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わたし、九尾になりました!【改訂前ver.】  作者: 依那 瑞希
第5部 新たなる使徒編
153/223

150話 高みを目指して


 エンディア修行その一。


 マナを使いこなすためには、心と身体のバランスがしっかりと取れていなければならない。そのために、瞑想を行うというのが、一日のはじまりである。目を瞑り、呼吸を整え、心を落ち着かせる。


「喝!」


「いてえ!」


 突然に、鋭い音と共に、リンドヴルムの声が響き渡る。


「心が乱れておる!邪念を払うじゃ!」


 リンドヴルムにとってはちょうど良い修行なのかもしれない。そんな事を思っていると、急に、私の肩にも鋭い痛みが走る。


「今邪念が見えたぞ!」


 それからもリンドヴルムが叩かれる度に、誰かが叩かれると言う繰り返しで、瞑想の時間は終了した。


「もう!リンドヴルム!全然修行にならないじゃん!」


「何故黙って目を瞑っていなければならないんだ!暇で暇で仕方が無い!」


「瞑想というのは、自然と一体化し、マナをため込む為に重要なんですよ」


 そう言いながら、休憩中の私達の元に現れたのはイナンナであった。


「イナンナさん、一体どうしたんですか?」


「私も、修行中の身ですから。こうして時間が空いたときには、寺院の方に来るようにしているのです」


 女王の仕事が大変忙しいというのは、私が一番よくわかっている。それにも関わらず、空いた時間で厳しい修行を積み重ねているというのは、見習わなくてはならない。


「瞑想は全ての基本です。呼吸を正し、意識を集中する。ただそれだけの事ですが、それが一番難しい。是非その感覚だけでも、身につけていって頂ければと思いますので、頑張ってください」


 イナンナはそう言うと、私達に笑顔で一礼し、奥にある扉へと入っていった。。ずっと気になっていた扉。エル寺院には多くの修行者がいたが、誰1人として近づくことすら許されていなかった場所である。


「あの扉の奥ってどうなってるんだろう……」


「あの扉の奥は、厳しい修行を乗り越えた者のみがたどり着ける場所。より高みへと近づくために、神に通じる力とも呼ばれる力を手に入れるために、イナンナ様は修行に励まれている」


 瞑想の時に、心が乱れた者に喝を入れていた男。坊主頭に濃い眉毛がトレードマークであるミスラが私の独り言に答えてくれた。


「イナンナさんは神通力を使いこなせそうと言うことなんですか?」


「女王は天才だ。彼女の力は歴代のどの王よりも優れているだろう。この国の皆が女王を尊敬し、女王であれば神通力を使いこなせるだろうと信じている」


「きっと、イナンナさんならたどり着けるよ!絶対に!」


「だが、力を秘めているのは、イナンナ様だけではない。皆は気付いていないだろうが、私や、おそらくイナンナ様も気付いている」


「まだ誰かいるの!?」


「あなたたちだ。特にイーナさん、それにミズチさん。あなた方からは恐ろしいほどのマナの力を感じる。だからこそ、イナンナ様もエル寺院への立ち入りを許可したのだろう。普段は外部の者は基本的には入れない場所であるからな」


「おい、俺は!?」


 抗議をするのは、リンドヴルムであった。


「リンドヴルムくん、君は邪念が多すぎる。秘めた凄まじい力は感じるし伸びしろは一番ある。だが、現状ではまだまだだな。心が追いついていない」


 ミスラは真面目な表情で、リンドヴルムに言葉を返す。その様子をみたルウやナーシェは苦笑いを浮かべるしかなかったのだろう。


 だけど、リンドヴルムの力が凄まじい事は私も良く知っている。彼が凄まじい力を持っているのは私が良く知っている。そんなリンドヴルムが、もし一番伸びしろがあるというのなら、一体彼はどこまで強くなるんだろうか。


「よし!見てろ!俺はここでもっと強くなる!」


 ミスラの檄とも言える言葉に、リンドヴルムはすっかりやる気になったようだ。そう考えれば、ここで修行という選択肢を選んだのは正解だったのだろう。シーアンで本格的に彼らと、白の十字架とぶつかることになるかもしれない。その時に、皆の力が必要になるからだ。


 リンドヴルムの言葉を聞いたミスラはフッと笑みを浮かべて、私達に向かって口を開いた。


「良い心がけだ!よしそろそろ休憩も終わりだ。次の修行に向かうとしよう!」


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『Re:わたし、九尾になりました!』
わたし、九尾になりました!のリメイク版になります!良かったらまたお読み頂ければ嬉しいです!





『memento mori』
新作になります!シーアン国のルカの物語になります!良かったらよろしくお願いいたします!




FOXTALE(Youtube書き下ろしMV)
わたし、九尾になりました!のテーマソング?なるものを作成しました!素敵なMVも描いて頂いたので、是非楽しんで頂ければと思います!

よろしくお願いいたします。
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