三十四話 獣との激戦
光葵が先手を打ち、氷の矢を放つ。それを男は躱し、毒の泥を光葵目掛けて〝広範囲〟に振り撒く。
光葵は毒の泥が当たらない位置に下がる。地面が溶ける音が聞こえてくる。
あんなもん当たればプロテクト魔法も溶かしそうだな……。
(みっちゃん。氷魔法主体で戦う方が相性いいと思う。氷を纏うこととかできそう?)
影慈の声が聞こえてくる。
「プロテクト魔法みたいに身体全体は難しいが、部分的ならできそうだ。やってみる!」
光葵は手早く答える。
「《氷魔法――アイスグローブ》……!」
両手に氷魔法で、ボクシンググローブのような形のグローブを創出する。
自分の魔法だからか、冷たさはさほど感じない。
「行くぞ!」
光葵は再度詰め寄る。ただし、毒を防ぐために氷魔法を主に使いながらだ。
飛んでくる毒に対して、氷壁を創出したり、氷弾を撃ち込み相殺する。
「フンッ! やるな……」
男は最短距離で光葵の位置に来るために氷壁を一瞬で溶かす。
毒の強度も変えられるのか……。にしてもすごい溶解力だな。近づかれ過ぎると危険だ。
光葵は手を上げる動作と共に地面から複数の氷の槍を創出する。
「色んな芸当ができるんだなぁ!」
男はそう言いながら、男は構わず槍を蹴散らし向かってくる。
右腕の振りが見える。また毒を振り撒く気か……そう思った直後、男は左手に溜めていた毒を〝霧状〟にして噴射してきた。
思わぬ攻撃に防御が遅れる……。
まずい、毒を吸ってしまった。目、鼻、喉が焼き切れるように痛い……。呼吸もしづらい……。
右手の毒の攻撃までもらうと致命的だ……。
氷壁で自分を囲むか……? いや、その壁をも溶かして攻撃してくるだろう。だったら――。
緊急回避――自分の足元から氷柱を三メートル高速で創出する。結果、花火のように打ち上げられる。
この数秒の時間が欲しかったんだ……。
身体強化魔法で両目の血流を早める。
激痛が走るが、目にかかった毒を無理やり涙と共に排出する。
クソッ……。流石に無茶だったか、でも、だんだん視界がクリアになってきたぞ……。
「今度は大道芸か? 下りて来た所を狩ってやるよ……!」
男の声が聞こえてくる。
狩れるもんなら狩ってみろ……! 男はおそらく目が見えないと思っている。その隙を衝く。
――回復完了。男の挙動が確認できる。右手で光葵の顔を狙っている。あいつ殺す気か……?
だが関係ない。光葵は身を捻じり男の右手を躱し、後頭部にアイスグローブによる体重を乗せた一撃を叩き込む。
男が数メートル吹き飛ぶ。
光葵は受け身をとり、何とか着地し男を見る。
気絶しているのではないかと思っていたが、ゆらりと立ち上がっているのが目に入る。
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