第38話 再会
怪獣に戻ったことで、また平穏な日々を過ごすことになった。人間生活は刺激が強かったが、少し俺には荷が重かったので今の暮らしが身分相応なのだと改めて感じた。
「よっこいしょ…と」
座り込んだだけで木々がメキメキと音を立てて倒れる。あーこの感じ懐かしいなぁ。人間とは少し距離を置こう。結構散々だったし、しばらくは1人で過ごしたいからな。
ぐぅー
俺の心の声をかき消すように、腹が鳴った。そうか、今朝から何も食べてなかったな。地球にも俺の腹を満たすものはある。基本は木をかじって食べているが、さすがに飽きてくる。
今日くらいは美味しいものを食べに行こうか。俺は川へと向かった。
「ほいさっ」
川の水面をひとさらいするだけで多くの魚が浮かんできた。俺はそれをまとめて口へ入れた。少し生臭いけどやっぱり美味いな。一通り食べ終わって立とうとすると、また同じ音が聞こえた。
ぐぅー
あれ、まだ腹減ってたか?いや、でも今の音は…
音がする方を見ると、何かが茂みに隠れるのが見えた。俺が草をどけると
「ひっ…命だけは助けてください!!」
男が1人転がっていた。俺は食べ損ねた魚が一匹落ちているのを見つけたので、そいつにあげた。
「あ……ありがとうございます……」
その男は最初こそビビっていたものの、すぐにがっついた。俺も驚くほどのスピードで食べたのは、よっぽど腹が減っていたことだろう。
「あの、助けていただきありがとうございました」
ついこの前まで人間だったので、言葉ははっきりとわかる。もちろん俺は話せないのでギューと鳴くしかないが。
それよりも、俺には気になることがあった。人間時代の俺と今目の前にいるそいつは、全く同じ顔をしていたのだ。
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