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私たちカード同好会ですっ!  作者: あさままさA
⬛短編集「語るほどでもなかった!? カード同好会の日々!」
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第二十話「禁止カード大会!? 本領を発揮するあの人物!」

「あれ、この貼り紙……禁止カード大会――って、もしかして規制されてるカードを使って対戦できるんですか!?」


 とある日の放課後、いつものようにショップへやってきたもえは店内に貼られた大会告知を見て目を丸くした。


「あー、今年もこの日がやってきたんだねー。毎年一度のお楽しみだよー」


「その言い方だと毎年やってるんですか?」


「そうだよ。メーカーから指定されたカードもお店はきちんと買い取らなきゃいけないから、年に一回こういう大会を主催してお客さんに禁止カードを買わせるんだ」


「しずくちゃん、ぶっちゃけないで下さい……」


「……とはいえ、まぁ……事実なんで、否定できない……ですけど」


 五人がそれぞれの表情を浮かべ、貼り紙を見つめる。


 この大会は店が主催する非公認大会であり、メーカーの企画ではない。


 そして先ほどしずくが語ったとおり、買い取らなければならない禁止カードの処分の一面がありながら――使用禁止されるほどのパワーを持ったカードを振るえる機会としてプレイヤー的にも楽しいイベントである。


「前から思ってましたけど、禁止カードって残念ですよね。お金払ってパックから出てきたカードなのに使っちゃ駄目なんて……」


「まぁ、友達同士で許可を取ったら使っていいんだけどねー。ただ、そうやってルール無視で遊ぶ人ってあんまりいないよねー」


「ルールに縛られてるからこそゲームって楽しいですからね」


「ヒカリさん、ルールにまで縛られて喜んでるんですか……?」


「……え? あ、しまった! 私の芸風的にさっき発言にはそういう響きもありますか!」


 思わぬ方向から指摘が飛び、悔しそうに表情を歪めるヒカリ。


「……芸風って、ヒカリさん……いつから、芸人になったん……ですか?」


「でも、確かにヒカリさんって常に守ってる芸風はあるよね」


「うーん、しずくが言えることじゃないけどねー」


 芸風という意味でいえば葉月にも一発芸があるので「お前も言えないだろ」といった感じの視線を送るもえ。


 まぁ、それはさておき――目の前のイベントでもえの頭はいっぱいになる。


(前にwikiで調べたら禁止カードって結構あるんだよね。一度、気付かずに買っちゃって損したこともあるし。……あ、そっかアレも使えるんだ)


 苦い経験を払拭できるイベント――もえは楽しみになり、皆にも事情を聞いてみることに。


 ――まずはしずく。


「しずくさんに禁止カードを持たせたらとんでもないことになりそうですね」


「そういうのってなんかことわざであったよね。何だっけ?」


「鬼に翼、虎に金棒ですよ」


「え、そうだっけ? ……まぁ、成績優秀なもえが言うんだし間違いないか」


 さらりと間違った知識を放り込むもえ。

 いつぞや動画撮影で披露した誤知識などはこうやって供給されている。


 何でも信じる先輩を面白がる嫌な後輩だった。


「で、禁止カードだっけ? 私としては一度手放したカードを買い戻さなきゃいけないのが嫌で、そこまで乗り気じゃないんだよね」


「あー、言われてみればそうでしたね。しずくさんって禁止や制限を読んで価値が高い内に手放しちゃうんですよね。じゃあ、参加しない感じですか?」


「いや、敢えて禁止カード相手に普通のデッキで挑んで腕試しかな」


「おお、カッコいいです! でも、普通のデッキで優勝したら禁止カードとは何だったのかってなりそうですね……」


 しずくの実力ならあってもおかしくないと感じ、素直に憧れるような――しかし、ちょっと怖いような気持ちになるもえ。


 続いて、もえはヒカリに質問する。


「私ですか? そうですね……何枚か使ってみたい禁止カードもありますが、私って基本的にはコントロールデッキで受けに回るわけじゃないですか?」


「あぁ、もの凄いカードパワーを捌かなきゃいけないから結構しんどいわけですか。でも、それがいいんですよね」


「そうですね……そうなんですけど。もえちゃん、そのセリフはできれば私に取っておいて欲しかったです」


 心底残念そうに肩を落とすヒカリ。


「先読みできちゃったので。でもまぁ、大会で対戦することになったら極悪な禁止カードでガンガン攻めてあげますね」


「本当ですか!? 楽しみです……♥」


「あー、でもこの大会のために禁止カード沢山買うのもアレなんで、やっぱりガンガン攻めるのは無理ですかね」


「お預けですか……? 残念です……♥」


「同じ表情で真逆のセリフ言ってる……結局嬉しいんですね。変態だ」


「やん……! 辛辣です♥」


 自分の身をギュッと抱いて恍惚の表情を浮かべるヒカリ、そしてジト目で見つめながら内心では面白がっているもえ。


 どう言葉をかけようと結局喜ぶので、ドMは無敵だともえは思った。


 さて、次は幽子に問いかける。


「幽子ちゃんはやっぱり今回も大会には出ない感じ?」


「……そもそも、開催が日曜日……だから、バイト入ってる。……ただ、禁止カードに関しては……みんなとちょっと……扱いが違う、かも」


「あ、そっか。コレクターの幽子ちゃんからすればどのカードが禁止とか関係ないもんね」


「……それどころか、禁止にされる前は……強いから、高額だったカードが……使えなくなった途端……びっくりするくらい……安くなるから、助かってる」


「まさかの禁止指定で得してる人がいた!? なるほど……そういうこともあるんだ」


 探偵が悩むポーズで感慨深そうに幽子の価値観を受け止めたもえ。


 しかし、途端に幽子は表情を暗くする。


「……ただ、良いこと、ばっかりじゃ……なくてね。……ストーリー上、繋がりがあるカードが……一つのデッキに、入らなくなる。……それは、プレイしてなくても……ちょっと嫌かな」


