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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

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第92話 アストリオンの王

 アンナ達は、アストリオン王国の王都ネプロミスに辿り着いていた。

 ネプロミスは、普通と変わらないように賑わっており、まるで侵攻されていることを感じさせない様子だ。人々は、まるで何も心配していないように見える。


「やっぱり、優勢だからなのかな?」


 アンナは、隣のカルーナに、そんなことを聞いてみた。

 カルーナは、顎に手を当てながら、口を開く。


「そうだと思う……でも、オルフィーニ共和国のことも聞いているはずなのに、この様子なのは、ちょっと驚きだね……」

「確かに、そうかも……」


 アストリオン王国の南に位置するオルフィーニ共和国は、水魔団の侵攻によって、王都を落とされていたのだ。

 当然、ここの国民もそれは知っているはずだろう。それなのに、この余裕とは少し驚きである。

 それだけ、狼魔団が脅威ではないと、国民が思っているのだろう。


「とにかく、王城へ向かわないと……」

「うん」


 アンナ達は、王城へと向かっていくのだった。





 アンナ達は、玉座の間にて待機している。

 王城に辿り着いて、ここに通されたのだが、少し雰囲気が悪かった。

 なぜなら、王城の兵士達は、アンナ達のことをあまり歓迎していない雰囲気だったのだ。

 そのことに疑問を感じつつ待っていると、王らしき人物がやってくる。それは、若い男であった。


「お前達が、勇者一行か?」

「はい……」


 アンナ達が跪いていると、アストリオン王が口を開き始める。

 この男も、あまりいい雰囲気ではない。


「来てもらったところ悪いが、俺様はお前達の助けなど必要としていない」

「え?」

「勇者などの力を借りずとも、魔王軍を倒す。それができなければ、アストリオン王国の名折れというものよ」


 アストリオン王はふてぶてしい様子で、そんなことを言ってきた。


「狼魔団など、次の戦いで滅ぼせる。故に、勇者の助けなど必要ない」

「い、いえ、しかし……」

「……今更でてきて、手柄を盗ろうなど、許さんと言っているのだ。わかったら、早くこの王城を去るのだな……」


 アンナが、ガルスの感じた大きな気配を言おうとしたが、アストリオン王はそれを聞こうとすらしない。

 それどころか、周囲の兵士がアンナ達に近づいてくるのだ。

 どうやら、余程自身達の力だけで、魔王軍を倒したいらしい。


「お姉ちゃん、ここは仕方ないよ。一旦、引こう」

「……うん、そうだね」


 カルーナの言葉で、アンナは退却を決意する。

 アストリオン王は、これ以上話を聞かず、むしろ兵士達をけしかけてきそうな雰囲気である。

 そのため、アンナ達は王城を後にするのだった。





 アンナ達は、宿屋に来ていた。

 王城に滞在できないので、今回は宿屋に泊まることにしたのだ。

 今は、全員で一つの部屋に集まっている。


「あの王様、あんな奴だったのか、驚きだぜ……」


 ネーレは、怒っているようだった。

 故郷の王が、あのような人間だったことに、少しショックを受けているようにも見える。


「仕方ないさ。狼魔団を王国軍だけで倒せそうなのは、事実みたいだし、手柄をとられたくないっていうのも、わからなくはない……」


 アンナは、アストリオン王の言葉にある程度は納得していた。

 確かに、今アンナ達が加勢したら、手柄をとりにきたと思われかねない。

 しかし、人の話まで聞かないのは、どうかとは思っていた。これでは、ガルスが感じ取った大きな脅威のことを伝えることすらできなのだ。


「アストリオン王国軍が、狼魔団に勝ってくれたらいいけど……」

「俺の予感が外れていれば、それも可能だろう。そうそう逆転できるような戦況ではないからな……」


 ガルスの予感が外れ、アストリオン王国軍が狼魔団に勝てば、全ては問題ない。

 アンナ達の目的は、それで果たされるのだ。


「とにかく、今は戦いも起こっていないし、休んでおこう……」


 アンナの一声で、一同は解散するのだった。





 アンナとカルーナは、部屋で休んでいた。

 同じベッドで、寝転んでいるのだ。

 色々考えている二人だが、それだけは変わっていないのである。


「カルーナ、これから、どうなるのかな……?」

「うん、少し不安だよね……」


 二人は、これからのことに不安を感じていた。

 アストリオン王国がこれからどうなるのか、心配で仕方ないのだ。


「カルーナ……」

「お、お姉ちゃん……!?」


 アンナは、カルーナを引き寄せ抱きしめる。

 不安だったため、カルーナと引っ付きたかったのだ。

 カルーナの方は、急な行動に驚いてしまった。


「カルーナ、最近自分から寄って来ないからね」

「うっ……それは……」

「でも、嫌がっている訳じゃないから、これでいいよね」

「う、うん……」


 最近のカルーナは、少しアンナとの距離を開けている。

 それには色々な理由があるのだが、今度は逆にアンナが近づくようになったのだ。

 カルーナも、別に嫌ではなかったので、結局くっつくことは変わらないのである。


「どの道、今日は動けないし、こうしてようか」

「う、うん……」


 結局、アンナ達が今できることは何もない。

 そのため、今は長旅の疲れを癒すのだった。

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