表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
一章 星の代理戦争 前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/125

三十三話 獣のような男

 頂川と環、三人でチームを組んでから五日が経った。修行は順調だ。


 そして、連続殺人事件も漆原との戦闘以降起こっていない。このまま何も起こらなければいい……そう願う。


 光葵はいつもの修行場所に向かう。その途中で守護センサーが反応した。

 どっちサイドの参加者だ? もしくは頂川達か……?


 近づいてくる――そこに見えたのは、スキンヘッドで身長が二メートルはあると思われる、獣のような危険な雰囲気を纏う男だった。


「おいお前……あん時の奴か?」


 一言その男が話しかけてくる。


「お、おう。そうだ。あんたは一人か?」


 この男は倉知を殺害した男だ。警戒の意味も込めて尋ねる。


「そうだ。まあ、そもそも誰かと組むつもりもないけどな」


 男は淡々と答える。


「え? 組むつもりがないのか? 代理戦争は複数人が戦うものだ。チームを組んで戦う方が勝率はかなり上がると思うけど」


 光葵は思わず不思議そうな声で尋ねる。


「フンッ! 雑魚が増えても戦いにくくなるだけだ……」


 男はやや不機嫌に言葉を吐き捨てる。


「……たしかにあんた強そうだもんな」


 光葵は直感的に感じる。この人は仲間にしておく方がいい。

 倉知殺害の件で、一般人のモラルではないことはわかっている。それでも、この代理戦争を生き抜くには強い仲間が必要だ……。


「聞きたいんだけど、雑魚じゃなかったらチーム組んでくれるのか?」


 光葵は鋭く睨みを利かせて問う。


「……俺の足を引っ張らない奴だったらな……」


 男の獣のような眼光が鋭く光る。


「この辺りは人通りが少ない。もう少し広い所に移動して、一度手合わせしてくれないか?」


「……構わないぜ」




 人の滅多に来ない広場にて。


「じゃあ、ヤラせてもらう。勝利条件はどうする?」


 光葵が尋ねる。


「勝利条件なんてもんはない……俺を満足させられるかどうか。それだけだ」


「そうか、分かりやすくて助かるよ」


 あくまで、自分の方が格上って感じだな……。


「《身体強化×プロテクトフィジカル》……」


 まずは、相手の出方を見るために身体全体にプロテクトを纏わせてかつ、全身の筋肉を強化する。

 この男はどんな魔法を使うんだ……?


「……この間の礼みたいなもんだ。《召喚魔法》は使わないでおいてやるよ。まあ、フィジカルだけで押し負けるようじゃ、話にならんしな……。行くぞ……《身体強化》」


 男は上から目線で、ただし、一切の油断なく言葉を放つ。


 見ているだけで分かる。とんでもない身体能力と闘争心を持っている……。


 男が突撃してくる。凄まじい敏捷性だ。でも、ここはあえて引かない……!


 男のワンツーを躱す。一撃もらうだけでも致命傷になりそうだ。そのくらいの気迫がある。


「躱してばかりでは勝負にならんぞ」


 男のパンチからの組み立てで廻し蹴り、膝蹴りが放たれる。


 光葵はパンチと廻し蹴りは防御しつつ、膝蹴りは躱す。そして、肘打ちを脇腹に打ち込む。


「ガッ! 武術経験者か?」


 男は一瞬唸り声を上げるも、すぐに息を整える。


「空手をしている」


 光葵は短く返す。


「そうか……分かった。ここからは固有魔法も使いながら戦わせてもらう」


 男の両手から不気味な〝紫の泥状〟の何かが溢れてくる。滴り落ちる紫の泥はアスファルトを溶かしている。


「やけに不気味な魔法だな。毒魔法か?」


「そうだ。《毒魔法》だ。触れるとそれなりにダメージが出るぞ」


 ドスの利いた返答がある。


 〝それなり〟と口では言っているが、明らかに危険な物だと身体が警鐘を鳴らす。


「こちらも固有魔法を使わせてもらう」


 光葵はそう言い、互いにじりじりと距離を詰める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