七十話 仲間との合流
改めて、朱音の父に、朱音に代理戦争で一緒に戦って欲しいと頼んだ。
「光葵君の目を見てたら分かるよ。いっぱい考えて出してくれた結論なんだろう。朱音のことを頼むね」
優しい言葉だが、娘を心配している気持ちも伝わってくる。
「はい。ありがとうございます。危ない時は俺が全力で朱音のことを守ります!」
「……そうか。うんうん。君なら安心して任せられるよ。朱音のことこれからもよろしくね」
朱音の父が三度うなずく。
「ちょっと! 何か思ってた感じと違うんだけど!」
顔を赤くした朱音が叫ぶ――。
◇◇◇
翌日の夕方。
光葵と朱音は頂川達のいるアジトに向かっていた。
頂川達には事前に、戻ることと仲間が増えることを伝えておいた。
光葵の家族には、しばらく友達の家にいさせてもらうことになったと伝えた。正直心配しているが、毎日連絡をくれるならそれでいいと言ってくれた。
◇◇◇
「光葵、仲間の所に連れて行ってくれるって話だけど、何人いるの?」
朱音が質問する。
「俺を含めて五人だな。朱音も入れると六人だ。そう考えるとかなり増えたな」
光葵は答えつつも、自分で少しばかり驚く。
そんなことを話しているうちにアジトに着いた。
全員に朱音のことを、いきさつも含めて紹介する。
みんなも自己紹介を返してくれる。
「日下部ちゃん。こんな可愛い子と知り合いなんて、隅に置けないわね」
ルナ姉がニコニコしながら、話し出す。
「いえいえ、そんな関係じゃないので……」
光葵は朱音と同時に焦りつつ否定する。
「あら、息もぴったりじゃない。お似合いだと思うけど?」
ルナ姉はどことなく嬉しそうだ。
「もう……からかわないでくださいよ。ルナ姉」
光葵は赤面しつつ答える。
「あと、気になってたんだけど、綾島さん雰囲気だいぶ変わった?」
光葵は綾島の方に目を向ける。
以前は前髪が長く顔が隠れていた。今は顔が見えている。目は細めで切れ長であり、ナチュラルメイクが目元の控えめな可愛らしさを引き立てている。後ろ髪等はロングのままだ。
「……ルナ姉にメイクと髪型変えてもらって」
綾島から少し恥ずかしそうに返答がある。
「うふふ、どう日下部ちゃん。似合ってるでしょ?」
ルナ姉が期待混じりの声で尋ねる。
「うん。よく似合ってて、可愛いよ」
光葵は素直に思ったことを伝える。
「えぇっと……。あ、ありがとう……日下部君」
綾島はそのまま部屋に帰っていく。
「あれ? まずいこと言ったかな」
光葵は頭をかく。
「光葵。本当、口上手くなったよね……」
朱音が光葵の脇腹に軽く肘を入れる。
「何すんだよ朱音」
「別に~?」
朱音は更にグリグリと肘を押しつけてくる。
「うふふ。今のは嬉しさ半分、恥ずかしさ半分ってところよ。綾島ちゃんは恥ずかしがり屋さんなところがあるから、二人ともまた声掛けてあげてね」
ルナ姉は柔和な笑みを浮かべる。
「私も仲良くなりたいので話したいです。皆さんもこれからよろしくお願いします!」
朱音が元気に挨拶する。
それから四日間はみんなで話したり、修行をしたりして過ごした――。