「そういえばちょっと前に騎士団の団長設定のカードが禁止になってたよね?」


「……うん。なんか、真面目そうなイラスト、なのに……悪いことして、逮捕されたみたいで……複雑だった」


「逆に葉月さんなんかはあのカードに苦しめられてたのか、禁止になった時は勝訴取ったみたいに喜んでたよね」


「……カードゲーム、あるある……かもね。……禁止になるカードは、やっぱり……嫌われてる、から」


 カードの世界観とイラストを愛するがゆえの悲しみをもえは汲み取り、メーカーにはもう少し上手にカード能力を調整して欲しいなと思った。


 さて、もえは先ほど話題に出た葉月を見つめる。

 葉月はほけーっと知性を感じさせない表情で貼り紙を見ていた。


「……ちなみに、だけど……この大会は、ここ二年……葉月さんが優勝……してるんだよ?」


「えぇ!? 葉月さんが!? ……何でそんな結果になるの?」


「……当日になって、目の当たりにするほうが……面白いかも。……ただ、一つ言えるのは、葉月さんが一番……この大会に向いてる、プレイヤーって……ことかな」


 幽子の言っていることがイマイチピンと来ず、首を傾げるもえ。


(禁止カードってそもそもはしずくさんが使ってきたカードだよね? それを葉月さんに持たせた途端、強くなるって……どういうこと?)


        ○


 禁止カード大会当日――葉月が対戦する卓は数多のプレイヤーに囲まれ、そこで行われている光景に皆が釘付けとなっていた。


「……葉月。いい加減私にターンを回してもらえませんか? まだ私の後攻第一ターンも始まってないのですが」


「んんー? ヒカリってそういう放置プレイ? みたいなのが好きなんじゃなかったっけー?」


「葉月に放置されて喜ぶ人間などこの世に一人としていませんよ」


「酷くないー!? ――って、そもそも放置されて喜ぶ人間が珍しいんだけどー!」


 呆れた口調で語りながら、葉月は素早い手つきでカードのプレイを繰り返していく。


 先攻第一ターン――ゲームが始まったばかりですでに葉月は何枚もカードを使用し、効果を連鎖させていた。


 そして――、


「はい、これでコンボ完成だねー。ヒカリにターンは回らないよ。これ――先攻一ターンまで相手を倒すワンショットキルデッキだから」


 あろうことかヒカリは一枚のカードをプレイすることなく、そしてデッキからまったくドローせず敗北してしまった。


「な、なんて極悪非道なコンボ……ただのソリティアじゃないですか!」


 ひきつった表情で葉月の盤面に軽蔑にも似た視線を落とすヒカリ。

 ……当然だろう。ヒカリはこの試合で――何もしていないのだから!


「今日しか出来ないコンボだからねー。勘弁してよー」


「後攻の第一ターンも回ってこないとか、もえちゃんの速攻デッキでも勝てないじゃないですか……! そりゃあ、禁止になります!」


 一切使うことがなかった手札をテーブルの上に伏せて置き、嘆息するヒカリ。


 傍から見ていたもえは開いた口が塞がらず、そして――自分がやっているゲームとはかけ離れた光景に戦慄していた。


(そっか、こんな滅茶苦茶な動きが可能になるから禁止になるんだ! 聞いたことがある……禁止カードの中にはメーカーが想定してない動きをするから指定されたものがあるって。これが――その一例なんだ!)


 カードゲームのメーカーは無論、プロの集団であるため単純に強すぎるカードを作ったりはしない。……いや、たまに作るが。


 それはさておき――プレイヤー達は時折、膨大なカードプールの中からこういったとんでもないコンボを発明し、デザイナーが意図していない使い方でカードを大暴れさせる。


 その一つが葉月の行ったような相手にターンを渡さず一気に対戦相手を倒すワンショットキルである。


 蔑称として――ソリティアと呼ばれる、超極悪なコンボデッキ。


 これの前ではしずくのプレイング、ヒカリのコントロール、そしてもえの速攻も通用しない。


 そして、このような悪行に加担してるのである。禁止カード指定されるのはまさに逮捕と言って差し支えなく――幽子の抱いていたイメージは間違っていない。


 非合法の狂ったエンジンを渡されれば、このように誰も追いつけないスピードを出せる……そんなマシンの整備と操縦が可能なコンボの魔術師、緑川葉月にとってこの大会は独壇場なのだ!


 結果、この大会であまりにも葉月が暴れすぎるため――彼女自身を禁止にすべきだという声が上がったのだった。

 禁止カードはぶちこまれるのも、出所してくるのも楽しいですね。

 制限改訂は一つのイベントだと思います。


 解除されて驚いたのはハーピ○の羽根箒ですかね。


 禁止になって悲しかったのは道化姫トリッ○スター。

 黄色のループ系デッキが好きで、ハヌ○ーリン制限も悲しかった……!


 早く環境から消えろとイライラしたのはネ○執事です。

 禁止にはなりませんでしたけどね。


 ちょっとネタが古いですね……笑


 あ、そういえば今日はアニ○スがナーフですね! 飢餓できなくなるけど、これからはカ○トがレッドブルしてくるらしいからあんま変わらないのかな。


 さて、君は伏せ字のいくつが分かったかな!?





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