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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第五章 水面に映るもの

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第84話 水魔将の最期

 アンナ達は、水魔将フロウと対峙している。

 カルーナの機転によって、分身カルーナと分身ガルスは消え去った。これにより、水の鏡(アクア・ミラー)は攻略できたのだ。

 残るフロウは、分身とそれぞれの一体ずつである。


「お姉ちゃん!」

「アンナ!」


 カルーナとガルスは、最期の分身と戦っているアンナの元に駆け付けた。

 アンナは、分身から放たれる水の刃から、身を守り動けない状態だ。


「カルーナ! ガルス!」

「くっ……なんということだ。拙者の水の鏡(アクア・ミラー)が、こうも簡単に破られるとは……」


 水魔将フロウも、流石に援軍の登場には、驚いているようである。

 状況は、アンナ達が圧倒的に有利だった。


「仕方ない……ここは仕切り直させてもらうぞ!」

「うっ!?」


 そこで、分身が形を変える。

 分身は水に戻り、聖なる光の隙間に潜り込み、アンナに巻き付いてきた。

 それと同時に、フロウの本体が動き始める。


「勇者、こちらに、来てもらうぞ!」

「くっ……!」


 フロウは、巻き付けた水を引っ張り、アンナを連れていく。

 抵抗しようと体を動かすアンナだったが、張り付いた水は動かない。


「お姉ちゃん!」

「アンナ!」


 カルーナとガルスも、それを追って駆けていく。


「無駄だ!」

「はっ!? ここは!?」


 フロウの言葉が聞こえた時、アンナは理解した。

 目の前にあるのは、大きな穴だ。どうやら、王国の地下通路に続く道らしい。

 現在、即席(インスタント・)水没器(ウォーター)によって、王国内は浸水しており、地面に水が張る程である。つまり、地下通路は完全に水に浸かっているのだ。


「はああ」


 アンナは大きく息を吸う。

 次の瞬間、アンナは水の中へと入っていった。


「お姉ちゃん」

「くっ!」


 カルーナとガルスは、そこで足を止める。そうすることしか、できなかったのだ。

 水の中は、水生魔族のフロウにとって、最も戦いやすい場所である。そこに入れば、まず勝ち目はない。

 そのため、ここからなんとかして、アンナを助けなければならないのだった。





 アンナは、水の中に入っていた。


「っ……」


 当然、水中では息を止めなければならない。


「ふふ、ここは拙者の領域、いくらお前でも、ここでは動けまい」


 一方のフロウは、地上よりも動きやすそうだった。

 このまま戦っても、アンナの敗北は目に見えている。なんとかして、この状況を脱しなければならないのだ。


「……このまま決める! 水魔奥義! 三日月の水撃(クレッセント・ブルー)!」


 その言葉で、フロウの周りの水が動きを変える。

 形としては、認識できないが、アンナは水の刃ができたのだと解釈した。

 この状況で、できることは少ない。アンナは、聖なる光を変化させ、自身の身を守るのだった。


「無駄だ! この攻撃は、地上の時よりも威力が上がっている!」

「……っ!」


 フロウの言葉通り、聖なる光は切り裂かれていく。このままでは、アンナに当たるのも時間の問題である。

 アンナは、必死に思考し、この状況を、どうにかできる手を探す。

 だんだんと息が苦しくなる。早くなんとかしなければ、溺れる恐れもあった。


「……っ!」

「むっ……!?」


 そこで、二人は同時に驚く。

 水の中に何かが入ってきたからだ。

 それは、光の球体のようなものだった。


「っ……?」


 光の球体は、アンナに近づき包み込んだ。

 光の中に入ったアンナは、そこに空気があることを理解する。


「大丈夫か……アンナ」


 そして、目の前に見覚えのある鎧がいたことも認識した。


「ツヴァイ!?」

「鎧魔将か……」


 アンナを助けたのは、ツヴァイである。

 自身の戦いが終わった後、アンナ達の元へ駆けつけたのだ。


