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僕はモテモテです。ジミ子限定ですが。  作者: さとみ・はやお
第一章
11/42

第11話 交換弁当は友好の印

読者A「作者さぁん、ちょっと気になっていることがあるんすけど、お尋ねしていいすか?」


作者「なにかな? 言ってみて」


読者A「この作品、セルフレイティングで『R15』ってなってますよね。


でも、期待して読んでるわりに、いっこうにエロいシーンが出てきそうにないんすけど?」


作者「う、うるさいうるさいうるさーい!


そ、そのうちにエロいシーンとか出て来る予定だから、あらかじめ告知してあるのっ!


け、決して『やるやる詐欺』じゃないんだからねっ!」


読者A「へっへーい、了解っす!(果たしていつのことになるやら……)」


      ⌘ ⌘ ⌘


さて、時は経過して、いまは木曜日の朝。


昨日は命からがら(大げさか?)国貞くにさだ淑子としこ屋敷やしき美禰子みねこの猛追撃をかわして帰宅し、「恋愛の達人」こと茂手木もてぎ先輩直伝の、モテ戦略の威力を痛感した僕だった。


だって、やったことと言えば、朋友ぽんゆう仲真なかま友樹ともきに頼んで、僕が貴音たかね華子はなこに告白して振られ、心機一転、新たな彼女を募集することにしたという情報を、口コミなどで流してもらった、それだけだ。


そのわずか1日後には、ふたりの女子から熱ーく迫られるなんて、まるで魔法を使ったみたいだろ?


一夜空けて、いまだに昨日の出来事は、白昼夢かなにかだったかのように感じられる。


「学校に行ったら、また元どおりになってた。チャンチャン」なんてことはないだろうな……」


そう思いながら、いつもと大差のない、授業開始の予鈴ギリギリに学校に着いた。


僕が自分の席に着こうとすると、なんかとんでもないことになってた!


僕の机の上には、2枚のA4ぐらいの貼り紙があったのだ。


色は、ひとつはパステルピンク、もうひとつはペイルイエロー。


ファンシーなこと、この上ない。


右側、つまり屋敷の席と接する側はパステルピンク。


フェルトペンで「ネコ❤️ホッシー」と大きく書いてあり、下には猫が星とたわむれるイラストが描いてある。


左側は、ペイルイエロー。


こちらには「いつもあなたのおそばに。としこ」とコンビニのキャッチフレーズみたいなのがデカデカと書いてあり、その下には三つ編みメガネ姿の女子が学生服を着た男の子の人形を抱きしめているイラストが描いてある。


どちらも誰の仕業であるかは、一目瞭然だった。


もーきみたち、ベタ過ぎません?


ふたり同じことをして張り合うとか。


貼り紙を2枚とも引っがしてやろうかと、僕は一瞬考えた。


が、月曜日の午後、茂手木先輩から聞いた言葉が頭に浮かんで来た。


「どんな女性であったとしても、アプローチがあれば入口で拒否したりせず、全部受け入れるようにしてほしい」


そして、こうも言っていたな。


「女性からの求愛行動は基本、すべて受け入れたほうがいい。


ただし、あまりに無体むたいで非常識な要求だったら、キッパリと断る。


おあずけをする。


そういうアメとムチの使い分けは大切だぜ。


でないと、きみはただの下僕になりかねない」


その言葉に従って、昨日の帰宅時も僕は暴走気味のふたりの女子をうまくいなすことが出来たのだ。


アメとムチ、それはモテにおいて必須のテクニックなのだ。


とりあえず僕は咳払いをひとつだけして、貼り紙を剥がすことなくそのファンシーな席に座った。


右隣りの屋敷が声をかけてきた。


相変わらず前髪長過ぎで表情が分からんが、昨日までとは打って変わって猫撫で声で。


なんだか、別人のようだ。


「おはよう、ホッシー。昨日はちょっと無理言ってごめんね。


あの後、わたし、反省したんだ。


で、決めたの。わたし、これからホッシー好みの子になれるよう、頑張るから」


そう話す屋敷の顔を見ると、明らかに紅潮している。


デレ子さんになってる。


こういう時は、茶化さずにあっさり肯定するのがベストなんだったな、うん。


「おう、それはありがとう」


僕がそう言うと、屋敷の顔はさらに赤く染まった。


と、その彼女の後頭部に、コンと紙つぶてが飛んできた。


僕、そして屋敷が後ろを振り返ると、少し離れた席で不満げに口をへの字にしている国貞の姿があった。


「もう、授業始まるわよ、屋敷さん」


隣りの席同士という明らかな地の利で、僕との距離を縮めようとしている屋敷への牽制にほかならなかった。


しかたなく僕と屋敷は、居住まいを正して授業にのぞむことにしたのだった。


      ⌘ ⌘ ⌘


休み時間になると、僕は席を立って仲真のところに行って声をかけ、教室の外へ出た。


ひとに見られると恥ずかしいので、机の上の貼り紙は上にノートや教科書を置いて隠してある。


廊下の片隅で僕は、それまで張りつめていた糸が切れたように、あるいは川が堰を切ったかのように、猛烈な勢いで仲真に話しかけていた。


「いやー、息苦しかった。


もう、あの席にいると屋敷さんと国貞さんの両方に責め立てられてる感じでしんどいわ。


これでやっとひと息つけた。


仲真、きみとの時間がオアシスに感じられるよ」


「なーに弱気なこと言ってんだよ。


せっかく念願のモテがかなった途端、そんなことじゃダメだろ。


とはいえ、昨日から見ていて、女性はおふたりとも一切なりふり構わない感じだよな。


さすがにホッシーが気の毒になってくる」


「だろ?


