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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
二章 星の代理戦争 後編

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八十七話 リーダー

 比賀は他の仲間より比較的話しやすかったのか、光葵と話をすることが多かった。


「修行時の動きを見ていて思ったんだけど、日下部は空手か何かしているのか?」


 比賀が光葵の目を見て尋ねる。


「よく分かりましたね。空手の黒帯持ってます。多分、比賀さんも武術経験者ですよね?」


 光葵からも問いを投げる。


「柔道黒帯を持っている。私は元刑事なんだ。今はプラプラ仕事してるけどね」


 比賀は少し明るく笑う。


「そうなんですね。……聞いていいことか分からないけど、なんで刑事辞めちゃったんですか?」


 光葵は少し迷いつつも、素直に気になったことを尋ねる。


「ああ~まあ、上層部と揉めてね……。犯人を追い詰めるために命令違反とか、行き過ぎたことしてしまってな……。結局刑事続けれずに辞めた」


 比賀はどこかさっぱりとした言い方をする。


「……そうですか。比賀さん元刑事だったら、銃使えますよね?」


 光葵はそう言い、《生成魔法》でサプレッサー付きの自動拳銃と、弾倉マガジンを生成して手渡す。


「あんた、こんなこともできるんだな……。正直驚いたよ」


 比賀はそう言い、一式を受け取る。


「この戦いは『戦争』です。使えるものは使って生き抜く。仲間は何がなんでも守る。そう決めたので……」


 光葵は語気を強める。


「フッ。相当覚悟決めてるね。あんたみたいな頼りになるリーダーがいるのは、私にとっても、他のみんなにとっても頼もしいよ」


 比賀は自動拳銃をいじりながら、言葉にする。


「え? リーダー……?」


 光葵は思わず言葉を返す。


「ん……? 逆に、日下部がリーダーじゃないのか? みんなの話を聞いていても、中心になって行動を起こしているのは日下部という印象だったぞ」


 比賀は真っ直ぐ光葵を見る。


「う~ん。俺がリーダーか……。あまり意識したこともなかったな。一応全員で物事は決めるようにしてますけどね……」


 光葵は今までリーダーが誰かなど意識したことがなかったため、戸惑いの感情が心の底からじわじわと湧いてくる。


「それでも、あんたが全員の支柱になってるのはたしかだと思うぞ。あ……これは責任を感じてほしいという意味じゃないからな。私がこの中で最年長だ。私にも頼ってほしい。それが伝えたかったんだ」


 比賀は一瞬焦りながら話す。


「全員の支柱……。なれてるといいな……。あと、比賀さん、気遣ってくださってありがとうございます。俺もみんなを頼りにしてるので、比賀さんがそこに加わってくれれば、すごく頼もしいです!」


 光葵は比賀の言葉を受けて、全員の支柱になっていきたいと強く感じた。

 今まではただ、みんなを守りたいと思っていた。

 でもこれからは、守るだけではない、みんなの盾となり、心の拠り所となり、様々な面でみんなを支えていきたい……。


「日下部……。あんたは良いリーダーになれると思うよ。私も役に立てるように頑張る。これからよろしくな」


 比賀が拳を光葵の方に向ける。


 拳に応えるように、光葵は比賀と拳を合わせる――。


 ◇◇◇


 六日目。


 傷が全員回復したため、今後の行動を相談していた。


「すまねぇ。腕の完全回復までに時間かかっちまった。比賀さんも回復したみたいだし、今後の動き決めないとだよな」


 頂川が両腕を上げて動けることをみんなに見せる。


「治ってよかったよ! 比賀さんも回復してよかった……!」


 朱音が明るい声を出す。


「そうだな。仲間探しと索敵をしないとだな……」


 光葵は少し声色が暗くなってしまう。


「日下部……。ルナ姉と話しただろう。決断は汝だけの責任にはさせない。みんなで相談して決めることなんだ。汝だけで責任を感じるな」


 カイザーが光葵の目を見て言葉にする。


「……悪い。カイザー。みんなはどうすればいいと思う?」


 全員の方に目を向ける。


 光葵の意見に賛成だとの声が返ってくる。


 ――二人を除いて……。


「日下部……綾島さんはルナ姉の件でかなりショックを受けてる。俺から話し出しておいて悪ぃが、俺と綾島さんはアジトで待機でもいいか?」


 頂川の声には優しさを感じる。


「大丈夫だ。むしろ、綾島さんの心まで考えれてなくてごめん。四人で動こう」


 光葵は頂川の提案を素直に受け入れる。


「……ごめんね。みんな……。私……」


 綾島はそれ以上声を出せない様子だ……。


「……綾島さんの気持ちは分かる。今は休んで……」


 朱音がそっと声を掛ける。


 その後、光葵達四人は外出して行動することになった。


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