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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第五章 水面に映るもの

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第79話 恐怖のスライム

 ツヴァイは水魔団の秘密兵器、スライミーと対峙している。

 窒息攻撃を、なんとかしのいだツヴァイだったが、斬撃が効かないスライミーをどうやって倒すのか、わからないでいた。


「ふふふ……」


 そんなツヴァイに、スライミーはゆっくりと近づいてきている。

 何かを仕掛けてくるつもりのようだ。


「固い鎧とは、厄介なものだ……だが、私の体は、あらゆるものに変化する」

「何……?」

酸の弾丸(アシッド・バレット)!」

「くっ……!」


 スライミーの体が弾け、そこから液体がツヴァイ向かって飛んできた。

 ツヴァイは、これを受けるのを危険だと判断する。ただの攻撃とは、思えなかったのだ。


「まだまだ……」

「なっ……!」


 ツヴァイは躱したと思ったが、地面に当たった液体は跳ね返っていた。


「くっ……!」


 なんとか躱そうとしたツヴァイだったが、完全に回避できず、液体が当たってしまう。


「こ、これは……?」

「ほう……完全には当たらなかったか。流石だな……」


 液体によって、ツヴァイの纏う鎧は少し溶けていた。

 どうやら、液体には鎧を溶かす性質があるようだ。


「私の体を、酸に変化させて撃ったのさ。これなら、固い鎧も問題ない」

「酸だと……」

「私の体は、少しだけ性質を変化させられるようでね」


 ツヴァイは、スライミーの言葉に目を丸くする。

 これで、鎧の防御も無意味となってしまった。しかし、鎧を解いたら、窒息攻撃の餌食になるだけだ。


「まだまだいくぞ! 酸の弾丸(アシッド・バレット)!」

「くっ……」


 そこで、スライミーの次なる攻撃が放たれる。

 ツヴァイは、これに対して全身の魔闘気を集中させた。


鎧の障壁(アーマー・バリア)!」


 ツヴァイは、鎧に魔闘気を纏わせ、酸を遮断することにしたのだ。

 全能力を防御に割いて、その酸を防ぐ。


「ほう……流石は元鎧魔将、大した防御だ」

「はっ……!」


 ツヴァイの魔闘気で、酸は遮断された。

 しかし、防御に集中している内に、スライミーに背後に回られたようだ。


「次は逃がさないようにしよう……」

「くっ!?」


 スライミーが、背後からツヴァイを包み込んでいく。

 まるで、水の中に入っていくかのようだった。


「ふふふ、これで全身……」

「ごふ……」


 スライミーに完全に取り込まれたツヴァイは、再び呼吸を奪われることになる。

 上下左右、ツヴァイに逃げる場所はなかった。手足を動かしても、どこにも進むことができないのだ。


「ごふっ……!」

「来たか……!」


 そこで、ツヴァイの鎧が光輝いた。

 魔人の鎧槍(アーマード・ランス)を槍に戻し、その衝撃でこの拘束を解くためだ。


「ふん……!」

「はっ……!」


 しかし、スライミーはそれに合わせて、体を分担させた。

 魔人の鎧槍(アーマード・ランス)は槍に変化し、一瞬ツヴァイは空気を得ることができる。


「もう一度だ……」

「ごっ……」


 その直後、スライミーの拘束が再び始まった。

 ツヴァイは再度、呼吸を封じられてしまう。


「これなら、何度変化しても同じだろう?」

「ごふっ……」


 スライミーの言う通り、魔人の鎧槍(アーマード・ランス)を変化させても、また呼吸を封じられるだけである。

 だが、束の間でも空気を得なければ、ツヴァイは倒れてしまうだけだ。

 その方法で、なんとか凌ぐしか、ツヴァイに方法はなかった。


「束の間でも空気を得たいと思っているようだが、これはどうかな……? 酸の体(アシッド・ボディ)!」

「ん……!」


 ツヴァイがそんなことを思っていると、スライミーの体が変化していく。

 自信の体を酸に変えたようだ。


「んんん!」


 ツヴァイは、咄嗟に自身の周りを魔闘気で覆った。

 これで、酸はとりあえず防ぐことができる。


