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最終話 輝いている

番外編最終話です!

 

「あ」

「どうしたの、レイラちゃん?」

「飲み物忘れましたわ。ちょっと買ってきます」

「もー何やってんのさ、レイラ! 早く早く!」


 急かすようにレイラに言うと、「怒らないでくださいな!」とかなんとか言いながら、購買まで走っていった。もー、こんなとこで時間潰してたら、一花たち食べ終わっちゃうじゃん! 久しぶりに生徒会の集まりがなくて、一緒にお昼ご飯食べれるのにさ!


 一花たちも一花たちだよ! 授業終わったらさっさと中庭行っちゃうし! あたしも生徒会室に忘れ物取りに行ったけどさ、あんな見向きもしないで行かなくてもよくない!?


「舞、大丈夫だよ。お昼休みはまだ終わらないから」


 クスクスと笑いながら花音が宥めてくる。花音だって久しぶりに葉月っちとお昼も過ごせるって楽しみにしてたじゃん。


 あたしはさ、一花がどんな顔であたしのお弁当食べてくれてるのか気になって仕方がないんだよ! 一度でいいから、もっと満足した顔で「美味しい」って言わせたい!


 早く早くっともう見えないレイラの姿を探して、キョロキョロとあたしの心も体も落ち着かないでいると、また花音が困ったように笑った。


「そんなに焦らなくてもいいと思うけどな?」

「何言ってるのさ!? 一花の美味しいっていう貴重な表情を見られるのなんて限られてるんだよ!?」

「一花ちゃん、ちゃんと美味しいって言ってるの聞いたよ?」

「ちっちっちっ、甘いね、花音! まだあれは本当に美味しいっていう表情じゃないんだよ!」


 あたしには分かる! だって花音のご飯食べてる時のように、まだ目をキラキラさせてないんだよ! あたしは自分の料理であの目をキラキラと輝かせている一花の顔が見たい!


 それに、


「まだ実感できてないっていうか……」

「え?」

「一花とさ……あたし付き合ってるっていう実感がもっと欲しいんだよね」


 確かに一花はあたしに返事してくれた。

 キスもしてくれた。

 あんまり変わらないようで、でも確かに変わった一花だっていうのも分かってるつもり。


 でも、まだ夢のように感じて。


「一花ちゃん、舞と付き合うようになって、表情が柔らかくなったなって思うけど」

「それはあたしもそう思ってる」


 一花はなんかさっぱりした感じで、花音のいうように表情が柔らかくなった。ふとした時にあたしを見る目が優しいな、温かいなって自分でも思う。


 一花のあたしを見る目が、しぐさが、ちゃんとあたしのことを好きだって言ってくれてるみたいで、いつもいつもあたしの心は嵐の中にいるみたい。


「でも、あたしが自分で一花を変えた何かをしたっていう記憶が全くない!」

「んん?」

「だってさ! 一花があたしを好きになる要素がなくない!? 嬉しいけど!」

「そんなことないよ」


 花音! そんな笑ってる場合じゃないんだよ! 

 嬉しいよ! 一花が実はあたしのこと好きだって言ってくれて、それは嬉しいよ!


 別に一花の気持ちを疑ってる訳じゃない。信じられる。


 というか、なんか一花が積極的過ぎて困る! キスも当たり前に「するか?」とか普通に聞いてくるし、あたしからしてやるって思ってしようとして、でも心臓がもたなくて結局一花が強引にしてくるんだよ! 


 何アレ!? もちません! 一花、そんなキャラじゃなかったでしょうに! しかも、した後は「本当に馬鹿野郎だ」とか言って、笑ってくるし! その笑顔が可愛かっこよすぎるし! まだ変化に慣れない!! 


 思い出して頬が熱くなる。あーあっつ! でも違うんだよ! そうじゃないんだよ!


