八十話 頂川救出作戦②
「オーケー! 私は焔で一気に移動するから、ルナ姉も続いて! 《炎帝魔法――加速移動》……!」
朱音は加速移動しつつ、焔の矢を複数放ちながら、幸一郎との距離を詰めていく。
「近接戦ですか……」
幸一郎は焔の矢を転移返しで二本朱音に向けて放つ。
朱音は加速移動でそのまま焔の矢を避け、幸一郎に詰め寄る。
その刹那、幸一郎は〝片目を隠した〟かと思うと、一瞬でルナ姉の背後にワープした。
「まずはあなたから。《水製道具――洋剣》」ルナ姉の背中を水の洋剣が貫く――。
と思われた瞬間、ルナ姉は左右に二人〝分身〟した。
水の洋剣を躱しながら、二人のルナ姉は雷魔法を纏った拳を幸一郎の顔面に打ち込む。
幸一郎は咄嗟に「《水製道具――盾》」にて盾を両手に作る。
しかし、拳の勢いは殺しきれず、左右の顔面に拳がめり込む。
仮面が割れる高音が工場内に響く……。
「あはは……。やるねぇ」
額から血を流す、二十代程の優しげで眉目秀麗な青年が顔を出す。
「あら、イケメンねあなた……」
思わずルナ姉が言葉を零す。
「そりゃどうも。あなたも十分イケメンですよ。戦い方も美しい」
幸一郎は、お世辞ではない口調だ。
「さてと……」
そう呟くと、幸一郎は頂川、朱音のいる方を振り返り、片目を隠す。瞬間、朱音の真後ろにワープする。
「金髪の彼から離れてね~」
朱音が《炎帝魔法》を放とうとしている中、幸一郎は、朱音を包む程の大きさのワープホールを発生させた。
結果、〝ルナ姉二人〟の中央に朱音はワープさせられる。
発動途中だった、炎帝魔法は止めきれずにその場で暴発する。
爆音が鳴り響く……。
「ごめん。ルナ姉……。大丈夫?」
朱音が心配から、大きめの声を上げる。
「大丈夫よ! 私の《水魔法》である程度相殺したわ。それにイケメンちゃんの魔法の特徴も何となく分かったし」
ルナ姉二人は微笑む。
「特徴って?」
朱音は素朴な顔で尋ねる。
「手短に言うわね。おそらく『ワープ先は目に映る範囲に限られる』、『自分自身がワープする時は片目を隠す必要がある』。つまり、方向転換を伴うワープをするには『顔を動かす』必要があり、隙が生まれる。まあ、強力な魔法であるのは変わらないけどね」
ルナ姉が真剣な口調で話す。
「なるほど。頂川君から離すことにこだわらず、隙を作って倒しちゃう方がいいかも……?」
朱音はルナ姉から聞いた情報をもとに、戦い方を提案する。
「そうね。倒す気でいく方が戦いやすいと思うわ。私がイケメンちゃんのワープ先を限定する。そこを朱音ちゃんの一撃で倒して」――。
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