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豆腐屋さんの社畜日記 ~愉快なブラック企業と労働基準監督署~  作者: 西織


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【行き当たりばったり】

【行き当たりばったり】



 確かこの頃だと思うのだが。


 いつもの社長の思い付きが発動した。



「販売員がどんな道順でコースを回っているか、きちんと会社側が把握しておくべきや。だれが今どこにおるのか、そこまでわかるように管理せなあかん」



 そう言い出したのだ。


 わたしたちが回っているコースだが、一応、ルートが書かれた地図がある。しかし、地図通りには回れていない。ルートはしょっちゅう変化するからだ。お客さんの都合で時間が変わったり、お客さんが増えたり減ったりしてルートが変わることは多々ある。それをいちいち修正したりしない。アナログな地図だからだ。


 それと、車や携帯にGPSがついているわけではないので、会社側は社員が今どこにいるのかはわからない。どういうルートを回っているか知り得ない。


 それを社長は何とかしたいらしい。


 なぜか。



「だれかが休んだ場合、空いている人員がそのコースを代わりに回れるようにするんや」



 とのこと。


 それはすごくいいと思う。実際には、そんな待機要員を用意する余裕は全くないというか、ひどい人手不足なのに待機要員なんて作れるわけがないのだが、まぁそれは置いておいて。



 また、「本社から行商中の人に物資を届けるときのことを考えて、その人の現在地がわかった方がいい」とも言っていた。


「今まで一度も物資を届けるなんてことなかっただろ、何言ってんだ」とは思ったものの、現在地が把握できるのは悪いことではないだろう。



 社長が言うには「リアルタイムでだれがどこにいるのかを把握できて、なおかつ実際に通っているコースを保存する」のが目標だそうだ。


 その方法として、スマホのアプリを使うという。


 販売員は全員会社携帯を持っている。が、すべてガラケーだ。それらすべてをスマホに買い換え、アプリを使って道順を保存するとのこと。



 そういう通達があってから、会社携帯はすべて回収され、スマホになって却ってきた。当時の最新機種だ。何十台と買い換えたから、資金のない現状でなかなか思い切ったことをする。


 ただ実際に、社長の言うことが実現するならこれはすごく良い話だ。現状、だれかが休んだらその日は穴が空くだけ。お客さん全員を飛ばすことになる。翌日のフォローにも限度がある。交代要員がいるなら、何かあっても休める。素晴らしい。



 で。


 実際にスマホが配られて、1ヶ月ほど経った頃。会議で社長がそのことについて触れた。



「そういうアプリを使おうと思ったんやが、探してみたけどなかったんや。だからしばらく待っとけ。自社でアプリを作るから、そっからやな」


 嘘やろ。


 嘘やろお前。



 数十台と最新型のスマホに買い替えて、「そういうアプリはなかったわ」って正気か。


 じゃあ何のためにこのスマホを配ったのか。完全な無駄金じゃないか。というか、普通順序が逆だろう。なぜスマホを買ってからアプリを探す。探してから買え。


 何を、本当に何を考えているんだ……? そんなことしてるから、経営傾くんじゃないのか……?




 それに加え、この『自社でアプリを作る』、という発言である。だれが作んねん。


 社内SEはひとり残っているはずだが、そういうノウハウがあるわけではない。作ったこともない。だというのに、アプリを自社で作る、と言えるのがすごい。


 どうも社長はコンピューター関連の話には疎いくせに、「そっちの方が新しいから」という理由で取り入れようとするきらいがある。過去に「目標は自社でOSを開発することや」と宣ったらしく、所長は「こいつ絶対OSって何か知らんわ」と思ったそうな。


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