 一花はあたしと二人で部屋に居る時、眼鏡をかけなくなったんだ。


 それがどうしようもなく嬉しくて、

 あたしといる時、一花は一花でいてくれてるんだってそう思えて、


 安心しきったように笑って、怒って、隣にいてくれて、

 傍から見ても、一花は楽しそうにしていて、


 その姿が本当に本当に嬉しくて。


「あたしはさ……もっと一花を変えられる人になりたいって思ってて」

「うん」

「一花がさ、いつでも笑って安心できる場所を作りたくて」

「分かってるよ。だから一花ちゃんのご飯作ってるんでしょ?」

「うん」


 葉月っちが花音のご飯を楽しみにしてるようにって思ったのが最初。

 さあ、一花と付き合いますってなった時に思ったのがそれだった。


 一花があたしをずっと好きでいてくれる保証なんてどこにもない。

 だから一つでも確かなことが欲しくて、その結果が一花の胃袋を掴んでやるぜって単純なこと。


 一花を夢中にさせたくてやり始めたことだけど、でもそれだけじゃ足りないとも思う。


「ちゃんとあたしがさ、一花を変えているんだって、一花が未来を信じられるようになったのはあたしなんだって、そういう実感が欲しいんだよ」


 一花の笑顔も、寝顔も、怒っている顔も全部全部あたしは大好き。


 その顔をさせているのはあたしだって実感がもっとほしい。


 自信を持ちたい。


 そんなことを伝えると、一花は「馬鹿だな」って笑うんだけども。


「分かるよ」


 ふふって笑って花音があたしの決意に近い言葉に頷いてくれた。


「私もそう。葉月に好きでいてもらうためにはっていつも思ってるし考えてる」

「花音も?」


 あたしから見ても才色兼備な花音がそう言うなんて少し驚きなんだけど?


「葉月の未来に自分がいられるように、私の未来に葉月がいてくれるように、どうしたらいいかな、何ができるかなってやっぱり考えちゃうよ」


 静かに花音が制服の中からネックレスを取り出した。それ、確か葉月っちに前に貰ったって言ってたネックレス? ずっとつけてるんだ。


「でもね、それは私の意思。私の願い。全部を葉月の為にって押し付けるのは違くてね、私がそうしたいって思ってるから頑張ろうって思う」


 愛おしそうにそのネックレスを眺めている花音。


「葉月を守りたい。葉月に守られるだけじゃなくて、葉月に笑顔をさせているのは自分だって、その笑顔を守っているのは自分だって、私もそういう自信をもっと持ちたいって思うよ」


 自分の意思をはっきりと伝えてくる花音の言葉には力強さがある。


 でも、分かる。

 花音のその願いが、あたしの中にもちゃんとある。


 あたしもそう。

 あたし、一花のあの笑顔を失くしたくないって思うんだ。


 一花の為にって考えはあるけど、それもあたしの意思。


 他の誰でもないあたしが、一花のあの笑顔を見たい。


 それはあたしの我儘で、願い。


「支えたいって、今は本当に思うんだ。あたしが一花のことを支えたいって」


 まだまだ一花の全部を分かってる訳じゃない。

 これからも絶対一花は自分のことを責めたりして、一人で抱え込むかもしれない。


 一人で勝手に悩んで、勝手に答えだして、勝手に思いこんでさ。


 そんなのあたしは絶対嫌だから。


 一花一人で背負い込まなくていいように、

 一花に頼られる自分でありたいから。


 ネックレスからあたしに視線を向けた花音が、穏やかに微笑んで「分かるよ」ってまた言ってくれた。全部分かってくれる花音につい笑ってしまう。


「いきなり何?」

「いや、だってさ。あたしも花音も、似たような願いだよねって思って」

「それはまあ。だって葉月と一花ちゃんが似ているからね」

「あっはっはっ、そりゃそっか!」


 葉月っちと一花は確かに似てるもんね!

 葉月っちも一花も、結局自分自身のことを認めていなかったから。


 勝手に思いこんで、それで突っ走って、自分を犠牲にとか、自分には幸せになる資格がないとか、血は繋がっていないのにここまで似ちゃうなんてね。

 もしかして葉月っちのお母さんの影響とかなのかな? お姉さんもそんな感じのこと言ってたし。


 だけど、そんなの認めない。

 絶対そんなことないって、あたしが証明してやるんだから!


 一花がいて、あたしはすっごく幸せだよって!


「花音、これからもよろしくね!」

「またいきなりだなぁ。でも……うん。こちらこそよろしくね、舞」


 唐突に花音に握手を求めると、花音が笑ってあたしの手を握り返してくれる。

 その手がすごく心強い。


 これからも一杯悩むことになると思う。

 一花の気持ちとか、あたし自身の不甲斐なさとか、不安に思ったりもすると思う。


 でも、同じように悩んで頑張っている花音を見ると、あたしは一人じゃないって思えるから!


