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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第五章 水面に映るもの

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第75話 水没する都市

 アンナ達は船によって、オルフィーニ共和国に辿り着いていた。

 ガルスの予想では、この国に何かが起こっているらしい。

 事実、アンナ達の着いた村も、何か騒がしかった。


「ちょっと、聞いてみよう」


 アンナは、近くの村人に現状を聞いてみることにする。


「すみません……何か、あったんですか?」

「なっ! あんた達、旅行者か!? すぐに逃げた方がいいぜ!」

「え?」

「この国は、もうおしまいだ。中心都市のブームルドまで、水魔団が侵攻したんだ!」

「なっ……!」


 村人は、それだけ言って駆けて行った。

 告げられた事実は、思っていたよりも恐ろしいことである。

 この国は、危機的状態にあるようだ。


「中心都市まで侵攻って、そんな……」

「俺の勘が当たっていたか……」

「お姉ちゃん……どうする?」


 カルーナの質問に、アンナは考える。

 もちろん、水魔団と戦うのは最初からわかっていたことだ。だが、現在の状況は、アンナ達が圧倒的に不利である。


「この人数で……」


 水魔団に中心都市まで侵攻されているということは、オルフィーニ共和国の軍隊は壊滅しているだろう。

 そのことから、水魔団とアンナ達だけで戦わなければならないのだ。つまり、数だけでも、違い過ぎるということである。


「……だけど」


 しかし、このままでは、オルフィーニ王国はさらに崩壊することになるだろう。いち早く、水魔将を討ち取り、王国を取り戻さなければならなかった。


「やるしかないか……」

「うん……行こう、お姉ちゃん」


 アンナは、ブームルドに向かうことに決める。

 それに反対する者はいなかった。

 ただ、一人だけ同行者でしかない者がいる。


「ネーレ、私達はブームルドに向かう。だから、ここで……」


 アンナは、ネーレに逃げるよう告げようとした。

 だが、アンナが全てを言う前に、それを否定される。


「いや、俺も行くぜ……」

「え?」


 ネーレが、同行を宣言したからだ。

 そのことに、アンナは驚いた。


「同行って……その意味がわかっているのかい?」

「もちろんだ……魔王軍と戦うんだろ」


 アンナ達についていくのは、戦場の真ん中に飛び込むということだ。

 ただの家出少女が、そんな所についてくるのは、アンナには信じられなかった。


「俺も、お前達程じゃないが、戦えるぜ……戦力は一人でも多い方がいいだろ?」

「それは……」


 確かに、ネーレの言う通り、今は戦力が足りていない。そのため、その提案はありがたいものでもあるのだ。


「……わかった。同行を許す。けど、私達も助けられるわけじゃない……」

「大丈夫さ。逃げ足は速いんだ」


 こうして、アンナ達は馬車によってブームルドへ向かっていった。





 アンナ達は、馬車で数時間かけてブームルド付近の村まで辿り着いた。

 ここで、一度体勢を立て直し、ブームルドに行く予定だ。

 だが、そこでアンナ達は気づく。


「どうやら、まだ完全に陥落してはいないようだな……」


 ガルスが現状を分析して、そう呟いた。

 ブームルドからは、色々な音が響いており、戦闘の最中であるようだ。

 つまり、まだ水魔団に、抵抗している者達がいるということである。


「馬達は、ここに置いていこう。まずくなったら、逃げるはずだ……」


 アンナは、二頭の馬を見ながら、そう呟く。


「ブルル」

「ヒヒン」


 そして、二頭の馬を馬車から解き放つ。

 これで、いつでも逃げることができるだろう。


「ならば、全員俺の近くに来い。あの都市には、空から侵入する」


 そこで、ツヴァイがそう言った。

 ブームルドの周りは、大きな壁によって囲まれている。それを超えるため、ツヴァイが飛んで皆を運んでいくのだ。


変化(チェンジ・)(ランス)


