うちの妹が変態過ぎる2
「さあ、どの学園がいい!?」
ずらっと俺の前に進学者用のパンフレットを並べる妹。
その目は何か期待に満ちている。
「………」
そのパンフレット達には共通点があった。
「ちなみにあたしのお勧めはここ!!エスカレーター式の全寮制男子高校で、お金持ちの御曹司たちがたくさんいるの。生徒会と風紀委員と不良のチームが対立している、まさに王道学園!!!」
全て、全寮制男子高校だという事。
「え?あれって本気だったの?」
「何言ってんの??本気以外の何物でもないけど?」
真顔で即答された。
「第一、お金がかかるじゃん。家にそんなお金はな――」
「あるよ??」
ソファに座っていたゆきねぇに遮られる。
ゆきねぇは俺の一つ上の姉だ。
「あのね、この間買った株でちょっと儲けちゃって…」
えへへと笑いながら指を一本立てる。
「更に宝くじがいろいろ当たっちゃったりして利益がすごい事になってんの」
「一千万とか?」
僕の問いかけに姉は首を横に振った。
「ううん。十億」
「やっほー!!これで兄貴たちは全寮制男子高校に行き放題だね!!!」
妹よ、言う事はそれなのか…
ブレない腐女子っぷりがぱねぇぜ。
ちなみに俺は双子である。
妹は言っている兄貴たちとはもう一人の方、龍一も含まれているのだろう。
家は、ゆき姉ちゃん、龍一、俺こと玲一、妹ことはる、の四人兄弟である。
「龍君には許可もらったの?」
ため息をつきながら妹に訊いてみる。
「もちろん、貰ったよー。玲一と一緒の所でいい、っていってた」
やばい。周りから攻められている、だと!?
断る理由が――ない。
「ちなみに断った時には、仕方がない。あたしが全寮制男子高校に行く!!」
「ちょっと待てぇー!!」
おまえは女だろ!?
「だって、いい男見たいもん。ジュルリ」
恍惚とした表情でよだれを拭う妹に寒気が止まらない。
「ついでに生のBLも見たいから、イケメン達を絡ませてくる☆う腐腐腐」
この腐女子が!!笑い声まで腐ってやがる。
自分の欲望のためだけにそこまでやろうとする妹が恐ろしくてたまらない。
これが全寮制男子高校に行くだと!?
ただの災害じゃねえか!!
前回、いい男がいたら有無を言わさずに触りまくると言った奴だぞ!?
このまま放し飼いにするのは危険すぎる。
「お前のお勧めのとこに行くから、それだけはやめてくれ」
「やった。平凡とイケメン不良の入学決定!!」
結論。
うちの妹、マジ腐女子。
兄たちですらをもその腐った趣味に巻き込みやがった。
しかもいつの間にか姉を味方にして……。