「これは……一体?」

「先程窒息しかけたのでな……水対策はしておいた。俺の周りを魔闘気の層を作り出し、水を遮断しているのだ」

「そ、そんなことが……」


 光の正体は、ツヴァイの魔闘気だった。

 この中には、水が入って来ないようになっているようだ。

 さらに魔闘気は、フロウの攻撃さえも防いでいる。


「さあ、ここから脱出するぞ」

「うん、お願い……」


 ツヴァイは、そのまま上昇していく。


「逃がすか!」


 フロウは、それに対して、水の刃を放つ。

 しかし、ツヴァイの魔闘気にそれは通用しない。


「馬鹿な!?」

「邪魔をするな!」


 その直後、ツヴァイの手から魔闘気が放たれる。


「ぐあああっ!」


 その魔闘気が、フロウの体に当たった。

 それのより、フロウは叫びをあげる。


「どうやら、お前も消耗していたようだな……」

「くっ……」


 フロウは、ここまでアンナ達五人を相手してきた。

 そのことで、かなり消耗していたのだ。

 そのため、ツヴァイの攻撃や防御に太刀打ちできないのだった。


「ふん!」


 そう言っている間に、アンナとツヴァイは地上に戻る。


「……まだ、水中にいるか。ならば……」


 水中にいるフロウに向けて、ツヴァイの手から魔闘気が放たれた。


「ぐああああああっ!」


 その攻撃もフロウに当たり、水中から叫び声が聞こえてくる。

 頭上からの連続攻撃に、フロウは為す術がないようだ。


「ぐうううう!」

「来たか……」


 フロウは、なんとか身を翻し、地上へとでてきた。

 そこには、アンナ、カルーナ、ガルス、ツヴァイと勇者一行のほとんどがいる。

 最早、フロウに勝ち目はないだろう。


「なるほど……これは、拙者も終わりか」

「その通りだ。俺達全員に勝てるはずもない」


 フロウの言葉に、ツヴァイが答える。

 本人も、既に敵わないことを理解しているようだ。


「だが、拙者もただやられる訳にはいかん!」


 そこで、フロウの体が光始める。


「まずい! 全員下がれ!」

「間に合わん! 俺が受け止める!」


 その瞬間、ガルスが声をあげ、それにツヴァイが続いた。

 ツヴァイは、三人を守るように、前に立ち、魔闘気を展開する。


「聖なる光よ! 私達を守れ!」


 さらに、アンナの聖なる光が四人を覆う。

 全ては、フロウの攻撃を防ぐためだ。


水の(ウォーター・)爆発(エクスプロージョン)!」


 フロウの体は爆発し、周囲に大きな衝撃を引き起こす。


「うわああ!」

「きゃああ!」

「ぐうううう!」

「ぐわあああああ!」


 ツヴァイとアンナの防御があっても、その衝撃は大きなものだった。

 四人の体が、大きく吹き飛び、地面に叩きつけられる。

 しかし、決定的なダメージにはならず、四人はすぐに体勢を立て直せた。


「フロウは……」


 アンナは、先程までフロウがいた場所を見る。

 そこには、誰もいない。


「……奴は、自爆したのだ」


 ガルスの口から、そんな言葉が漏れてくる。

 それは、薄々全員が気づいていたことだ。

 魔将にまでなった男が、最期にとった行動が自爆だったのである。


「奴は、最近魔将になった新参者だった……」

「新参者?」

「ああ、奴は海魔団に所属していたが、その功績を認められて、魔将になったのだ」


 ツヴァイは、フロウのことをそう振り返った。


「そのことから、自身の命を投げうってでも、俺達を倒したかったのだろう。海魔将と奴は、義兄弟ともいえる関係だったしな……」

「……そうだったのか」


 ツヴァイの言葉で、アンナはフロウの行動を理解する。

 彼は、後に戦うであろう者達のために、自身の体を投げだしたのだ。


「皆、早くこの戦いを終わらせないと……」

「カルーナ、うん、そうだね」


 カルーナの一声で、三人は思い出す。

 水魔将を倒したことで、この戦いは終わりなのだ。

 即席(インスタント・)水没器(ウォーター)を破壊し、浸水を止め、さらにはこの戦いも止めなければならない。

 アンナ達は、動き始めるのだった。

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