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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

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第87話 教えを授ける者

 アンナ達は、アストリオン王国のある場所に向かっていた。

 ブームルド近くで一度別れた二頭の馬とも合流できたので、馬車で進んでいる。二頭とも逃げもせず、待っていてくれたようだった。

 アンナ達は、それに感謝しつつ、歩を進めていく。


「それで、カルーナ、この辺りだよね」

「うん、多分そうだと思うけど……」


 アンナ達は、既にアストリオン王国に入っていた。

 さらに、目的の場所付近に辿り着いている。


「普通の家みたいだけど……」

「うん、そうだよね……」


 そこには、ただの家があった。

 周りに他に家はないため、これが目的の家であることは間違いない。

 その不自然さに、アンナ達は少し困惑する。


「ここが、女王様の言っていた場所……」


 アンナ達はブームルドから出る際、レミレアに言われたことがあった。

 それは、ある人物に会ってもらいたいということだ。その人物と会うことで、アンナ達はさらなる力を得られるらしい。


「よし、戸を叩いてみるよ」

「うん、お願い、お姉ちゃん」


 とりあえず、アンナは戸を叩いてみることにした。


「す、すみません」


 アンナが、声をあげると、中から物音が聞こえる。

 ちゃんと中に人はいるようだ。

 少し待っていると、その戸が開いていく。


「おや、こんな所に客人とは珍しい……」

「あ、こんにちは……」


 そこから顔を覗かせたのは、三十代くらいの優男だった。

 眼鏡を掛けており、どこか知的な雰囲気のある男だ。


「僕に、何か用かな? それとも、道に迷ったのか……いや、違うか」

「え?」

「その右手から覗いている三角形の紋章……そこから推測するに、君は勇者アンナだね」

「あ、は、はい……」


 男は、アンナの素性をすぐに見抜いた。

 レミレアが勧めるだけあって、かなりすごい人物であるようである。


「エスラティオ王国女王のレミレア様に言われてきたんですけど……」

「レミレアが? なるほど……僕の力が必要になったのか……」


 アンナの言葉に、男は納得しているようだ。

 さらに、女王であるレミレアを呼び捨てにしている。

 この男は、一体何者なのだろうか。


「さて、君だけではないのだろう? それなら、皆を呼んでくるといい。中で話をしよう」

「は、はい」


 男はアンナだけでなく、仲間達も家の中に招いてくれる。

 アンナは、仲間達を呼び、男の家に足を運ぶのだった。





 アンナ達は、男の家に入っていた。

 今は、全員でテーブルについている。


「さて、君達のことは知っているよ。勇者アンナ、魔法使いカルーナ、聖女ティリア、竜人ガルス、半魔ツヴァイ……もう一人は意外な人物、アストリオン王国のネーレだね?」

「俺のことも知っているのか!?」


 男は、アンナ達のことを知っているようだ。

 だが、ネーレのことまで知っているのは、驚きである。彼女がアンナ達に同行し始めたのは、つい最近のことだ。

 他の五人ならともかく、ネーレまで知っているのは、不思議である。


「勇者パーティにいるのは知らなかったがね。君の噂は聞いたことがある」

「な、なるほど……」


 その疑問の答えを、男はすぐに出した。

 どうやら、アンナ達とは別の所で、ネーレを知ったようだ。


「それで、えっと……あなたは一体何者なんですか?」


 そこで、アンナは疑問を投げかける。

 ここまで話してきたが、未だにこの男が何者かわからないのだ。


「ふむ……それはいいだろう。何から知りたい?」


 アンナの言葉に、男はゆっくりと頷き、そう言う。

 その言葉から、質問形式であると、アンナは理解した。

 とりあえず、アンナは名前から聞くことにする。


「それじゃあ、まずお名前は……?」

「……名前か、ただ、僕の名前はあまり重要ではない。元の名前で呼ばれることなど、ほとんどなくなったからね」

「え?」


 男はそう言って、自身の名を言わなかった。

 しかし、それではアンナ達が困ってしまう。


「それじゃあ、なんと呼べば……」

「ふむ……多くの人は、僕のことをある異名で呼ぶ。教えを授ける者、即ち、教授とね……」

「教授……?」


 男のことは、自らを教授と名乗った。

 その言葉から、男がどのような人物なのか、ある程度想像できる。

 しかし、その口から直接聞かなければならないことでもあるだろう。


「それで、教授は何をしている人なんですか?」

「そうだね……研究と言っていいのかもしれない。魔法やその他色々なことを研究しているんだ」

「研究ですか?」

「ああ、だから、レミレアも君達をここに来させたのだろうね」


 教授は、そう言って笑った。

 やはり、レミレアと親しそうな雰囲気がある。

 これも、聞いておきたいようなことだった。


「教授……あなたは、レミレア女王様と一体どういう関係なんですか?」

「うん? ああ、レミレアとはかつて同じ師の元で学んだんだ。その関係で、彼女とは親しくさせてもらっているのさ」


 教授は、レミレアと同門だったようだ。

 それなら、親しくてもおかしくはないのかもしれない。


「さて、質問はこれくらいでいいかな?」

「あ、はい」


 そこで、教授は質問を終わらせようとする。

 アンナも、これ以上聞きたいことは特になかったため、その提案を受け入れた。

 すると、教授は再び口を開く。


「よし、それなら、早速始めるとしようか……」

「始める……?」

「ああ、君達をさらなる高みに上らせる教えを授けよう」


 どうやら、ここからが教授の本領発揮らしい。

 教えを授ける者が、一体どのようなことをするのか、アンナは期待するのだった。

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