六十八話 闇魔法と光魔法
「朱音の魔法で氷壁溶かされないように補強してみるな。《合成魔法》《氷魔法×闇魔法――氷黒壁》」
これは氷壁に闇魔法を霧状に纏わせたものだ。
「なんかすごそう!」
朱音はそう言い右手を前にかざし《炎帝魔法――焔の魔球》を放つ。
闇魔法が焔の魔球の威力を殺しつつ、そのまま衝突する。
爆音を立てて氷壁は弾け飛ぶ。
「やっぱり朱音の魔法は威力があるな。相当マナ込めたんだけどな……」
正直驚きが大きい。
「いやいや、前よりずっと強固になってると思うよ。というか、あの闇魔法って何なの?」
朱音が疑問符を浮かべながら問いかける。
「そういえば、俺の魔法の説明してなかったな。闇魔法の主の能力は『侵食と破壊』なんだ。副次的な能力もあって、『意識の混濁、自由を奪う』などがある。今さっきの氷壁には、闇魔法の『浸食と破壊』の力を『防御』として使ったんだ」
「へ~! そんな使い方もできるんだね! 闇だからなのか霧状で使い勝手も良さそう!」
朱音は興味津々に聞いている。
「そうそう。基本形態が『霧状』だから使いやすいんだよな。凝縮して『固体化』もできる」
「なるほど。良い魔法だね! 逆に光魔法とかもあるの?」
朱音は素朴な疑問を投げかけている様子だ。
「あるよ。光魔法の主の能力は『浄化と消去』。副次的な能力として『意識の覚醒、除去』などがある。毒の除去も可能だ。闇魔法と光魔法の大きな違いは『破壊する』のか『消し去って無にする』かなんだ」
光葵は以前に、綾島から教えてもらった特徴を朱音に伝える。
「魔法の種類一つでもかなり色々違いがあるんだね」
朱音は素直に驚いた様子だ。
「実は俺も覚えるまで何回も仲間に教えてもらったよ」
光葵は自然と微笑む。
「俺の使える魔法も伝えるな。火、風、氷、闇、回復、プロテクト、身体強化、生成魔法だ」
自分でも思う。こうして挙げると、かなりの数の魔法を使えるようになっている。
「たくさんあるんだね。覚えれないよぉ……。一つ気になったんだけど生成魔法って?」
朱音が頭を抱えた後に尋ねる。
「一応伝えただけだし、覚えないでも大丈夫。生成魔法は……」
つい間が空いてしまう。
「こんな感じで物を生成できるんだ」
そう言い、左手を青白く光らせ、少しずつ形を成していく……。
正直この魔法には悪い思い出しかない。だが、生き抜くためには魔法は複数必要だ……。
「おお~、何かが作られてる?」
朱音は近づいて来て、生成されていく過程を興味深げに見ている。
〝催涙スプレー〟ができるまでに一分ほど時間がかかった。
思いのほか時間がかかったな……。
生成した催涙スプレーを朱音に渡す。
「これ朱音が持っておいた方がいいと思う。悪い奴がいた時にも使えるだろうし」
「催涙スプレーだよね? こんなこともできるの? 魔法ってすごいね。ありがとね、光葵!」
朱音は嬉しそうに催涙スプレーを構えてみせる。
「はは。まあ、元々俺の魔法じゃないんだけどな。使える魔法は使わせてもらう……」
生成魔法は漆原から奪った時点で生成したことのあるものは〝光葵に知識がなくても〟生成できた。
その数を考えると怒りすら感じたが、戦いをする上では有利だろう――。
こうした日々を送りながら、約束していた一週間となった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