「なるほど……だが、呼吸はできまい」

「ん……!」


 しかし、劣勢は変わらなかった。

 魔闘気を解けば、ツヴァイは溶かされてしまう。この拘束を根本的に解決しなければ、いずれ魔闘気が出せなくなって、先にツヴァイが力尽きるのだ。


「……く!」

「む……!」


 そのため、ツヴァイの取った行動は、魔人の鎧槍(アーマード・ランス)を変化させることではなかった。


「こ、これは……?」


 ツヴァイが使ったのは、魔闘気である。


「な、何が、が、が、が、が……」


 その攻撃によって、スライミーの様子が変わった。

 明らかに苦しんでいる様子である。


「くっ……退避!」

「がはっ!」


 それにより、スライミーはツヴァイから離れていった。

 空気が戻ったため、ツヴァイは呼吸を再開する。


「はあ、はあ……」

「な、何をした……?」


 スライミーは、そう疑問を呟く。

 ツヴァイの行動は、スライミーにとって予想外のものだったようだ。


「思った通り、内部破壊は通用するようだな……」

「内部破壊……?」

「俺の魔闘気を、お前の中に流し込んでやったのだ……これなら、物理攻撃が効かなくても攻撃できる」

「そんなことが……」


 ツヴァイが行ったのは、相手の内部を破壊するためのものである。その攻撃は、物理攻撃の効かないスライミーにも通用したようだ。


「もう一度浴びせてやる!」

「内部攻撃か……厄介だ。だが……」


 ツヴァイは、スライミーに向かって手を伸ばし、魔闘気を流し込もうとする。

 しかし、そこでスライミーの体に変化が起こった。


「何!?」

「キュルキュルキュル」


 スライミーは、魔闘気が流し込まれる寸前に体を分裂させたのだ。ツヴァイの手は空ぶるだけだった。

 それを見た後、周囲のスライムが一つになる。


「私の体は変幻自在……君の攻撃を受ける必要もない」

「くっ!」


 ツヴァイは、その様子に頭を悩ませた。

 散らばられるのでは、ツヴァイの攻撃を通すことができないのだ。また、ツヴァイは攻撃手段がなくなってしまった。


「いや……」


 だが、そこでツヴァイは思いつく。スライミーを倒すことができる手段を。


「……ならば」

「む?」


 ツヴァイは、手に持つ魔人の鎧槍(アーマード・ランス)をスライミー目がけて突きさした。


「血迷ったか?」


 スライミーは突然の攻撃に、少し驚きながらも、体に穴を開けてそれを回避する。

 その瞬間、ツヴァイの槍が光輝く。


変化(チェンジ・)(リバーシブル・)(アーマード)

「何!?」


 ツヴァイの言葉とともに、スライミーの体が鎧に包まれる。

 魔人の鎧槍(アーマード・ランス)を相手に纏わせたのだ。


「これは……? で、出られない!?」

魔人の鎧槍(アーマード・ランス)は高い防御力を誇る鎧だ。それを反転させ、お前の拘束具とした。これで逃げ場はないぞ……」

「くっ……酸の体(アシッド・ボディ)!」


 スライミーは、自身の肉体を酸に変化させたようだが、それでも鎧を溶かすのには時間がかかる。

 そして、その時間はツヴァイの攻撃を許してしまうということだ。


「喰らえ!」

「ぐわああああああ!」


 鎧の中で逃げ場がないスライミーに、ツヴァイの内部破壊攻撃が伝わっていく。


「こ、こんな攻撃が、あるとは……」

「お前は恐ろしい敵だった……相性が良くなければ、俺も危なかっただろう……」

「ふふふ、だが君であっても、フロウ様には勝てない。私は先に、向こうで待っているとしよう……」


 その言葉を最後に、スライミーが言葉を発することはなかった。

 ツヴァイは念入りにしばらく魔闘気を注入したが、しばらくしてそれをやめる。


変化(チェンジ・)(ランス)


 そこで、ツヴァイは鎧を槍に変えた。

 すると、中にあったのはただの水である。その水は、地面にある水に混ざり、どこかに消えていった。


「奴は……何者だったのか……いや、それはどうでもいいことか」


 ツヴァイは、近くにあった即席(インスタント・)水没器(ウォーター)を破壊する。

 これで、ツヴァイの一戦は終わるのだった。

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