「へへ! あたし、花音と友達になれて本当に良かったよ!」

「それは私のセリフかな」


 花音ほどあたしは出来が良くないから、死ぬほどこれから頑張ろうって思う。


 一花が表情豊かに過ごせるように、

 一花が安心して毎日を過ごせるように、

 一花に頼りにしてもらえるように、


 あたしを好きでいてほしいから。


「あ、レイラちゃん来たよ」

「あ、本当だ! レイラ、おっそいよ!」

「こ、これでも……頑張って走ってきましたの、よ……ハアハア……」


 ものすっごく息が切れたレイラが戻ってきて、そんな息が切れるほどの距離だった? と思ってしまった。レイラって葉月っちから逃げる時は、ここまで息切らさないよね? なのに、なんで購買までのこんなちょっとの距離を走っただけで疲れ切ってんのさ?


「あ、葉月っちが走ってきた」

「ぎぃぃやあああ!! 嫌な予感しかしませんわあああ!!」

「あ、レイラちゃん!?」


 つい疑問に思って、ちょっと悪戯心で嘘をついてみたら、レイラは脱兎のごとく中庭方面にまた走っていった。いや、曲がろうとして転んだや。「ぎゃふ!」とか漫画でしか見ないような声出してる。


「なんでレイラって葉月っち関係だとあんな元気になるんだろうね?」

「前に一花ちゃんが言ってたよ? 子供の頃に葉月に実験台にされたとかなんとか」


 ああ、それでスイッチが入るのかな? 

 ふとした疑問に勝手に答えを出して、泣きそうになっているレイラを連れ、あたしと花音もお昼ご飯を食べるために中庭に急いだ。


 一花、お弁当もう食べ終わっちゃったかなぁ、なんて思っていたら、中庭に着いて、案の定葉月っちと一花がのほほんとベンチに座って空を眺めている姿が見える。


「ああ!? ちょっとぉぉ! 二人とも、なんで先に食べちゃったのさ!?」


 早すぎる! 朝にちゃんと一花に「今日は皆で一緒に食べようね」って伝えたのに!


 ちゃんとそのことを伝えると、一花が「そんなの言ったか?」みたいな顔をしているので察した。これ、絶対聞いていなかったんだ! ちゃんと今日のお弁当を食べた時の反応を見たかったのにさ!


 ついついレイラのせいにして喧嘩腰になっていると、一花が溜め息をつきながらハアとベンチから腰を上げた。あれ、なんで? あたしたちはまだ食べてないのに。


 目をパチパチさせて自分のお弁当を広げようとしていたら、「ここに五人は無理だ」って教えてくれる。確かにそうだ。気づかなかった。

 慌てて立ち上がろうとしたけど、お弁当を落とさないようにしたからかバランスを崩してしまった。間一髪で一花に腕を取られて転ばずに済んだけど、目の前の結局地面にひっくり返ったしまった自分のお弁当から視線を外せない。


「ぎぃぃやあああ!! あたしのお昼ご飯!!」

「平気だろ」


 平気じゃないんだよ!? どこを見てそんなこと言ってんのさ!? 折角花音が作ってくれたお弁当だったのに!


 ついついうっかりと花音に作ってもらったことを喋ってしまったら、一花が「なんでお前だけ作ってもらってんだ!?」と怒ってきた。


「え、だって飽きたんだもん。毎日毎食じゃきついって」

「何をそんな当然みたいな顔してんだよ!? あたしがそれを毎日食べさせられてるんだが!?」

「え!? 今日のエビフライ失敗してた!?」

「そういうことじゃな――」

「いっちゃん、ちゃんと全部食べてたよ~」


 葉月っちの一言にバッと視線を向けた一花。へーほーふーん。朝は「またか」とかなんとか言ってたくせに、ちゃんと食べてくれたんだ~。

 ――何それ!? めっちゃ嬉しいんですけど! 今、一花の愛を感じたよ、あたし!


 それがバレたのか目の前の一花が頬を赤くしているのがまた可愛い。照れてる照れてる。二人きりだと、どうにも主導権を握られてる感じがあったけど、皆の前だと一花は恥ずかしがるもんね! こういう一花も大好物です!


