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深層世界  作者: NAAA
第三章 
38/65

8

 翌日、南のロープウェイ乗り場まで行き、エリア0に入るための手続きをする。


「すいません、次に出るロープウェイに乗りたいのですけど……。ロナウドの妹のマリアというのですが……」


 マリアがそう告げるとすぐに受付の人は「確認して参ります」といって奥の方へと入っていく。しばらく待っていると受付の人は小走りで戻ってきて俺達に笑顔を向けてくる。


「マリア様、お待ちしておりました。ロナウド様の方から事情は聞いております。……そちらの方達もご一緒ということで宜しいでしょうか?」


 マリアの傍に立つ俺達に視線を向けて確認してくる。


「はい、彼らも兄に呼び出されています。彼らの方の手続きも一緒にお願いできますか?」

「かしこまりました」


 マリアが機転を利かせて俺達もマリアのお兄さんに呼び出されたということにしてくれた。そのため、通常より簡易的な手続きを行うだけでよくなった。ふう、名前程度を書くだけの簡易的な物でよかった……。住所、年齢、家族構成、連絡先、そういったものを聞かれると後々面倒なことになりそうだったので、マリアの心遣いは本当に助かる。

 実際の乗り場まで行くともう既にゴンドラは止まっていた。形は普通のものと大した違いはないが、側面にこの世界でよく見かける青い丸のマークが大きく描かれていた。なにより普通と違うのは、このゴンドラ……


「大きいねー! こんな大きいと思わなかったよ!」


 アルが興奮気味に叫ぶ。アルは大きい物大好きだな。マリアの豪邸を見た時もはしゃいていたし、マリアの胸を見た時もそうだ。俺は別にそんな大きさを求めている訳じゃないから断じて興奮などしない!それがゴンドラであろうと胸であろうと!……いや、まあ大きいなら大きい方がいいという気はしなくもないが……。実際にこのゴンドラの場合、百人は乗れそうな大きさであり、エリア0が人の出入りが激しくなる時期には大活躍するだろう。うん、やっぱり大きい方いいな!

 出発まではまだ十数分あるらしい。ゴンドラに乗り込んでそれまで待つことにしたが、中には俺達以外誰も乗客はいなかった。


「マリアのお兄さんはどうしてエリア0で働くことになったんだ?」


 この時間を利用して前々から気になっていたことを聞いてみた。


「兄は私が住んでいるエリア9から出馬して、選挙で一代表として選ばれたのです。兄を選んで頂いただいた方には私も感謝しています」

「おお、凄いな……」


 この世界は民主主義による政治体制を取っている。つまり、選挙によって各エリアにつき数十人の代表を選挙によって選ぶことで、この世界の方針、指針を決める。エリア4,7,8などのエリアは農業や林業が盛んであることから人口密度が低いため、代表の数は他のエリアに比べて少ないが。

 なるほど、マリアの兄はその代表に選ばれたというならエリア0で働いているというのも納得できる。エリア0では毎日のようにこの世界の法律やら、政策やらについての会議を行っているみたいだからな。そういえば政治的なトップ、つまりこの世界の指導者というのは現在誰が務めているのだろうか。この世界が成り立っている以上そういう存在は確実にいるはずだ。名前くらい知れ渡っていてもよさそうなものだが……


 ――――あなたはこの世界の“指導者”に選ばれました


 ふとヘラクレスが言った言葉が頭をよぎり、チラリと俺の横に座るマリアを見る。まさか、な……。マリアは俺の目線に気付いたのか、少し首を傾げて聞いてきた。


「どうかしましたか?」


 俺はその言葉に首を振ってなんでもないという意を示す。


「まもなく、南地区、エリア0行きのゴンドラが出発致します。到着は約30分後となります……」


 アナウンスが聞こえてきた。どうやらもう間もなく出発するらしい。それにしても乗客はこの時間の間に誰も乗ってきておらず、結局俺達だけとなった。選挙期間などではないこの時期ではエリア0に向かう人はほとんどいないらしい。アナウンスは乗車時の注意など、長々と話していたがそれが終わるといよいよ出発した。


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