 ツヴァイが呟き、魔人の鎧槍(アーマード・ランス)を鎧から槍へと変化させた。

 そのことで、ネーレが目を丸くする。


「なっ……悪魔!?」

「……俺は、悪魔ではない。最も、人間でもないがな」

「ツヴァイは、私達の味方だよ。そっちのガルスだってそうさ」

「え?」


 アンナの言葉に、ガルスは自らのマントを投げ放つ。

 ネーレの驚きが、さらに加速する。


「リ、リザードマン!?」

「大丈夫、落ち着いて……」

「……あ、ああ」


 ネーレは驚いたものの、すぐに落ち着いてくれた。

 非常であるため、細かいことを聞くのをやめたのだろう。


「皆、ツヴァイの近くに……」


 アンナの言葉で、全員ツヴァイに近づく。

 すると、ツヴァイの体から微量の電気が漏れてくる。


「この電気で、全員を繋ぐ……」

「うん……」


 電気によって、アンナ達とツヴァイの体が繋がれていく。

 それに合わせて、ツヴァイが羽を広げる。


「いくぞ!」


 ツヴァイが飛び立つと同時に、アンナ達も上へと引っ張られていく。

 そのまま、ツヴァイは進み、アンナ達は外壁の上部へと辿り着いた。


「なっ! なんだ! あれは!?」


 そこでアンナ達は、目を丸くする。

 ブームルドの各地点に、青い結晶があり、その結晶から水が溢れているのだ。

 そのことで、地面には水が溜まっており、足が浸かってしまう程であった。


「あれは、即席(インスタント・)水没器(ウォーター)……」

「ガルス、知っているの?」

「ああ、あれは、水に属する魔族がよく使う、水を呼びだすものだ。このままでは、この都市は水没してしまう」

「そんな……!」


 ガルスの言葉に、アンナは理解する。

 都市が水没してしまえば、ここで戦うことなど不可能だ。

 つまり、まずその即席(インスタント・)水没器(ウォーター)をなんとかしなければならない。


即席(インスタント・)水没器(ウォーター)は、全部で四個あるようだ。その付近に、強い気配を感じる……」

「四個か……なら、四手に分かれるということか」


 ガルスが、即席(インスタント・)水没器(ウォーター)のあるらしい所を指さした。アンナ達は分担し、それを破壊することに決める。


「なら、俺とガルス、アンナとカルーナは別れるべきだろう。戦力としては、その方がいい……」

「そうだね……ティリアとネーレは……」

「二人は、アンナについていけ。要は勇者だ」

「ツヴァイ……」


 分担をツヴァイがまとめたが、それにアンナは目を丸くした。

 なぜなら、ツヴァイがティリアを自分に同行させようとしなかったからだ。


「いいの? ティリアは……」

「構わん……ここまで連れてきた以上、一番できることをさせるべきだ」


 アンナの言葉に、ツヴィアはそう答えた。これも、彼なりの決意なのだろう。


「わかった……それじゃあ、下に行こう」

「ああ、いくぞ……!」


 ツヴァイが飛び降りるとともに、アンナ達も下に降りていく。

 やがて、水に浸された地面に着地する。


「地面が……」


 水は、足首が浸かる程であり、その冷たさが伝わってきた。


「……気をつけろ。水は、水魔団の得意分野だ……」

「うん……」


 ガルスの言葉に、アンナはゆっくりと頷く。


「それじゃあ、皆、行こう!」

「お姉ちゃん、皆……きっと無事で」

「ティリア、お前も充分に気をつけろ」

「はい、兄さん……」

「では、行くとするか」

「なるほど、これが勇者一行か……」


 それぞれ言葉を放った後、アンナ達は散らばった。

 目指すは即席(インスタント・)水没器(ウォーター)

 アンナ達は、それぞれ駆け出し、それがある地点に向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アンナの言葉に、ガルスは自らのマントを投げ放つ。 [一言] ガルス、かっこいいシーン多いですよね?
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