だから、休み時間はこうして教室から避難しないとメンタルが持ちそうにないんだ。


心中、察してくれよ」


「分かった。


それにしても、茂手木先輩メソッドの威力は凄まじいの一言だな。


僕が少しPR活動に時間を費やしただけで、この結果だ。


もっと念入りにやっていたら、さらに凄いことになっていたかもしれん」


「だな。だから、とりあえずPR活動はこのへんで終わりにしておいてくれ。


ふたりを相手にするだけでも、こんなに疲れるとは思わなかった」


「いいなー、そのセリフ。


僕も一度言ってみたいもんだ」


「いやいやいや、そんないいもんじゃないから、この状況」


「ハハッ、そうだな。失礼。


それはそうと、昼休みはどうするんだよ、ホッシー。


僕はきょうも放送委員だから、休み時間のようにきみの相手をしていられないんだが」


僕は仲真に指摘されて、昼休みの問題をすっかり忘れていたことに気づいた。


たしか、国貞は昨日屋上で会った時にこう言っていたよな。


「もしお邪魔じゃないなら、わたし、明日もここに来ていいかしら」


それに対して僕はつい「全然、構わないよ」と返事をしていたのだった。


そうか……きょうの昼休みは、あの国貞と過ごさないといけなくなっちまったな。


僕はあとさき考えずに国貞の願いをきいてしまったことを、いささか後悔し始めていた。


まぁ、その後こんな事態になるなんて誰も予想はつかなかったろうから、不可抗力ではあるのだが。


それにふたりいっぺんにならともかく、国貞ひとりならなんとか対処の仕方もあるだろう、そうも思った。


と、休み時間の終了を知らせるチャイムが鳴り始めた。


あわてて僕は仲真にこう答えた。


「昼休みはいつも同様、屋上で過ごすさ。


大丈夫、問題ない」


僕たちは、そそくさと教室に戻ったのだった。


      ⌘ ⌘ ⌘


昼休みになった。


隣りの屋敷は、きょうも放送委員の仕事なのだろう、すぐに教室から出て行った。


そこで、後ろを振り返ると、やはりというか何というか、国貞淑子がそこに……立っていた。


立っていたというより、待っていた……この僕を。


逃げも隠れも出来ない。


ゾクッ。


国貞の手には、弁当の包みがあった。


「さ、いきましょ、相賀あいがくん(邪魔者も去ったようだし…)」


なんか後半、小声で不穏当な発言があったような気がするが、空耳だろうか。


屋上まで上がり、いつもの場所を陣取る。


僕が座ると、国貞は僕のすぐ左横にぴとっと座った。


昨日以上の密着体勢である。


近い近い近い!


おまけにオプションサービス(?)として、右手を僕の腿の上に置いてくる。


クラブのホステスさんかよ!


僕が家から持って来た弁当を開けようとすると、国貞は手でそれを制しながらこう言った。


「相賀くん、わたし手作りのお弁当を持ってきたんだけれど、お近づきの印に『交換弁当』をしない?


わたし、けっこう料理に自信あるんだ。


美味しいわよ?」


交換弁当?


交換日記の弁当版か?


さっそく国貞が自分の手作りだという弁当を広げて見せてくれたのだが、彼女が言う通り、色とりどり、目にも鮮やかなおかずがずらっと並んでいる。


出汁巻き卵、鶏の唐揚げ、ポテトサラダ、西京焼き、肉ゴボウ巻き、野菜包み揚げ。そういったメニューがひしめきあっていて、名店の仕出し弁当にも引けを取らない見栄えだった。


じゃあ、交換しますかと僕が言いかけると、国貞は「ノンノン」と人差し指を僕の唇に押し当てた。


「そうではないのよ。


まずわたしが、相賀くんにこれをすべて食べさせてあげるの」


そうして、おかずのひとつ、唐揚げを自分の箸でつまんで、僕に「あーん」させたのだった。


僕は拒否する余裕もなく、なすすべもなく、彼女の全行動を受け入れた。


ゴクリ。


たしかに美味い。


だが、それ以上にチョー恥ずかしい!!


周囲にも何組かカップルがいたのだが、こうも露骨に、こうも堂々とバカップルな行為に及んでいるふたり組はいなかった。


日頃「爆発しろ」と思っていたリア充行動を、まさか自分が取ることになるとは!


弁当は、自分で食べればあっという間に食べ終わるものだが、ひとに食べさせてもらっていると、えらく時間がかかる。


国貞はいたく満足そうな表情をしているが、逆に僕の方は延々と続く羞恥プレーに、HPがゼロまで下がりそうだった。


ようやく国貞の作った弁当を食べ終わり、今度は僕の持って来た弁当を国貞に食べてもらう番になった。


「じゃあ、どうぞ」


と僕が弁当の包みを手渡そうとすると、国貞は再び「ノンノン」と人差し指を僕の唇に。


「今度はあなたがわたしに食べさせてくれなきゃ」


そう言って、弁当を受け取ろうとしない。


えーっ、マジすか?


そう言いそうになる気持ちを抑え、


「ですよねー」


と言いながら、うっとりとした表情の国貞の口へ、僕の箸でおかずを運ぼうとしたその瞬間、


「待ったあ〜〜〜〜っ!!!」


という大声が、耳に飛び込んで来た。


聞き覚えのある声。


その主はもちろん、屋敷美禰子だった。(続く)

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[良い点] レビュー全文 【物語は】 学校が終わり主人公が帰宅しようとしたところ、ある小さな事件が起きる。 これが噂に聞くモテ男というやつなのだろうか。 早速、ある女生徒二人に取り合いされる主人公だ…
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