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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
二章 星の代理戦争 後編

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百三話 告白 墓前での感謝

「頂川……! そんな……なんで……なんで、こうなるんだよ……」


 光葵は力なく膝をつく……。


 刹那、頂川の声が頭に響く「俺はお前と組めて一ミリも後悔してねぇ。みんなを頼む」

 

 ――そうだよな……。お前の命と覚悟、絶対無駄にはしない……!


 至王を見ると、立ち上がってはいるが、ふらつきながら逃走していた。


「これ以上は俺も戦闘不可だ……。それより今は綾島さんと朱音だ……!」


 氷黒壁を解除し、二人のもとへ向かう。


 そこで光葵は頭によぎってはいたものの、見たくなかった光景を見ることになる。


「日下部君、朱音ちゃんが……回復魔法使ってるんだけど、もう……」


 綾島は涙を流す。


 もうやめてくれ……。これ以上俺から奪わないでくれ……。

 光葵は泣き崩れる。


「うっ……朱音……。お前まで……。俺は何も守れない…………」


「光葵……。私は……多分もうダメ……。昔から……そういう優しいとこ……ずっと大好き……だった……。愛……してる…………」


 だんだんと朱音の命が消えていくのを感じる……。


「…………朱音……。朱音ちゃん……。必ず救う……『俺達』が……」


 成功するかはわからない。それでも少しでも可能性があるなら……。


「《理の反転》……」


 光葵は、黄金色に光る右手で朱音の頬に触れる。


「朱音……。頼む。神がいるかはわからない。でもこの一回きりでいい。奇跡を……」


 祈るように魔法を発動し続ける。

 ――マナが底を尽きそうだ……。俺の命を使ってもいい、頼む――。




 ――それから、どのくらい時間が経ったか分からない。


「…………光葵?」


 朱音の声が聞こえる。


「朱音…………よかった……。本当によかった!」


 光葵は思わず、朱音に抱きつく。


「ええっ! ちょっと光葵!」


 朱音が顔を赤くし、声を上げる。


 光葵に続くように綾島も抱きつく。


「朱音ちゃん……。よかった。私……本当に……」


 綾島は更に涙を流す。


「二人共……。ありがと。正直、死んじゃうって思った」


 朱音は二人を抱きしめ返す……。


 朱音はふと驚いたように声を出す。


「私、魔法が使えなくなってるみたい……」


「な……! そうなのか…………。今使った《理の反転》は未完成なんだ。その影響かもしれない。ごめん、折角朱雀様に選ばれてたのに……」


 光葵は頭を下げて謝る。


「いいよいいよ。朱雀様の存在もうっすら感じるし。それに命救ってもらったんだしさ!」


 朱音は明るく笑っている。


「……でも申し訳ない。俺の戦争に巻き込んだんだ」


 光葵が話してる途中で朱音が話し出す。


「もう! その話は私が協力するって決めた時に済んだことじゃん! 私自身、後悔してないし。だからこの話は終わり! でもここから先は魔法使えないし、協力できないね……」


 朱音は寂しげに下を向く。


「うん……。むしろ今までありがとな。…………あと、さっきの返事だけど……。……ごめん答えるなら今しかないかと思って…………」


 光葵はつい顔が赤くなる。


「えっ? あ、さっきの! あれはその……死ぬくらいなら言っとこうと思って……!」


 朱音は顔を赤らめ視線を落とす。


「……朱音の気持ちすごく嬉しい。ありがとう……。……でも今は命懸けの戦いをしてる。それに勝ち残っても普通の生き方はできないと思うんだ……。だから、その……嬉しいんだけどごめん…………」


 光葵は言葉で言い表せない想いを感じる……。


「…………ううん。いいよ。光葵ならそう言いそうって思ったし! 気を遣わせてごめんね!」


 朱音は潤む瞳で笑っている……。


「そんなことは……。いや……朱音。改めてありがとな。本当に助かったよ!」


 光葵は本当は、昔から朱音が好きだったことを自覚した。

 それでも、ここは感謝を伝えてお別れしないといけないとも強く感じていた……。


「ふふ。いいよ。困ったことがあったら言って。力になれるなら協力するし!」


 朱音はふわりと微笑む。




 その後、頂川が消えてしまった場所に、光葵達三人で石のお墓を作った……。


「頂川……お前は俺の戦友であり親友だ……。俺達を守ってくれて……今まで一緒に戦ってくれて、本当にありがとう……」


 光葵は、頂川の快活な笑顔を思い出し、涙が溢れ出す。


「……頂川君、今までありがとう。一緒に修行したり、辛い時に温かい言葉をかけてくれたり……頂川君は私にとってかけがえのない人だよ……」


 綾島は声を上げて泣く。


「頂川君、君は優しくて強い人だった。今日も命懸けで助けてくれた……。君と一緒に過ごす時間はとても楽しかったよ。私の一生の宝物……。ありがとう……」


 朱音は静かに涙を流す。


 ◇◇◇


 今日は本当に目まぐるしい一日だった……。


 朱音は今日以降、家に帰ることとなった。

 光葵と綾島も一緒についていき、朱音の父に挨拶したいと言ったが断られた。


 今は二人とも傷だらけだし、アジトでゆっくり休んで欲しいとのことだった――。


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