中!】  作者: Sin Guilty
第三章 『死せる神獣』編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/283

第108話 『固有№武装』②

「うわー」


「…………いいな」


 自分もこれ着なきゃダメなの? という表情を隠そうともしないジュリアはひいている。

 一方でリィンとフレデリカの充分に成長した女性らしい曲線を、衣装による誤魔化しや誇張なく目の当たりにしたエリザは自身のそれと比べて思わず本音を呟いてしまっている。


 目のやり場に困って泳がせている、ソルの様子を見てしまえばそうもなるだろう。

 自分の場合では、とてもソルにこんな「男の貌」をさせられないだろうと思うと少し寂しいのだ。


「人の雌はホントに躰の(ライン)が出るのを嫌うのじゃな。貧相ではないのだから堂々としておればよいのだ」


「♪~」


 一方でルーナは、リィンとフレデリカの二人がなにをそこまで恥ずかしがっているのかが分からないらしい。

 竜種であるからには、真躰(アウゴエイデス)の際は常に全裸が当たり前なので当然なのかもしれない。  

 実際、()では裸になりたいルーナなのだが、ソルからお叱りを受けるので我慢しているというのが現状なのである。


 それでも今の少女形態である分身体の控えめさと比べて「羨ましい」という思いはあるようで、素直にふんぞり返ればよいのにと思っているのだ。

 ソルを赤面させられるほどの()()()を自身が有しているのであれば、素直に誇ればよいのにといったところだろう。


 ルーナ自身はなぜかソルから一度見せた「成長形態」になることを固く禁じられているので、なおのことである。


 もちろんアイナノアはなんのことやら理解できていない。

 一度お留守番してからはルーナにくっついているのもお気に入りになったと見えて、今もルーナの浮かんでいる小躯に、自身も浮かんだままじゃれついては邪険にされている。


 そのやり取りが楽しいようで、最近は飽きもせずに繰り返しているのだが。


『某は一応雄なのですが、目を閉じておいたほうがよろしいでしょうか?』


「アヴはもう女性陣のアイドルだから、まあいいんじゃない?」


 邂逅以降、常にソルの足元に付いて回るようになった神獣アヴリールは、己が雄であることを気にしている。

 自分が助けを求めているソルの側付きの女性たち、そのあられもない姿を見てはいかんのではないかと要らん心労を抱えているのだ。


 だがアヴ――すでに定着した神獣の愛称――の女性陣における人気は絶大なものだ。

 隙あらば抱っこをしたがるし、フレデリカやジュリアなどはなにがいいのかソルにもアヴにも理解できないが、許可があれば吸いさえするのだ。


 人間の男であればともかく、アヴがこの場にいることに羞恥を覚えることはないだろう。

 まあいかに人語を解するとはいえ、人の女性が小動物の雄を前にして恥じらいを覚えるという感覚は、この千年で完全に消滅している。

 獣人種(セリアンスロープ)が数多く存在していた千年前であれば、魔獣側はともかく人側には羞恥があるのも当然だったのだ。


 その時代を知るアヴにしてみれば自身も立派な雄であり、獣人族の守護神もやっているからには人の女性たちから「可愛い」扱いされていることには忸怩たる思いはあるらしい。


『御身がそう仰られるのであれば、某はなにも言うことはございませんが』


 己が主と仰ぐことになる相手に、同じ男――雄として扱ってもらえていないのは少々物悲しいが、自身の真躰(アウゴエイデス)を取り返すまでは愛玩動物(ペット)扱いもやむなしと割り切ったらしい。


「心配しなくてもそれは基礎装備ってぇやつだ。そいつに()()が完了したら、今までの自分たちの装備を着込んでくれてかまわねえ。その邪魔にならねえようにそのカタチになってんだ。苦労したんだぜ? そいつにゃちっと前の儂なら何のことやらわからんレベルの技術と素材がつぎ込まれてる。他意はねえぞ?」


 アヴとは別の意味で、爺は「男」扱いじゃねえんだな、とこちらも少々物悲しいガウェインが二人の羞恥装備についてきちんと説明する。


 冗談ではなくエロ装備として作ったわけではないのだ。

 結果としてエロ装備にもなってしまっただけで。


 通常時は今まで同じような魔導装備を身に付けて通常戦闘をこなせつつ、領域主級やそれ以上の強敵と接敵した際にはそれぞれの『固有№武装(ナンバーズ)』を召喚して使用可能とするための、文字通り基礎装備。


 それゆえに他の装備の自由度を最大限まで高めるために、まるでボディ・ペイントのような魔導基礎衣類(ファウンデーション)となったのだから。


 これから本当の魔導基礎衣類(ファウンデーション)の個人登録が始まるのである。


「うう……」


「そういうことでしたら」


 リィンもフレデリカもその説明を聞いたからとて恥ずかしいという気持ちが消えるはずもない。

 だがソルがそういう欲を持ったのであれば、いつでも部屋に呼べばそれで済む立場である。

 ガウェインについては言うまでもなく、ベストコンディションを保つために必要な寝る時間と喰う時間以外のすべてを『固有№武装(ナンバーズ)』製作につぎ込んでいることは二人も知っている。

 

 必要とされる性能を発揮するためであれば、少々の見た目のハシタナサなど、職人にとっては取るに足りないということもまあ理解はできる。

 それに日頃身に付けている肌着類よりも着心地はずっとよく、今のままでも寒くも暑くもなく調整されているので高性能な肌着だと思えば十分にアリなのだ。

 その恰好でソルの前に出なければいけないことに抵抗があるだけで。


 となれば意味はまだ理解できないまでも、さっさと「登録」とやらを完了させて、はやくいつもの装備に戻りたいところである。


初期登録イニシャル・レジストレーション稼働承認(アクティベート)をまずせにゃならんから勘弁してくれ。というわけでまず戦闘態勢になってくれ。あとはその魔導基礎衣類(ファウンデーション)が自動でやってくれる」


「やっぱり下着なのですね……」


 ガウェインが口にした単語に反応して、王族であるフレデリカはうなだれる。

 恥ずかしい云々もあるが、王族たる己が人前に下着姿を見せているのだという事実には、思うところもあるのだろう。


 だが今さら詮無いことでもあるので、素直にガウェインの指示に従う。


 すでにレベルが4桁に至っているリィンとフレデリカが戦闘態勢に移行すれば、膨大な内在魔力(インナー)が人としての器を上回って体外へと吹き上がる。


 それに反応した魔導基礎衣類(ファウンデーション)が自身の装着者の内在魔力(インナー)を記憶し、己を起動可能な内在魔力(インナー)を固定する。

 艶やかな漆黒の表面に何本もの魔導線が錯綜し、リィンとフレデリカでまったく違う幾何学模様と各所へのマークや細かい魔導文字による刻印が刻まれる。


 これで初期登録イニシャル・レジストレーションは完了した。

 以降、別人がこの魔導基礎衣類(ファウンデーション)を身に付けたとしても、すべての機能は封印され起動することはなくなったのだ。


 リィンとフレデリカ、それぞれの専用装備になったわけである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 体のラインがわかるほどならその上から装備等つけられるんじゃないの?装備が付けられないなら普段着なら問題ないんじゃ?
[一言] 普段着と一緒にできるなら暗殺対策にもなるか… おぬこ様カワイソ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