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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第四章 毒々しき心

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第67話 毒魔の禁術

 ティリアの回復魔法によって、アンナからラミアナの毒は抜けきった。

 アンナは、聖剣を構えながら、ラミアナの前に立つ。


「悪いけど……こっちは回復させてもらったよ」

「……構わない。こちらが禁じ手を使ったのが悪い……」


 正々堂々を心情のラミアナに対して、アンナは少しだけ申し訳なく思っていた。最も、手加減するつもりはない。アンナにとって、この戦いは国を救うためのものだからだ。


「兄さん……!」

「ティリア……」


 アンナの後ろでは、傷ついたツヴァイにティリアが駆け寄っていた。


「今、回復魔法を……」


 ティリアは、ツヴァイに回復魔法をかける。しばらくすれば、ツヴァイも立ち上がってくるだろう。


「ラミアナ……」

「この私が、降伏するとでも?」


 アンナがしようとした提案を、ラミアナが先に潰す。

 戦況は、アンナ達が有利だったが、ラミアナはその程度で諦めたりはしなかった。それは、アンナも薄々わかっていたことだ。


「なら……決着をつけるとしよう」

「来るか……!」


 アンナも、ただ黙って喋っていた訳ではない。

 ラミアナに言葉をかけつつ、聖闘気を練っていたのだ。

 アンナは聖闘気を全身に纏いつつ、ラミアナの元に駆け寄っていく。


「それなら……」


 ラミアナは剣を広げ、その身を回転させる。


回転剣舞(ブレード・ロール)!」


 回転による衝撃によって、アンナを迎え撃つもりなのだろう。

 だが、聖闘気を纏ったアンナに、その程度の受けは通用しない。


聖なる十字斬り(セイント・クロス)!」

「ぐぬうっ!」


 聖闘気による十字の攻撃が、ラミアナの回転をものともせずヒットする。


「ぐ……!」


 ラミアナは回転をやめて、その場に立ち尽くした。

 ツヴァイとの戦いも合わせて、ラミアナの体力は限界近い。

 その状態で、万全のアンナを相手できるはずがないのだ。


「……まだだ!」

「むっ!?」


 停止したラミアナに、アンナのさらなる攻撃が畳みかけられる。

 聖剣による斬撃を、ラミアナはなんとか受け止めるので、精一杯だ。


「くっ! ここまでか!?」

「はあああああっ!」


 アンナの攻撃に、ラミアナは諦めともとれる発言をした。

 アンナは、その隙にさらなる攻撃を行おうとする。


「何!?」


 しかし、そこで不思議なことが起こった。

 ラミアナの後ろから、何かが飛んできたのである。

 それは、小さな白い物体であった。


「くっ!」


 アンナは、一度ラミアナから距離をとる。

 謎の物体を警戒しての行動であった。


「これは……!」


 その物体に対して、ラミアナも目を丸くする。

 そのことから、それはラミアナが行った攻撃でないことがわかった。

 アンナは、その白い物体をよく見てみる。


「あれは……蛇!?」


 その物体の正体は、蛇。

 白い蛇が突如現れ、アンナを攻撃したのである。


「この蛇……まさか、メデュシアの?」

「メデュシア? 一体何を言っているんだ?」

「そうか……お前も散ってしまったのか。なんということだ……」


 アンナの言葉が、耳に入っていないかのように、ラミアナは蛇に語りかけていた。

 その口振りからアンナは、その蛇がラミアナの部下のものであると予測する。それがここに来たということは、カルーナかガルスが勝利したことを意味していた。


「……共に、戦ってくれるのか? メデュシアよ……」

「何が起ころうとしているんだ……?」


 白い蛇は、ラミアナの言葉に反応し、ラミアナに近づいていく。

 そして、ラミアナはそれを手にとる。


「メデュシア……お前の力を借りるぞ!」

「なっ!」


 次の瞬間、ラミアナの体に白い蛇が入っていった。

 その直後、ラミアナの背中から、二本の腕が生えたのだ。

 さらに、その手には二本の新たなる剣が握られている。アンナには、何が起こったかまったくわからなかった。


「勇者アンナ! あれは……禁術だ!」

