表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第四章 毒々しき心

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/160

第71話 イルドニア王国出発

 毒魔団との戦いから数日経った後、アンナ達は、イルドニア王に呼びだされていた。

 アンナ達の今後を話し合うためである。


「よく来てくれたのう。勇者よ」

「はい、王様」

「さて、立ってくれて構わない」


 イルドニア王の前に、アンナ達五人は跪いていた。

 王の合図で、五人は立ち上がる。


「さて、お主達も、そろそろ新たなる国へと向かわなければならん」

「はい……」


 アンナ達は休息を終えたため、新たなる国へと旅立たなければならない。

 また、次の戦いが始まるのだ。


「次の目的地はオルフィーニ共和国……この国から、西へと向かった場所にある国じゃ」

「オルフィーニ共和国……ですか」


 イルドニア王から告げられた目的地は、オルフィーニ共和国という場所であった。


「あの国に向かうには、海を越えなければならん」

「海ですか? 確か、海は海魔軍に支配されているのでは……?」


 アンナは、かつて別の国でそう聞かされている。

 そのため、海の航海は危険だと思ったのだ。


「それは、北の海が主でのう。こちらの海は、比較的安全じゃ」


 アンナの疑問に、イルドニア王はそう答える。

 こちらの海は、大丈夫なようだ。しかし、比較的安全であるということは、それなりの危険があることは確かである。


「最も、海を越えなければ、お主達が向かっていない国には、どの道行けん。多少の危険も、仕方ないのじゃ……」

「……そうですね」


 アンナも、そのことは理解していた。

 ただ、確認しておかなければならなかっただけだ。

 海魔団と戦うのなら、それなりに覚悟をする必要があった。それだけのことである。


「船は既に手配してある。所定の場所に行けば、馬車ごと運んでくれるじゃろう」

「ありがとうございます」


 こうして、アンナ達の次に向かう場所が決まったのだった。





「さて、出発か……」


 アンナ達五人は、馬車に乗り込むことにした。今回も、アンナとカルーナが御者席に座る。ティリアとガルス、ツヴァイは馬車の中に入るのだが、そこでアンナはツヴァイの格好が気になっていた。


「ツヴァイ、馬車の中くらい、鎧を解いてもいいんじゃない?」


 ツヴァイは、魔人の鎧槍(アーマード・ランス)を鎧として纏っている。半人半魔(ハーフ)であることを隠すためらしいが、流石に息苦しいのではとアンナは思った。


「構わん……人間に見つかると、厄介だろう?」

「でも、そんな格好じゃあ、息苦しくない?」

「俺は、長年鎧を纏っていたのだぞ? これくらい平気だ」

「あ! ああ……」


 そこで、アンナは気づく。

 ツヴァイは魔王軍に、リビングアーマーとして在籍していたのである。そのため、人前で鎧を脱ぐことはできなかったはずだ。

 つまり、ツヴァイにとって鎧を纏って生活するのは慣れており、苦でないのだろう。


「さて、俺は馬車の中に入らせてもらう」


 そう言って、ツヴァイは馬車の中に入る。

 そこで、ツヴァイが手を伸ばし、ティリアに対して言葉を放った。


「ティリア、足元に気をつけるのだぞ。手を貸してやる」

「兄さん、ありがとうございます。でも、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ?」


 ツヴァイの提案を、ティリアは丁重に断る。

 ティリアも、流石に過保護だと感じたのだろう。


「ねえ、カルーナ?」

「うん? どうしたの?」

「ツヴァイって、なんていうか……妹好きだよね」

「……確かにそうかも」


 アンナとカルーナが、そんな風に話していると、ガルスが口を開く。


「アンナ、カルーナ、お前達も人のことは言えないと思うぞ……」

「え? そうかな?」

「そうだ」


 ガルスは、アンナやカルーナもツヴァイと変わらないと言ってきたのだ。


「……まあ、確かにそうか」


 確かに、アンナにも思い当たる節があった。

 他人を笑える立場ではなかったのだ。


「まあ、俺も兄妹愛や姉妹愛を否定するつもりはない。家族を愛し、心配するのは当然のことだ」

「家族を愛する……」


 ガルスの言葉に、カルーナが反応した。

 カルーナは、何かを考えているようだ。


「カルーナ、どうしたの?」

「うん、お姉ちゃん……今日はちょっとごめん」

「え?」

「ガルスさん」


 カルーナは、アンナに謝るとガルスに声をかけた。


「なんだ?」

「今回の案内だけでいいので、変わってもらえませんか?」

「む? 俺は別に構わんが……どうかしたのか?」

「はい、ちょっと考えたいことがあって……」


 そう言ってカルーナは、ガルスに地図を渡して、馬車の中へと向かっていく。


「それじゃあ、お願いします」

「カ、カルーナ? ちょっと……」


 アンナの制止も聞かず、カルーナは馬車の中に入ってしまった。

 残されたアンナは、少しショックを受ける。いつも一緒だったカルーナが、何故かわからず離れていく。それが、どうしようもなくショックだったのだ。


「……寂しいのか?」


 隣のガルスが、アンナにそう聞いてくる。


「……うん」


 弱っていたアンナは、誤魔化すこともせず、それに頷く。最早、強がる力も残っていなかったのだ。


「まあ、あの年頃なら、色々悩みもあるだろう。それに、別にお前を嫌ってのことではないようだ。問題ないのではないか?」

「……そうだね。ありがとう、ガルス」


 ガルスの励ましで、アンナは少し元気を取り戻す。

 二人は、御者席に乗り、馬達に合図を出した。


「マルカブ、シェアト、よろしくね……」

「ブルル!?」

「ヒヒーン!?」


 馬達も、元気がないアンナに少し驚いていたが、すぐに走り出す。


「あ、そうだ。ガルスに聞きたいことがあったんだ?」

「聞きたいこと? なんだ?」


 そこでアンナは、あることを思い出していた。

 それは、ガルスがかつていた魔王軍のことだ。


「ガルスやツヴァイは、魔将だった訳だけど、それって何人いるの?」

「ああ、そのことか……」


 アンナが気にしていたのは、魔将の数である。

 今までアンナは、五人の魔将に会ってきたが、何人いるのかは気になることだった。

 それは、後どれくらい戦いが続くのかという指標にもなるからだ。


「魔将は全部で十人いる」

「十人か……」


 魔将は、合計十人いるらしい。

 アンナが倒したといえるのは、四人である。よって、後六人もの魔将と戦わなければならないのだと、アンナは思った。


「お前が今まで会ったのは、剛魔将、竜魔将、狼魔将、鎧魔将、毒魔将。残りの水魔将、海魔将、闇魔将が魔王軍の主戦力だ」

「それだと八人だね」

「ああ、残りの影魔将と操魔将は、魔王の側近に位置する者達だ」

「側近……」


 アンナは、ガルスのおかげで、これから戦うべき者達を理解できた。


「ガルス、ありがとう。魔王軍のことが、少しだけわかったよ」

「このくらいのことなら、いくらでも聞けばいい」


 アンナ達の旅は続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