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わたし、九尾になりました!【改訂前ver.】  作者: 依那 瑞希
第5部 新たなる使徒編
162/223

159話 フラッシュ!

「全然効いてなさそうだね……」


 確かに、リンドヴルムの攻撃は当たったはず。どうやら雷魔法に雷魔法をぶつければ倒せるという、単純な話ではなかったらしい。


「イーナもう一度やるか!?」


 リンドヴルムが大きい声で私に聞いてきた。リンドヴルムの頭の中には、手の内を隠すという発想は無いようである。冷静に突っ込みを入れたのはミズチである。


「この馬鹿、相手にも聞かせてどうする?」


「しまった!」


 ミズチの言葉に慌てるリンドヴルム。全く…… 戦闘中だというのに緊張感のない男である。すっかり麒麟もあきれた様子で、リンドヴルム達のやりとりを眺めていた。


 今の反応を見ている限り、アイルと違って麒麟に雷魔法は効かないだろう。いくら撃ってもおそらく無駄だ。戦いながら観察していてわかったことだが、アイルの場合、自らの身体に電気を流すことで、いわばドーピングのような使い方をしていたが、麒麟の場合は違うようである。


 雷が効かないとわかった以上、次の手を考える必要がある。


「いつまでなめた口をきいていられるか楽しみじゃな……」


 麒麟は再び激しい電撃を打ち出してくる。一歩間違えれば、大ダメージを食らうだろう。そんな緊張感の中、攻撃を一つ一つ間違えないように、捌いていく。炎の魔法、それにこの目があるからこそ、何とか対処は出来ているが、それにしても厄介極まりない。どうにかして、あの麒麟の遠距離攻撃を無効化する方法はないか……


「どうした……先ほどまでの威勢の良さはどこへ行ったのだ?」


 麒麟の雷撃はより激しさを増していく。行ってみれば完全に劣勢。そろそろこの状況が続くというのもまずい。


 そもそも麒麟はどうやって魔法を使っているのか……


 麒麟の攻撃のメカニズム。それを見定めさえすれば、活路は見えてくるだろう。何とか激しい攻撃を受け流しながら、麒麟の動きに注視する。麒麟の攻撃は魔法と言うよりも、天然の雷を利用して攻撃しているように見える。よく見ると、麒麟が攻撃する瞬間、頭部で光る二本の角に雷が落ち、強力な雷攻撃を打ち出しているのだ。


 おそらくは、雷をあの角にため込み、そこから一気に放散しているのだ。つまりは、麒麟は雷鳴山に鳴り続けている雷。あのエネルギーを利用して魔法攻撃を使っている。いわば、あの角は魔鉱石のようなものであろう。それならば、先ほどからこんなに激しい攻撃を続けながらも、一切マナ切れしなさそうな麒麟の様子にも合点がいく。


 私が言うのもなんだが、なかなかにチートじみた力である。自然を利用して攻撃しているというのなら、無限に戦えると言っても過言ではない。少なくとも、このまま行けば、先にマナが切れるのは私達だろう。


 だが、仕組みがわかれば、対処法を考えると言うことも可能である。もし、雷を利用して攻撃しているというのなら……


「イナンナさんちょっと話があるんだ」


 そう、私はここで一つの考えが浮かんだ。それには、イナンナの協力が必要になる。私はイナンナの耳元で小声で考えを伝えた。


「……そういうことなんだけど、出来るかな?」


 なかなか無茶な提案である事はわかっている。だが、イナンナは無理だというような様子を一切浮かべずに、私の提案に笑顔で返してきた。


「なるほど…… やってみる価値はありそうですね……ですが、少し時間がかかります。それまで私は戦えなくなりますが……」


「問題ないよ!どの位かかりそうなの?」


「出来るだけ急ぎますが…… 15分…… 最低でもそのくらいは必要です」


「何をごちゃごちゃ話しておる…… 策ごときで、わしの力に敵うとでも思っているのか?」


 麒麟は私達の様子が気に食わなかったのか、さらに激しさを増した攻撃を繰り出してくる。早速イナンナは準備に入ったようだ。今の私の役割は、イナンナを守りながら、麒麟の攻撃に耐えること。もはや落雷の連続で、目や耳がおかしくなりそうである。だけど、文字通り、麒麟攻略の光は見えたのである。


 果たして光がどちらに味方をするのか…… それは神のみぞ知る話であるのだ。

 


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『Re:わたし、九尾になりました!』
わたし、九尾になりました!のリメイク版になります!良かったらまたお読み頂ければ嬉しいです!





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よろしくお願いいたします。
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