第34話 久々の会話はトップランカー
いつものように配信を終えると、チャットが1件入っていることに気づいた。知らないアカウントだが、その画像には見覚えがある。
『初めまして! てぃもきです!』
嘘だろ…俺はそのメッセージを見た瞬間手が震えた。スマホを落としそうになるのをなんとか阻止して、もう一度文面を読み返す。
内容はコラボ企画についてだった。いや、しかし…本物とは限らない。公式のアカウントだが、もしかしたら誰かが乗っ取っているのかもしれない。
俺はパソコンで、すぐにてぃもきの配信へと向かった。ちょうど配信が始まったばかりで、てぃもきとリスナーが挨拶を交わしている最中だった。
『あ、ジャックさんこんにちは!』
俺が入ると、すぐにてぃもきは気づいてくれた。俺もこの界隈じゃ名をはせるようになったので、数人のリスナーが騒いでくれたこともあるだろう。
『メールの返事よろしくね!ゆっくりしていってねー』
やっぱり本物だった…俺はすぐに配信を抜け(失礼)、チャットに返信をした。返事が返ってくるのは彼の配信が終わってからだろうが、体が熱くなるのが分かった。恋ではない。
翌日、てぃもきから返事が来ていた。より詳しい企画を決めるためにオンライン会議しようというものだった。
基本的にVtuber同士、直接会うことはない。しかしアバターを通してでも、彼のカリスマ性や熱意は伝わってきた。流石Vtuberランキングのトップランカーだ。彼を知ることでいつか超えられたらいいな、と密かに思いつつ、俺は会議に臨んだ。
『じゃあこういう感じでやっていきましょう』
無事に会議が終わり、後は本番を残すまでとなった。久々に人と話したな。ボランティアをやめてから、話すのは家にいる吾郎ぐらいだった。画面越しとはいえてぃもきと話せたことに感動する。
それと同時に、なぜか頭の中には過去の記憶が遡ってきた。皆と話した記憶が。
あれ、俺なんで人間になってたんだっけ?
更新が遅れて申し訳ございません!YouTubeの方が忙しく中々できずにいました...慣れてきたのでこちらもまた更新していきます!お楽しみに!