 そのままみんなでいつもみたいに和気あいあいと話していたら、一花が何故か周りを見渡して嬉しそうに頬を緩ませていた。


「何、一花? なんか楽しいことあった?」

「? なんでだ?」

「笑ってたから」


 一花が無意識だったのか、驚いたように目を見開いてから、また頬を赤くして隠すように乱暴にあたしの隣に座っている。照れてる照れてる! ほんっと可愛い!


「本当、照れてる一花は可愛いよね!」

「……いきなり何を言っている?」

「笑ってるの自覚してないのを気づかれて、恥ずかしがってるくせに」


 分かるよ。付き合うようになってから、一花は表情が前より分かりやすくなったんだから。


 でも葉月っちが「悔しがってる顔が一番可愛い」とか言ってきて、一花がどっかから取り出した葉月っちお手製ハリセンを投げつけていた。そういえば、葉月っちは最初っからそんなことを言ってたな。


「じゃ、次はちゃんとやらなきゃね!」

「は?」

「一花を悔しがらせるのも、笑わせるのもあたしでありたいし!」


 譲れないんだよ、それは! まだまだ一花のことを理解っていう意味では葉月っちに敵わないけどさ! でも、いつかは葉月っちを超えてみせるもんね! 一花の全てを知っているのはあたしだけにしてみせる!


 メラメラと心の中で闘志を燃やしていたら、一花が「無理だろ、舞には」と、その火を消すようなことを言ってきた。こらぁ!? なんでそんなこと言うのさ!?


「もう絶対絶対一花のこと、悔しがらせてやるんだから!」

「なんで負けず嫌いが出てくるんだ?」

「だって、葉月っちが知ってるのにあたしが知らないのは嫌じゃん!」


 何をそんな驚いてるのさ!? あったりまえじゃん! あたしが恋人なんだから、あたしの方が知っておきたいんだよ、そういう一花の可愛いところを!


 こっちは怒ってるのに一花は何故か笑っていたから、ムムーってまたもやもやが積もってきた。でも一花は話題を切り替えるように、あたしにさっさと食べるように促してくる。これ、一花は絶対今「馬鹿だな」って思ってる顔だ。