「禁術!?」


 アンナが疑問に思っていると、後ろにいるツヴァイがそう言い放つ。

 どうやら、ラミアナに起こった出来事について知っているようだ。


「死した者が、その最期に力を振り絞り、他者に力を明け渡す術があると、聞いたことがある……」

「それじゃあ、あれはラミアナの部下が起こした禁術ということ!?」

「そうだ……そして、その禁術を受けた者は、使用者の精神を受け継ぐと言われている。気をつけろ……あれは最早ラミアナではない」

「そんな……」


 アンナは、ツヴァイの説明で、大まかなことを理解する。

 単純な話、ラミアナは強くなり、その精神まで変化したということだ。

 アンナは、何故か嫌な予感がした。


「ふふふ……すごい力だ。メデュシア……恩に着る」

「ラミアナ?」

「勇者よ……最早、今までの私ではないぞ」

「これは……」


 ラミアナの様子は、明らかに変わっている。

 それは、アンナにも一目で理解できる程だった。

 先程まで、誇りに溢れていたラミアナの目に、少しだけ邪悪さのようなものが滲んでいるのだ。


「ラミアナめ……部下に対して信頼していたとはいえ、あのような部下を受け入れるとは……」


 ツヴァイにも、その変化は理解できたのか、忌々しそうに声をあげていた。


「どちらにせよ……やるしかない!」


 アンナは、地面を蹴り駆け出す。

 ラミアナが変化したとしても、アンナのやることは変わらなかった。


「ふふ……停止の魔眼(フリーズ・アイ)

「くっ!?」


 その瞬間、ラミアナの眼が光輝く。

 その眼から、アンナは瞬間的に目を逸らす。それを見ると、良くないことが起こると理解したからだ。


「ティリア!」

「兄さん!?」


 ツヴァイも同時に理解し、目を瞑りながら、ティリアの目を塞ぐ。


「無駄だ!」

「何!?」


 しかし、その眼を見なかったにもかかわらず、アンナの体に変化が起こった。

 アンナの体が、動かなくなってしまったのだ。


「しゃあああ!」

「ぐわああっ!」


 そのアンナに、ラミアナの尻尾が振るわれた。

 アンナの体は、大きく吹き飛び後退する。


「まだまだ!」


 吹き飛んだアンナの元に、ラミアナが迫ってきた。

 その四本となった腕からは、それぞれ剣が握られている。


「見よ! これぞ四刀流――」

「くっ!」


 ラミアナは飛び上がり、アンナの頭上をとった。

 そして回転しながら、突きを放つ。


(ネオ)蛇の嵐(スネーク・ストーム)!」

「聖なる光よ!」


 ラミアナの攻撃に対して、アンナは防御の態勢をとる。


「広がり、包め!」


 アンナの周りを聖なる光が覆う。

 そこに、ラミアナの突きが刺さっていった。


「無駄だ!」

「くっ……!」


 聖なる光の壁に、穴が開いていく。

 その衝撃に、聖なる光が耐えられないのだ。


「このままでは……!」

「このまま突き殺してくれる!」


 アンナは思考する。この状況を打破する方法を。


「勇者アンナ! 受け取れ!」

「え!?」


 そんなアンナに、一つの声が響いた。 

 それは、ツヴァイの声。


「それは……」

「はっ!」


 アンナの元に、ツヴァイから槍が投げつけられた。

 聖なる光に穴を開け、アンナはそれを受け取る。


「そいつを纏え!」

「ツヴァイ……ありがとう!」


 アンナの手元で、魔人の鎧槍(アーマード・ランス)が光輝く。


変化(チェンジ・)(アーマード)!」


 その体に、槍が鎧となって纏われる。


「そんな鎧で……!」

「見せてやる……これが、聖なる闘気の防御!」


 纏った鎧に、聖なる闘気が戻っていく。


聖なる(セイント・)鎧の障壁(アーマー・バリア)!」

「何……!」


 ラミアナの突きが、鎧に放たれるが、アンナはびくともしない。

 鎧と聖闘気の力によって、ラミアナの攻撃は遮断されたのだ。


「はあああああっ!」

「ぐがあああっ!?」


 そして、落下するラミアナに対して、アンナの攻撃が振るわれた。

 ラミアナの体が大きく吹き飛び、壁に衝突する。


「ラミアナ……もう一勝負、付き合ってもらうぞ」

「勇者……」


 鎧を纏いしアンナとラミアナの戦いは続いていく。

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