表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/160

第96話 獣王と竜人

 ガルスは、町の南側から歩いてくる獣王を見ていた。

 獣王は、隠れもせず、まっすぐ王都へと向かっているようだ。


「行くとするか」


 こちらから獣王が接近していることは、兵士に伝えてあった。そこから、アンナ達にも伝わるはずである。

 故に、ガルスが今やるべきことは、ただ一つだ。


 ガルスは、獣王の元へと駆けて行く。

 獣王を止めることが、今ガルスがやるべきことなのである。


「ほう?」


 獣王はガルスの存在を認識し、声をあげた。

 その顔は、心なしか嬉しそうである。


「竜魔将ガルスか、これはいい」

「獣王、お前を止めさせてもらう」

「吾輩を止めるか、倒すではなく止めるとは弱気だな」

「生憎、今の俺ではお前に勝つのは難しいのでな……」


 獣王の言葉に、ガルスはそう返していた。

 全盛期ならまだしも、今の自分では獣王に勝つのは難しい。獣王の強さを知っているため、ガルスはそう思っていたのだ。


「だが、俺には心強い仲間達がいる。俺がお前を削っておけば、その仲間達がお前を倒してくれるだろう」

「貴様程の男が、他者を頼りにするとは、意外なこともあるものだ」


 ガルスと獣王は、構え合う。


「来るがいい、竜人!」

「言われるまでもない!」


 ガルスは、獣王の元へと向かっていく。

 そこで、右の拳を振るう。


竜人拳(リザード・ナックル)!」

「ふん!」


 獣王は、その拳をいとも簡単に受け止める。まったく、微動だにしていない。


「流石は竜魔将だっただけはある。いい一撃だ」

「……くっ!」

「ほう? 引くか?」


 ガルスは、一度距離をとることにする。

 獣王の力は、予想以上であった。

 あのままだと、ガルスの拳が握りつぶされてしまう。


「やけに慎重だな? ガルス?」

「お前相手に、慎重すぎるということはない……」


 獣王の強さは、魔将以上だと予想できた。

 故に、ガルスは慎重に戦うことにしている。


 あまり踏み込み過ぎず、確実に攻撃していかなければ、逆にガルスがやられてしまうのだ。


「しかし、残念だ。どうせなら、全盛期の貴様と戦ってみたかったものだ」

「お前の仲間が罠に嵌めてくれたからな……」

「確かに、ウォーレンスも余計なことをしてくれた。最も、奴が罠に嵌めていなければ、こうして戦うこともなかっただろうがな」


 獣王の言うことは最もだった。

 ウォーレンスが罠に嵌めなければ、ガルスはアンナ達につかなかったはずである。


「だが、例え全盛期でなくとも、貴様のような強者との戦いは楽しいものだ。故に、楽しませてもらう!」


 そこで、獣王は動き始めた。

 大地を大きく踏みしめ、ガルスに向かって来たのだ。


「くっ!」


 ガルスは大きく後退する。

 獣王の一撃をまともに喰らうことなど、最も避けたいものだ。


「ふん!」

「むうっ!?」


 獣王は大きく腕を振るい、地面を殴りつけた。

 なんの小細工もないだだの一撃だ。しかし、その一撃の威力は強大である。

 獣王の殴った地面は、大きくえぐれ、消え去ってしまったのだ。


「はっ!」


 ガルスはその威力に驚きつつも、攻撃することにした。

 その口を開け、中に炎を作り出す。


火炎の吐息(ヒート・ブレス)!」

「ほう!?」


 ガルスの口から、炎の球が放たれる。

 その炎は、まっすぐ獣王に向かっていく。

 だが、獣王はまったく余裕を崩さない。


「ガオオオオッ!」


 獣王は大きく口を開き、雄叫びをあげる。


「何!?」


 すると、ガルスの放った炎は、その衝撃で弾け飛び、跡形もなくなってしまった。


「この程度か!?」

「くっ!」


 獣王は、ガルスとの距離を詰めてくる。

 それに合わせて、ガルスはさらに後退していく。


「逃げてばかりか!? 貴様らしくもない!」

「なら、攻めるとしようか!?」

「何!?」


 ガルスは一度下がった後、大きく大地を蹴り、方向転換する。

 そして、そのままの勢いで腕を振るう。

 爪を尖らせ、手刀の形で獣王を切りつけるのだ。


竜人の手刀(リザード・スラッシュ)!」

「ぐっ!」


 ガルスの手刀が、獣王の皮膚を切り裂く。

 獣王が油断していたため、予想よりもうまく手刀が入ったのだ。


「なるほど、いい攻撃だ」


 獣王の体から、赤い血が流れていく。

 しかし、獣王はそれをまったく気にしていない。

 むしろ、喜んでいるようにすら見える。


「やはり貴様は好敵手だ。傷つけられたのは、久し振りだぞ?」

「……それでも、余裕か?」

「無論、この俺にとって、この程度の傷など取るに足らないものだ」

「む!?」


 そこで、獣王の体に変化が起こった。

 ガルスがつけた傷が、どんどんと癒えていくのだ。


「な、何……?」

「極限まで、高めた闘気は、己の体を回復させる。回復する肉体(リバース・ボディ)、それこそが、吾輩の肉体」

回復する肉体(リバース・ボディ)!? 馬鹿な!? そんなものが!?」


 獣王の言葉に、ガルスは目を丸くする。

 そんな話は、聞いたことがなかった。

 そして、そんな肉体であるならば、どんな傷を入れても、回復されてしまうということである。


「なんという肉体……!」

「さて、貴様は俺の肉体をどう攻略する?」


 ガルスと獣王の戦いは、まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