二十七話 容姿端麗な男――再戦
翌日、頂川にも昨日起きたことの詳細を伝え、引き続き男を捜索することとなった。
「連続殺人犯らしき奴の特徴も教えてもらったし、探して回るか!」
頂川が気合を入れる。
「そうだな。早いところ見つけ出そう。これ以上殺人なんて起こさせたくない……!」
――光葵達の決意とは裏腹にあの男の足取りは掴めないまま五日が経過してしまった。その間にも被害者は増えている。被害の合計は十六件。被害者は二十四人にまで増えていた。また、凶器は全て異なるという情報もあった――。
六日目。
夕方、人通りの少ない路地を頂川と歩いていると守護センサーが反応した。
「近くに参加者がいるみたいだ。頂川注意しながら行こう……」
光葵は静かに頂川に注意を促す。
反応のある方向へ歩いていく。大通りに出た所で〝奴〟に出会った。正確には〝奴ら〟だ。
「やっと出逢えたね! 逢えて嬉しいよ!」
爽やかな笑顔と共に透き通る声が聞こえる。
その声を聞き〝異常な嫌悪感〟を感じる。
「あれ? 君は嬉しくないのかな? きっと僕のことを探してくれてるものだと思ってたよ」
まるで恋愛漫画にでも出てくるような台詞をさらっと吐き出す。
「ああ、俺も嬉しいよ……。嬉し過ぎて反吐が出そうだぜ」
光葵は怒りで顔を引きつらせる。
「あはは! 随分なご挨拶だね」
「おい、日下部。こいつお前が言ってた……」
頂川の顔に緊張が走る。
「そうだ。連続殺人犯……かもしれない奴だ……」
急に隣にいた、中肉中背の四十代程の男が話し出す。
「連続殺人犯? 漆原君それってどういうこと?」
焦って脂汗をかいているのが見える。
「何のことだろうね? 最近ニュースで話題だから、警戒心が高いだけなんじゃないかな? 気にしないでいいと思うよ平田さん」
まるで嘘は一切言っていないという口振りだ。
それを聞き「だよね。びっくりしたよ……」平田は安堵した様子を見せる。
――守護センサーは〝二人分〟の悪魔サイドを感知している。つまり、目の前にいる〝お人好し〟と顔に書いてある平田という男も悪魔サイドの参加者ということだ……。
「お前も俺のこと探してたんだよな? この前の報復ってとこか?」
光葵は睨みを利かせ尋ねる。
「いやいや、そんな怖い言い方しないでよ。あくまで代理戦争のために戦うだけだよ。まあ、戦わないといけないルールだから、どのみちではあるけどね……」
漆原は軽薄な物言いだ……。
「本当は二対一で戦いたかったんだけどね……」
漆原は頂川の方を見る。
「残念だったな。こっちも二人だぜ」
頂川はギラついた目で答える。
「じゃあ、平田さん『作戦通り』にいこう!」
漆原の爽やかな声が響く。
「オーケー」
平田が迷いなく答える。
平田は手を前にかざし《氷魔法》で作った氷の矢を複数飛ばしてくる。
それらを光葵と頂川は躱す。
その隙を狙い、漆原が〝サプレッサー付の自動拳銃〟で撃ってくる。
――前に手榴弾を使っていたから、もしかしたらと思って頂川にも共有しておいたが、マジで〝そんなもん〟まで持ってやがるのか……!
何とかプロテクトで防ぐ。
だが、正直反射神経で防ぎ切れるかどうか怪しいな……。
「頂川! 《身体強化》で能力上げとけ! 拳銃で攻められたら厄介だ!」
「おう! もうやってんぜ! それに……俺は迅いぜ! 《雷魔法――雷纏》……!」
頂川の身体中から雷が迸る。身体能力を引き上げた頂川がジグザグに漆原へ迫る。
「平田さん! 守って!」
即座に漆原が平田に向け声を出す。
「分かってます」
手を上げる動きと共に〝氷の槍〟が複数地面から創出され行く手を阻む。
「チッ! うぜぇおっさんだな」
頂川は舌打ちをしながら平田を見据える。
「なっ! まだおっさんじゃありません」
平田は〝円盤型の氷のカッター〟も飛ばしてくる。
頂川は雷を纏った手で叩き壊していく。
「意外と脆いんだな。このままぶち抜いてやるぜ」
「……頂川! 氷は厚みを変えやすい。油断するな」と光葵は、影慈からの意見をそのまま伝える。
「おう!」
頂川は突っ込んでいく。
光葵もそこに続く――そして二人で一気に距離を詰めていく。
「うわ~! ヤバい!」
漆原の声が聞こえる……。
ん? 何だこの違和感は……?
咄嗟に下に目を遣る。するとそこには、手榴弾を運ぶ泥人形が三体いた。
マズい……! プロテクトを展開して頂川も包み込む。
――爆音が響く――。
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