「っていうかお前、朝に自分の分も作ってたじゃないか。持ってこなかったのか?」

「持ってきてるけどさ~……花音のお弁当の方が食べたいじゃん!」

「じゃあそっちを食べるんだな。あたしも食べたんだ。お前もちゃんと食べろ。あと――」

「あと?」

「ちゃんと美味くなってたぞ」

「っ……」


 その笑顔を見て、自然と頬が熱くなった。

 目元を緩ませて、温かい眼差しでそういうことをポンって一花は簡単に告げてくる。


「そういう、本当、そういうのズルいんだって」

「何がだ?」


 絶対分かってるくせに、一花はズルい。

 あたしを一瞬で喜ばせる一花はズルい。


 でも、


 自然と自分の頬が緩んでいく。



「へへっ! それは嬉しいからいい!」



 ちゃんと伝えてくれるのは、本当に嬉しいから。


 単純だと自分でも思うけど、一花の言葉にあたしは簡単にほだされる。


 言葉も、気持ちも、今の一花の笑顔で全部伝わってくるのが嬉しい。


 今は絶対あたしの方が一花に夢中だけど、

 それが悔しいけど、


 一花があたしを一瞬で幸せな気持ちにしてくれるのが、あたしの絶対なんだよ。


 だからこそ、あたしは一花をもっともっと笑顔にさせてやりたい。

 もっと一花の気持ちをぶつけてほしい。


 怒っていたら、ちゃんと喧嘩して分かりあいたい。

 泣いていたら、その悲しい気持ちをあたしにも分けてほしい。

 辛かったら、あたしに寄り掛かってもらいたい。


 喜んでいたら、あたしも一緒に喜びたい。


 だから、頑張っていこう。


 一花の隣に立てるように、

 一花の傍にいれるように、


 その笑顔を向けてくれる自分になろう。


 最初は一目惚れだった。

 かっこいい一花の姿に一目惚れ。


 でも本当の一花は意地っ張りで頑固で、

 照れて怒ったり可愛いところもあって、


 親友のことで悩んだりして、


 だけど、家族や周りにいる人のことも大事に想ってる優しさもあって、



 そんな一花を知るたびに、あたしはどんどん好きになる。



 怒りやすいところも、

 優しいところも、


 自分をあまり好きになれてない一花も全部好き。


 はっきり言える。


 そんな一花を支えたい。


 今、はっきりと分かる自分の気持ち。


 この気持ちを忘れない。


 大好きな人を支えたいって思う気持ちが、すごく自分の中で輝いているから。


 この先、何があるかは分からない。

 もしかしたら辛い事もあるかもしれない。

 逆に泣いて喜ぶようなこともきっとある。


 そんな未来を信じられるから、

 だからこそ、自分の今の気持ちを大事にしていこうと思えるよ。


 これから先のことを考えるとドキドキする。

 ワクワクする。


「なんだ、にやけてるぞ?」

「へへ! 内緒!」


 一花とのこれからが楽しみで仕方がない。


 ギュッと一花の手を握ると、パチパチと目を瞬かせてから、また微笑んで一花も握り返してくれた。


 あったかい。


 その手の温もりが何より嬉しい。


「ね、一花! 今日は二人で帰ろうよ!」

「葉月を一人にしろと?」

「いいじゃん、たまには! 葉月っちだって花音と帰りたいでしょ? 今日は生徒会が休みだし!」

「んん~? どっちでも――」

「舞の言葉に甘えない、葉月? ゴロちゃんのご飯、二人で選んで帰りたいな。あと葉月が食べたいおやつも。だめ?」

「花音と帰る」

「ちょっとちょっと、わたくしはどうなりますのよ!? というかなんなんですの!? なんかわたくしだけ除け者じゃありませんこと!?」

「レイラだって婚約者いるんでしょ? たまには連絡取ったら?」

「「婚約者??」」


 え、いるんでしょ? なんで葉月っちと一花が顔を見合わせてんの?


 一花が何かを思い出したように「ああ」と頷いていて、葉月っちが「あー、あの人ね~」と呟いている。花音はレイラに婚約者がいることを驚いてるみたい。そうだよね、あたしもめっちゃ驚いたよ。


「レイラ、お前……」

「レイラ、気づいてないの~?」

「は? 何がですの?」


 すごく残念なモノを見る目で葉月っちと一花がレイラを見ていた。レイラの婚約者ってそんな残念要素だったわけ?


「まあ、レイラだしな」

「そだね~、いっちゃん。レイラだしね~」

「ななな何なんですのよ!? ハッキリ仰ってくださいません!?」

「あの人はどうせ楽しんでるんだろうな」

「そだね~、いっちゃん。ガンバ、レイラ」

「なんで応援されなきゃいけませんのよ!?」


 うんうんと頷いている一花と葉月っちにあたしと花音、あとレイラはついていけてないけど、うん、何となく察した。これ、残念要素だったんだってことは。

 まだ喰いついているレイラを適当にあしらっている二人に、花音とあたしは笑ってしまう。


 きっと、あたしたちはずっとこんな感じだって信じられるから。


 手に一花の温もりを感じながら、みんなと一緒に笑いあう。


 それがすごく嬉しくて、


 楽しくて。


 今までより青くて綺麗に見える空が視界に入った。


 その空が、あたしたちを応援してくれているように感じる。



 これからどんな楽しい事が待っているんだろう。



 楽しい未来を想像して、



 胸を弾ませながら、一花の手をギュッと強く握った。




本当に、本当にお読み下さりありがとうございました!

この番外編を投稿し始めて約一年半……ここまでお付き合いいただいた読者の方々に感謝しかありません!

この番外編の裏話とか後悔とか、色々とこの後、活動報告にあげようかなって思います。興味ある方はどうぞ!

そして、来週からはずっと隙間隙間で書いてきたSSを投稿していこうかなと思っています。まだまだ完結済みにはなりません(笑)。葉月と花音のその後のイチャイチャとかも予定しております。……イチャイチャ具合が期待に応えられるか分かりません(予防線)けど、楽しんでいただければ幸いです!

ここまでお読み下さり、心から感謝しております! 

いいねもブクマも評価も感想も、いつも支えられてきました!

本当にありがとうございました!(最後みたいな挨拶ですが、まだ続きますw)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 長い間お疲れ様でした。ここまで色んな話があって、どうなるんだろうっていつもドキドキしながら更新を待っていました!番外編も最終話をむかえ、今後もイチャイチャ回を見れると思うと本当に楽しみです…
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